知的財産ニュース 有機ELの封止技術の特許出願が急増

2014年7月21日
出所: 韓国特許庁

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世界初で薄型・高画質の77型曲面型の有機ELテレビが発売を控えている中で、有機ELテレビの量産化に成功した真の功労者として、有機ELの封止技術が注目を集めている。

有機ELの表示装置は従来のその他ディスプレイに比べ、発光効率が高く、輝度や視野角が優れている上、応答速度が速いというメリットにより、次世代のディスプレイとして脚光を浴びているが、酸素や水分などに露出されると有機ELの有機物質や電極がすぐ変質(酸化)し、有機ELの表示装置としての機能が大幅に低下するため、35,000時間以上の動作寿命を求めるテレビ分野においては量産化が困難な状況だった。

しかし、最近水分遮断性能を向上させた接着フィルムを使って有機ELを封止する技術が開発され、有機EL表示装置の寿命や耐久性、耐衝撃性が大きく改善された。そのため、有機ELの封止技術は有機EL表示装置の寿命と歩留まりを決定する重要技術として浮上しつつある。

特許庁(庁長キム・ヨンミン)によると、有機ELの封止技術に関する特許出願は2009年に111件、2010年に121件、2011年に121件、2012年に157件、2013年に221件であり、特にここ2年間で大幅に増加していることが分かる。

その中でもフリットガラス封止技術とエッジ封止技術に関する特許は、2013年にそれぞれ24件と32件で2009年の32件と28件に比べると、伸び率は多少伸び悩んでいる反面、薄膜封止技術と接着フィルム封止技術は2013年にそれぞれ104件と47件で、2009年の34件、10件に比べると3倍~5倍の増加を見せた。

出願の内容を見ると、主に小型有機ELやスマートフォンなどに使われるフリットガラス封止とエッジ封止の場合、封止用のガラスと有機EL基盤の間に乾燥剤や充填材などを注入して内部への水分の侵入を防ぐか、機械的強度を増大させる技術が多い反面、薄膜封止の場合、有機ELの上部に無機膜または有機膜の単一膜を蒸着する代わりに、無機膜と有機膜が交互に形成される多層膜を蒸着することで、水分の浸入を完全防止する技術が多く出願された。

また、有機EL表示装置の大型化とフレキシブル化に適した接着フィルム封止の場合、圧着プレートやローラを利用して、接着フィルムを有機ELの上部に加圧するか、硬化型接着剤が含まれた接着フィルムを加熱し、有機ELと接着フィルムの間に隙間が生じないようにすることで水分の浸入を防ぐ技術が主となっている。

ディスプレイ機器審査チームのイン・チボクチーム長は「接着フィルム封止は、薄膜封止に比べて工程が簡単で、柔軟性があるため、今後は国内企業が接着フィルムとこれを利用した封止技術の研究開発をさらに強化して、有機EL表示装置分野における国際競争力を向上していく必要がある」と述べた。

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