知的財産ニュース 曲がるスマートフォンには曲がるバッテリー

2014年1月17日
出所: 韓国特許庁

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フレキシブルリチウム2次電池の特許出願が本格化

曲がったり折りたためたりできるフレキシブルIT機器の出願とともに、フレキシブルリチウム2次電池の特許出願が急増している。

昨年10月、サムスン電子は、左右に曲がっているスマートフォンを世界で始めて発売したが、その直後にLG電子も上下が曲がっているスマートフォンを発売した。

アップルも曲面スマートフォン市場に参入する見通しで、映画で出てきそうな先端端末フレキシブルスマートフォンの時代も近づいてきている。

こうしたフレキシブルIT機器の本格的な普及のために解決すべき課題は、フレキシブルバッテリーの開発だ。

リチウム2次電池は、こうした次世代技術を実現するためのコア部品として1991年始めて登場した。携帯向け電子機器の移動用電源として毎年10%以上成長し、次世代電気自動車(HEV, PHEV,EV)及びスマート電力網(Smart Grid)に用いられるエネルギー貯蔵システム(ESS, Energy Storage System)産業の活性化につながることが期待されるなど、市場は日々拡大している。

韓国特許庁によると、この10年間(2004~2013年)のリチウム2次電池に関する韓国の特許出願件数は7181件で、年平均11.5%に着実に増加している。

とくに、バッテリーの形の変化に伴う発熱や爆発など、安全性問題を解決する技術開発が積極的に行われる中、2001年から2009年まで計24件に過ぎなかったフレキシブルバッテリーの出願は、2010年から2013年まで計107件が出願されるなど、増加基調を示している。

2001年から昨年までの同分野における出願を出願人別に分析すると、LG化学が技術開発に最も積極的で58%を占め、サムスンSDIが9%で後を次いでいる。

こうしたメーカーの積極的な出願は、昨年に世界初に発売された曲面スマートフォンの発売とともに、今後フレキシブルIT市場の主導権を確保するための戦略が背景にあったとみられる。

細部的な出願割合をみると、ウェアラブルIT機器に適合したケーブルバッテリーが50%の割合で最も高く、四角いポーチバッテリーに曲面形状加工する技術が22%、柔軟性を有する薄膜電池が10%を占め、その後のパッケージング技術及び素材技術などが18%の割合を占めている。

韓国特許庁の関係者は、これまでは、優秀な製造技術と高い品質管理能力で日本や中国のメーカーと競争をしてきた国内の電池メーカーが、これからは、「世の中にはなかったデザインのバッテリー」を作られるような創造的な技術力を通じて優位を占めなければならず、そのため、産学研協力強化を通じた戦略的な技術開発及びオリジナル技術の確保が求められると述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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