知的財産ニュース 大手企業の特許登録が海外に偏重

2014年4月22日
出所: 電子新聞

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韓国屈指の大手企業が保持している登録特許件数において、海外にだけ登録する場合が増えてしている。知財訴訟の主な舞台が海外になっており、国内では訴訟に敗訴しても賠償価額が低いためだと分析されている。市場論理からすると当然の結果だといえるが、業界の一角からは、国家知識財産サービスの競争力の弱化につながりかねないと懸念を示している。

特許分析専門会社「廣開土研究所」によると、大手企業の特許登録現状(2003年以降の登録件数ベース)の分析の結果、サムスン電子は2009年以降から米国の特許登録件数が国内件数を上回っている。2006年と2007年には、韓国にそれぞれ1万2202件(以下、登録ベース)と1万1036件、米国に2837件と3479件を出願し、4倍多くなっていた。しかし、2009年は、韓国登録1692件、米国登録4319件に逆転し、昨年も韓国は2736件にとどまったが、米国には5366件を登録した。

LG電子と現代自動車の場合は、海外登録の特許件数がサムスン電子ほど多くはないが、増加基調にある。LG電子は、2000年代の半ばまでは海外への特許登録件数が1000件弱だったが、2008年はじめて100件を超えた後、増加を続け、昨年には2097件となった。現代自動車も2009年までは100件弱だったのが2009年129件、2010年202件、2011年270件、2012年311件、昨年411件など、増加基調にある。両社は、国内の特許登録件数が昨年ベースでそれぞれ2885件(LG電子)と2459件(現代自動車)で海外よりは多い。

こうした大手企業の動きは、グローバル特許係争の拡大による自然な決定とみられる。知識財産委員会の知的財産戦略企画団コ・ギソク団長は、「この2~3年の間、大手企業のみならず、研究所なども海外に力を入れている。国内では、大手企業が訴訟になれば逆にイメージダウンしてしまうし、たとえ救済が受けられたとしても、実益は少ないことが響いた」と説明した。

しかし、こうした戦略が次世代の成長エンジンとして期待されている知財サービス産業の競争力の弱化につながりかねないという懸念も聞こえる。

産業界のある代表は、「一部の大手企業は、国内では特許攻撃を無効化できると言っているくらいだ。そうなれば、国内に特許出願する理由がなくなる」とコメントした。ほかの企業代表は、「2000年代の半ばから、大手企業の国内出願件数が減ってから関連業界の仕事も3分の1程度減った」という。

大韓弁理士会のオ・ギュファン副会長は、「米国では、自国発明は自国で先に出願することが原則となっている。海外にだけ特許を出願すると、搭載された内容が全て英語になってしまうので、自国企業の特許接近力が劣ることも問題だ」と指摘した。

キム・ジュンベ記者

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