知的財産ニュース コンピュータプログラムの請求項の追加、「SW産業に悪影響はない」

2014年10月28日
出所: 電子新聞

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特許として保護するソフトウェア(SW)の対象を拡大する特許庁審査基準の改正案がSW産業にマイナス影響を及ぼすことはないという分析が出た。SW政策研究所は、28日、「SW特許審査基準の改正を議論する過程で表れたSW特許の様々な争点について」という報告書を発表した。

韓国では1998年、「コンピュータプログラムを保存した記録媒体の請求項」を認め、今年に入って「ハードウェアと融合して媒体に保存されたコンピュータプログラムの請求項」を追加に認めた。当所の予告案は「コンピュータにより起動されるコンピュータプログラムの請求項」だったが、SW産業に与えるマイナス影響を懸念する声があり、一部修正が施された。

同報告書は、特許庁の審査基準の改正によりSW特許の保護対象を拡大する、またはSW産業界に及ぼすマイナス影響はないと見込んでいる。同研究所は、「特許法が改正されたわけではないため、特許法の保護対象における変化はなく、出願人の利便性向上という効果が発生する程度に止まる見通しだ」と説明した。

また、「特許法におけるSW特許に対する法律的な議論が立法的に解決されるというメリットがある。類似した法改正を韓国より先に施行した日本のケースを考えると、副作用はほぼないと見られる」と説明した。特に、オープンソース陣営の活動が萎縮しかねないという懸念の声に対して、営利目的ではなく、個人的に利用する場合は特許侵害とみない例外規定をもって補完することができると強調した。

にもかかわらず、特許法の改正については慎重な取り組みが必要だという見解を示した。同研究所は、「特許法の改正によるプラス影響および現在の制度のみではSW特許に対する保護が充分ではないという実例がないため、法改正に対するニーズが少ない。オープンソースの育成が政府政策として行われているため、オープンソース陣営に及ぼす影響に対する追加研究が求められる」と説明した。

関連業界の意見も分かれる。特許庁によるアンケート調査では、SW特許の必要性を認め、SW特許の強化に賛成する意見が多数だった。韓国SW産業協会とSW政策研究所が把握した意見は、ほとんどがSW特許の有用性を認めている。その反面、オープンネットなどは、SW特許がSW産業の発展を阻害するという立場を堅持している。

一方、米国は1981年にSWが含まれた特許を認めた後、1998年、ビジネスモデル(BM)の発明まで認めた。世界的にも米国を参考にしてSW特許を認める傾向にある。欧州は、特許審査実務において「コンピュータハードウェアの通常の相互作用を超える技術的効果を備えている」SWについては特許を認めるが、SWそのものは特許対象として認めない。

SW特許の沿革

年度

内容

備考

1984

コンピュータ関連の発明に関する
審査基準の制定

コンピュータ関連の発明の定義は、プログラムの方法発明、コンピュータが融合された応用機器に関する装置発明など、コンピュータに係わる一体の発明

1995

審査基準改正

SW発明の特許認定範囲の拡大。しかし、実質的な特許出願なし

1998

審査基準改正

SW発明に対する方法および装置の請求項以外に記録媒体の請求項を許容

2000

審査基準改正

電子商取引に関する発明審査基準の制定(BM発明の認定)

2003

大法院のBM特許に関する判例

BM特許の要件として、(1)自然法則の利用 (2)SWとHWの有機的な融合 (3)HW資源を利用することを提示

2006

特許法改正の試み

SW特許の請求項の範囲を拡張するための制度改善を推進(2011年と同一の内容)

2011

特許法改正の試み

日本特許法と類似した形で、SWをモノに含めてSW発明をモノの発明として認め、譲渡・貸出に伝送の概念が含まれるように改正する試み

2014

審査基準改正

HWと融合して特定課題を解決すべく、媒体に保存されたコンピュータプログラムの請求項形式を認定

(資料:SW政策研究所)

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