知的財産ニュース 特許のビックデータ活用し政府R&D効率性高める

2014年2月19日
出所: 韓国特許庁

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最近、韓国の遠洋マグロ漁船の平均寿命が20年以上と老朽化し、従来の漁船に代替できる漁船の製作の必要性が提起された。中小企業型の造船技術を開発する中小造船研究院では、運行費用を削減できる漁船設計技術の開発に乗り出したが、韓国や外国で開発された技術の把握が難しく、研究方向の舵取りに難航していた。

ちょうどその時、韓国特許庁の政府R&D特許技術動向調査事業の支援を受けた中小造船研究院は、韓国・日本・欧州及び米国で公開された特許を分析し、「省エネ型の漁船設計技術」のオリジナル特許確保の可能性を検討した。その結果、運行費用を10%削減できる漁船設計技術の特許の確保という成果を手に入れた。特許情報を活用し、研究目標及び方向を定めた同研究院は、研究開発に拍車をかけている。

優秀特許を創出できる分野に政府R&D能力を集中できるよう韓国特許庁が支援する。同庁は、知的財産権の事前調査を通じた政府R&D効率性増大のため、今年、応用・開発研究段階を始め、基礎研究課題にまで特許動向調査の支援対象を拡大し、デザインの融合が必要な政府R&D課題にデザイン動向調査を新たに支援すると発表した。

ところが、基礎研究課題は、2012年に遂行された政府R&D課題のうち、42.5%を占めており、2012年政府R&D特許成果の分析結果、技術の創意性や権利保護の強度、権利の充実度、適用分野の多様性などが応用及び開発研究より高いとされ(韓国知識財産戦略院、2014.2)、基礎研究課題を対象とした特許動向調査の支援を拡大した場合、政府R&D特許成果を量的・質的に向上できると期待される。

また、創造経済を実現できる代表的なアイコンとしてデザインとR&Dの融合が強調されていることを受け、特許とデザインを連携した特許-デザイン動向調査を新たに支援する。最近、産業通商資源部が「デザインSpill-overを通じて産業の高付加価値化をリードする!」というスローガンを掲げ、デザインとR&Dを融合するプログラムを実施している。韓国特許庁は今年、産業部の産業融合オリジナル技術開発事業を対象に、関連技術分野の特許及びデザインの動向も分析して創意的なデザインの出願を支援する計画だ。

2005年から始まった政府R%D特許技術動向調査は、このように優秀な特許の創出が可能な分野で政府R&Dを遂行できるよう、特許情報を活用する事業として、2013年には産業部や未来部など16の部署が企画した3,885のR&D課題の特許分析結果を提供し、2014年には、前年比651の課題が増加した4,536のR&D課題を支援する予定だ。

ソウル大学の経済研究所(2013.9)によると、政府R&D課題の企画及び選定時に特許情報を活用した結果、2012年約5,020億ウォンの政府R&D予算が削減され、同事業の支援を受けた政府R&D課題は、未支援課題より国内特許登録件数が21%、海外特許登録件数が37%増加した。

産業財産政策局のクォン・ヒョクジュン局長は、「政府R&Dを通じてオリジナル基盤特許が創出できるよう、特許技術動向調査の支援を拡大するほか、各部署との連携を続けてR&Dの特性に合う支援体制を構築していく構えだ」と述べた。

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