知的財産ニュース パテントトロールに目がつけられた韓国企業…訴訟200%増加

2013年8月21日
出所: 電子新聞

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韓国企業を対象としたパテントトロール(NPEs)の訴訟が急増している。 最近の4年間、特許訴訟の増加率は50%に迫る。今年の上半期だけで、韓国企業に対するパテントトロールの特許訴訟件数は、前年同期に比べ、200%近く急増するなど、韓国企業が集中砲撃を受けている。

訴訟分野もスマートフォンやスマートテレビなどの電機を中心に、自動車、航空、繊維など様々な業種で次々と訴訟を拡大している。専門家は、韓国企業が海外のパテントトロールに対する交渉力を高めるほか、製品価格に特許リスクを反映するなど、より具体的で現実的な対応策が急がれていると指摘する。

上半期に特許訴訟が急増

韓国特許庁と知識財産保護協会によると、海外パテントトロールの全体特許訴訟件数は、毎年、大幅増えている。年度別では、2008年356件から2009年402件、2010年693件、2011年1271件、2012年3237件と急増している。技術分野別では、電機・電子、情報通信技術分野の訴訟が爆発的に増えた。昨年における全体訴訟の80%(2568件)に迫る。

このうち、パテントトロールが2009年から2012年まで、韓国企業を対象に訴訟を提起した件数は、なんと417件に達した。年度別では、2009年54件、2010年58件、2011年96件、2012年159件と、最近4年間の平均増加率は50%にのぼっている。

産業分野別では、情報通信分野の訴訟が最も多くなった。2012年の訴訟件数が107件と前年度(30件)より200%以上増加した。電機・電子分野も少なくない。2011年から2012年までの2年間、韓国企業を対象にした提訴件数は87件だ。

今年に入ってから状況はさらに深刻になっている。1月から6月までの上半期において、韓国企業に対するパテントトロールの特許訴訟件数は179件と、前年同期(61件)より193%も急増した。訴訟は特に第1四半期に集中している。提訴件数が117件にのぼっているのだ。昨年の第1四半期(17件)に比べて何と600%近く増加したのだ。第2四半期(62件)にも昨年(44件)より41%増えた。

韓国企業を相手に最も多く提訴した企業は、「American Vehicular Sciences」社で、提訴件数だけで21件もある。第1四半期に起亜自動車を相手に12件の訴訟を、第2四半期に現代自動車を対象に9件の訴訟をそれぞれ提起した。「ポーターボイステクノロジー」と「beaconナビゲーション」がそれぞれ12件、「ティエラインテレクチュアルボリンケン」が10件、「セルポートシステム」8件、韓国企業を提訴した。

注目したいのは、「American Vehicular Sciences」など自動車分野のパテントトロールの国際特許訴訟件数が2012年上半期5件から、2013年上半期37件と、640%も急増したことだ。サムスン電子は、第2四半期における提訴件数だけで25件となり、海外のパテントトロールからの提訴件数では最も多くなった。 知識財産保護協会の関係者は、「下半期にもパテントトロールの攻撃は続くと予想されている」と話した。

政府の対応策

韓国特許庁は、こうしたことを受け、韓国企業の知的財産権保護強化のため、庁内に産業財産保護協力局を新設、国家間の協力と国際条約を通じた強力な対応体制を整える方針だ。 また、産業間、技術間の融合・複合の加速化を受け、外部の技術環境に対応でき、また、高品質の特許創出の支援できる開放型審査組織の見直しも推進することを決めた。

韓国特許庁の関係者は、「韓国企業が世界市場に積極的に進出し、外国企業やパテントトロールの攻撃が激しくなったため、アメリカなどの先進国を中心に協力のネットワークを強化するほか、紛争が集中している技術分野の団体と協力体制を構築して特許紛争による共同対応能力を強化していく考えだ」と説明した。

クォン・ドンジュン記者

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