知的財産ニュース 知財ハブ推進委、「特許侵害の証拠資料提出強制」立法改正を推進
2013年10月1日
出所: 電子新聞
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損害賠償額を実体的に算定するため、特許の侵害者に証拠資料を提出させる強制条項が設けられる見通しだ。特許訴訟で勝訴しても適切に賠償されない特許権者を救済して特許の価値を高めるのが目的だ。
国会の「大韓民国の特許ハブ国家推進委員会(推進委)」は、裁判所において、特許侵害訴訟の損害賠償額を正確に算出するため、特許侵害者への証拠資料提出命令を強化する立法改正活動を推進している。セヌリ党のチョン・カブユン議員は、「与野党ともに、韓国の知的財産システムの先進化に向け、特許侵害の証拠資料の提出など、法律の見直しに着手すべきだ」と述べた。推進委は、セヌリ党のチョン・カブユン議員、民主党のウォン・へヨン議員、KAISTの未来戦略大学院のイ・クァンヒョン院長が共同代表を務めている。
現行の特許法によると、「裁判所は、侵害行為による損害の計算を行うために必要な書類の提出を命じることができる(132条)」と明示されている。ところが、書類の所持者は、提出を拒絶する正当な理由がある場合には、命令を拒否することができるため強制性がない。
特許侵害訴訟で、原告である特許権者が特許侵害を受け、損害賠償額を算定するためには、被告である侵害者の販売品目・数量・利益などの情報が必要だ。建国産業のパク・ジンハ代表は、「有形資産とは違って、特許侵害は、侵害者の証拠資料がなければ損害賠償額の算定が難しい。裁判所が証拠資料の提出を命じるが、それに応じる侵害者はいない」と語った。侵害者は、損害賠償額を最小限にするため、営業秘密等を理由に特許侵害から得た利益を明確に公開しないという説明だ。
米国では、特許侵害訴訟と関連した全ての情報を裁判所に提出する「ディスカバリー」制度があり、それ以外にも、特許権者の権利を保護するため証拠提出を強制している。裁判所では、特許権者が特定の金額を損害賠償額として主張するとき、侵害者が証拠資料を提出しなければ、特許権者の主張を事実として認めている。だが、韓国最高裁の判例によると、侵害者が証拠資料を提出しなくても、特許権者が主張する内容を事実として認めていない。
特許侵害者が証拠提出する義務がなく、実体的な損害賠償額の算定が難しいというのが業界の指摘だ。大館弁理士会のチョン・ジョンハク副会長は、「証拠資料が不十分なとき、裁判官の裁量によって損害賠償額が算定される余地が大きい」とし、「特許侵害の乱用を防ぐため、損害賠償額を低く策定する傾向がある」と説明した。業界からは、損害賠償額の水準が低すぎて、勝訴しても弁護士費用すら支払えないという不満の声も聞こえる。
推進委の立法活動は、書類全体に対する特許法132条の改正に重きが置かれると予想されている。民事訴訟法(349条)にも、「文書を提出しなかったときの効果」などで証拠資料の提出に触れているが、その範囲が広く、全体適用は容易ではないというのが専門家の意見だ。チョン副会長は、「米国のように、特許権者が主張する事実について侵害者が証拠資料の提出に応じない場合、特許権者の主張を認めるという趣旨の特別条項が設けられる」と予想した。
クォン・ドンジュン記者
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