知的財産ニュース 創造経済 「知的財産(IP)に注目すべき」

2013年1月26日
出所: 電子新聞

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新たにスタートする朴・グンへ政府の核心公約は創意経済だ。創意的アイデアとソフトウェア・コンテンツなどのソフトパワーを中心に経済へ新たな活力を吹き込むというのが新政府の強い意志だ。創造経済において欠くことのできない分野は、まさに「知的財産(IP)だ。新政府は、次期政府のロードマップ作成時に国家知識財産委員会の知識財産戦略企画団を未来創造科学部へ移管した。研究開発(R&D)、知的財産権利化、事業化段階など、基礎研究を始め産業応用に至るまで、一貫性のあるIP政策のための青信号であるという見方だ。しかし、乗り越えなければならない問題は山積みだ。韓国は、特許出願世界4位であり、IP競争力は目覚ましい発展を成し遂げている反面、量的な成長に集中している。朴・グンへ政府では、IP強国の名にふさわしい質的な成長に焦点を合わせなければならない。

政府の正式なスタート1ヵ月を前にして、IP強国のためのロードマップが発表された。

IP、R&D方向を提示する基準

韓国政府のR&D業務はほとんど未来部が担当することになった。これまでR&D支援政策が、技術開発中心に行われてきたとの指摘を受けた。実際に役立つ技術なのか、または産業に応用できる技術なのかの判断をするためには、R&D段階からIPを念頭に入れるべきだという注文が多かった。

ソ・ジュウォンEdresearch社代表は、「R&D成果物である特許は、質の面で低いうえ、役に立たないものを多く出願している」とし、「質的な評価が可能な新しい成果指標が必要だ」と述べ、また、ソ代表は、「取引市場の構築や、技術移転の活性化を行うなど、IP活用のための新しい政策が必要だ」とし、「取引活性化を通してIPの質的価値が高まる」と述べた。

特許出願件数に傾いたR&Dの側面も問題だ。ミン・スンウクアイピーキューブパートナズ代表は、「IPのためのIPではなく、R&DのためのIPでなければならない」とし、「R&DとIPがシナジーをだせなければ、未来部は害となることを念頭に入れるべきだ」と明らかにした。

IPコントロールタワーの機能が必要

知識財産戦略企画団が未来部の傘下となり、IP政策の中長期戦略策定と実行のための動力が減るのではという意見も提示された。IP強国として生まれ変わるために巨視的な接近が必要な時に、政府機関の一部署でIP戦略を担当することは、効率性が落ちるという意味だ。

国家知識財産委員会は、従前通り総理所属下においてコントロールの役割を果たすが、既存より影響力がなくなると見込んでいる。ペク・マンキ知識財産サービス協会長は、「IPは、単純に政府機関の一部署で担当するものではなく、部署全体のイシュだ」とし、「総理室において未来IP戦略を提示するとしても、実質的に支援する企画団が必要だ」と述べ、未来部においてIP戦略企画団の機能を遂行するためには、全体部署の調整機能を要求するほかないと説明した。金・ミョンシン知識財産フォーラム会長は、「未来部においてIP戦略企画を調整することは可能であるが、実務的な面は難しい」とし、「部署全体の意見を収集し管理することは容易でない」と述べた。部署別の相互衝突するIP政策の調整を一つの部署が担当することは負担となるはずだというのが金会長の意見だ。

イム・ホギ韓国電子情報通信産業振興会の特許支援センター長も、「R&Dの企画段階から先行特許調査、特許出願紛争予防教育、紛争時の対応支援、権利保護など、各段階において支援できる総括的な役割を努めなければならない」とし、「未来部、産業通商資源部、特許庁、中小企業庁、地方自治団体などが適切な分担と協力体系を構築する必要がある」と述べた。

産業育成がまさに市場活性化だ。

2010年の国連発表資料によると、韓国のIPサービス輸出額は24億ドルだ。米国918億ドル、日本257億ドルに比べれば、やっと一歩踏み出した段階だ。特許検索、DB、調査、分析、出願、登録、管理などのIP関連産業の育成に急を要する。

昨年の発明振興法改正により、今年からは政府においてIPサービス産業育成施策を毎年発表しなければならない。業界では、IP産業育成策として「民間市場の拡大」と「専門家の役割拡大」を提示した。李・ヒョンチルウィップス代表は、「IP産業も市場が拡大されてこそ成長できるが、未だに公的領域で管理している部分が多い」とし、「民間ができる部分は民間に任せることにより、市場の活性化を支援すべきだ」と述べ、また、「公的領域と民間領域を区分し、不必要な予算を使わずサービス業の機能と役割を拡大すべきだ」と付け加えた。

ジョン・ジョンハク大韓弁理士会副会長は、「新政府において意欲的に推進する科学技術政策が、韓国の有望な未来産業へと繋がらなければならない」とし、「このためにはIP専門家の役割を拡大し、IP連携・基盤の創造経済が行わなければならない」と明らかにした。

グォン・ドンジュン記者

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