知的財産ニュース [知財共同訴訟制を緊急診断](2)先進の係争解決制度、専門性がカギ
2013年1月12日
出所: 電子新聞
3984
「大手企業では、これまで特許侵害訴訟を行った時、弁理士の検討や協調を得ずに進めた事例はありません。訴訟代理権を弁護士に委任したとしても、特定の企業が他の企業の特許を侵害したかどうかについては、専門の弁理士が分析して出した意見に依存しています。それだけ、弁理士を侵害訴訟の代理人として参加させるべきだという話ですね。」(KTのソン・スクギョン常務)
「特許侵害訴訟は、技術と法律両方の知識が求められる分野であり、審決取り消し訴訟は、技術知識に強い弁理士と法律の知識に強い弁護士の協業によるサービスが求められます。そうすると、訴訟当事者の権利を強力かつ効率的に保護できます。当事者の権利を最大限代弁できる訴訟代理人を選任できる選択権、国民の裁判を受ける権利をしっかり保証する方法でもあります。」(韓国科学技術研究院チェ・チホ博士)
昨年末、国会委員会館で開かれた「知的財産の紛争解決制度の改善策」討論会において、知的財産の正しい解決を求める業界は、口を揃えてこう主張した。「特許侵害の訴訟当事者が専門性のある代理人を選択できる自由を保障すべきだ。」ということだ。
特許訴訟の当事者は、理系出身で特許出願と管理、審決取り消し訴訟などを通じて検証された、技術専門家である弁理士が裁判で「発言」できることを求めている。自分が開発した技術を理解できる専門家が裁判官にも正確に陳述できるためだ。
電子新聞の未来技術研究センター(ETRC)とネオR&Sが昨年11月から12月まで知的財産権を保有しているか、関心を持っている韓国企業309社を対象に調査を行った。その結果は、特許訴訟になった場合に弁理士と一緒に裁判を進められるよう、制度を見直すべきだという業界の主張を裏付ける。
特許侵害の訴訟、誰と相談したか
調査の結果によると、特許紛争が発生した時、企業が初めて相談・委任を依頼するのは主に弁理士だという。弁理士に業務を依頼する理由としては、「弁理士が該当の特許と技術を最も理解できるため」だという意見が68.2%と最も多くなった。
特許紛争の時に弁理士が必要だという企業の意見は、業務処理の満足度からも確認できる。特許紛争の業務処理能力にどれほど満足しているかについて調査を行った結果を5点満点で換算した結果、会社外部の弁理士(3.83点)が会社外部の弁護士(3.54点)より高くなった。最も満足を感じた代理業務者の形態は、会社内の弁護士・弁理士が全て参加している法務チーム部署(3.88点)だということと調査された。
今後、特許係争が発生した場合、誰に依頼するか
今後、特許紛争が発生した場合の業務委任予定者を調査した結果、10社のうち4社以上(41.4%)は、弁理士に委任すると答えた。次に「弁護士・弁理士共に(32.7%)」、「弁護士(23.3%)」、「会社内部の人材(2.6%)」の順となった。ETRCのイ・ガンウク首席研究員は、「特許紛争の経験がある企業で弁理士に委任する予定だという意見が48%と相対的に多くなっている。特に、中小企業では、弁理士単独、弁護士・弁理士の共同委任の予定は75.5%に達している」と述べた。
「特許侵害訴訟に弁理士が参加できるよう、道を開くべき」
業界では、弁理士も特許侵害訴訟において代理人として選任できるよう、制度の見直しが必要だと主張する。弁護士の技術・特許知識が低く、弁護士・弁理士の協力体制が必要だという意見だ。特許侵害訴訟で弁理士が代理業務を行えず苦労した企業を対象に、どのような問題があるかについて訪ねた。その結果(複数応答)、「弁護士・弁理士の協力体制を後押しする法制度が不十分」が80%と最も多くなった。イ首席研究員は、「「技術と特許に関する弁護士の理解度が低い(40%)」、「巨額の訴訟費用の負担が重い(40%)」などの意見も提起された。特許紛争解決システムの全体的な見直しが求められている。」と分析している。
弁護士・弁理士共同代理に向けた弁理士法の改正案、半分以上が「賛成」
昨年8月、憲法裁判所が弁理士の特許侵害訴訟の代理が違憲だと言い渡した際、憲法裁判所のイ・ドンフプ所長候補者(元憲法裁判官)は、「訴訟の専門性と迅速性を高め、訴訟当事者の権益を保護するため、立法改正の取り組みが必要だ」という趣旨の補充意見を出した。
特許訴訟の専門性確保という面で、弁護士は必ず選任し、弁理士は訴訟当事者である企業が要請した場合に限って追加で選任できるようにした「弁理士法の改正案(弁護士・弁理士共同代理のための弁理士法改正案)」が国会立法予定される計画だ。改正案の賛否を聞いたアンケートでは、企業の54%が賛成し、反対(10.4%)より5倍以上多かった。特許侵害訴訟の弁理士単独訴訟代理についても賛成の意見が35.6%と、反対意見(16.5%)より2倍以上多くなった。
クォン・ドンジュン記者
区分 |
事例数(件) |
賛成 |
反対 |
よくわからない |
|
---|---|---|---|---|---|
全体 |
309 |
54.0 |
10.4 |
35.6 |
|
会社規模別 |
大手企業 |
4 |
50.0 |
0.0 |
50.5 |
中堅企業 |
15 |
60.0 |
13.3 |
26.7 |
|
中小企業 |
290 |
53.8 |
10.3 |
35.9 |
|
知的財産の保有の有無 |
保有している |
290 |
54.4 |
9.7 |
35.9 |
保有していない |
19 |
47.4 |
21.1 |
31.6 |
|
特許専門部署 |
持っている |
16 |
62.5 |
0.0 |
37.5 |
持っていない |
293 |
53.6 |
10.9 |
35.5 |
|
特許係争の経験 |
ある |
25 |
56.0 |
28.0 |
16.0 |
ない |
284 |
53.9 |
8.8 |
37.3 |
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195