知的財産ニュース バッテリーを長持ちさせろ‐スマートフォン向け電力増幅技術

2012年11月15日
出所: デジタルタイムズ

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スマートフォンバッテリーの消耗を減らすための特許出願が増加基調

たとえ、1泊2日で旅行に行く時、スマートフォンの補助バッテリーや充電器を持参しなくて済むなら、どれほど便利だろうか。

スマートフォンユーザーが抱く最大の不満は電池、「バッテリーの持ち時間が短すぎる」のではないか。この問題を解決する技術として電力増幅器が注目され、特許出願も増加している。

韓国特許庁は、2000年から2011年まで電力増幅器の特許出願は289件であり、2003年のピーク後から続いてきた減少基調が、昨年から増加に転じたと発表した。

3Gから4GのLTEにスマートフォン通信環境がシフトし、大容量データの転送及びビデオ通話が普及したことで、スマートフォンバッテリーの持ち時間と電力増幅器の電力消耗への関心が再び増加したためだと分析されている。

電力増幅器は、スマートフォン端末の出力端子に取り付けらており、高周波に変調された弱い信号を増幅させ、アンテナーを通して基地局に送出する機能を持っている。

音声やデータ通信の利用が多いアプリケーションを起動すると、電力増幅器がスマートフォン電力消耗の約7割を占めるため、電力増幅器の効率を高めれば、スマートフォンパッテリーの持ち時間を十分に延ばすことができる。

特許出願された電力増幅器の電力消耗削減技術には、スリープモードで電力消費を最小限化するか、電力効率が良い増幅器を搭載する技術などが中心となっている。

出願動向をみると、大手企業が107件(37.0%)で最多であり、外国企業が81件(28%)、大学及び研究所が60件(20.8%)、中小企業が37件(12.8%)、個人が4件(1.5%)の順だ。

国内出願のなか、大手企業に続いて外国企業が全体の28%を占めているということは、電力増幅器の効率改善への関心が高いことを示している。

出願別では、LGが53件で最も多く、サムソンが45件、浦項工学大学が14件、ETRIとソウル大学がそれぞれ11件、クァルカムが7件だ。

これは、大手企業と大学及び公的研究機関で技術開発と特許出願が活発化していることを意味する。

出願国別では、韓国208件(72.0%)、米国58件(20.1%)、日本21件(7.3%)、欧州2件(0.7%)と、伝統的にIT大国である韓国の特許出願が圧倒的に多いことが示された。

韓国特許庁電子審査課のカン・ヘソン課長は、「スマートフォンの利用者が増え、バッテリーの持ち時間が短いことに対するユーザーの不満を最小限化するため、業界が持続的に技術開発を行っているだけに、電力増幅器の電力消耗削減技術の特許出願は、今後も続くと予想されている。」と述べた。

参考資料

資料1. 電力増幅器の効率改善に関する年度別の出願動向

資料2. 電力増幅器の効率改善技術の出願人別の動向

資料3. 電力増幅器の効率改善の国別における出願動向

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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