知的財産ニュース 「コーロンスポーツ販売差止め」米国裁判所の判決で

2012年9月2日
出所: デジタルタイムズ

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コーロンスポーツ(KOLONG SPORTS)は、米デュポン社が提起した訴訟で、営業秘密侵害を理由に全世界における販売差止め処分を言い渡された。アップルとサムスン電子間の訴訟に続き、米国裁判所が自国企業に有利な判決を言い渡したことで、保護貿易だという声が高まっている。

2日、コーロンによると、米国バージニア州のリーチモンド地方裁判所は、現地時間の30日、コーロンインダストリーのパラ系アラミド繊維「ヘラクロン」について、今後20年間、全世界で生産及び販売、営業の差し止めを判決した。昨年11月に技術を盗用したとして9億1900万ドル(約1兆400億ウォン)の賠償を命じた判決の後続措置として出された。

昨年の売上高が約4兆ウォンとなったコーロンインダストリーのアラミド繊維関連の売上高は、約1000億ウォンと全体の2.5%だ。パラ系アラミド繊維は、防弾チョッキに使われる先端特殊化学繊維素材であり、コーロンは、2005年、世界で3番目にアラミド繊維の商用化に成功した。2006年から生産、販売してきたが、世界市場の50%のシェアを持っているデュポンが自社の独自技術をコーロンが盗用したとして訴訟を提起した。

今回の判決は、最近のカリフォルニア州サンノゼ地方裁判所でサムスンのアップル特許権侵害の判決に続いて出されたため、米国の保護貿易主義に傾いた判決ではないかという批判の声が上がっている。また、今回出された全世界での生産及び、販売差し止めの命令は、地方裁判所の権限を越えた越権行為で、常識外れの判決だという声もある。該当判決を下した裁判官がデュポン社側の法律事務所で21年間勤めていた弁護士だったため、判決の不公正への批判がさらに高まっている。

コーロンもサムスンと同じく、自社に有利な証拠と証人は採択されず、該当地域の企業が要請した証人と証拠のみが採択されるなど、裁判は一方的に行なわれた。これと関連し、コーロン側の弁護士は、「今回の裁判でコーロンに有利な証拠と証言の不公正な排除、裁判の手続き上の問題など、多くの間違いがあった。」と述べた。

今回の訴訟は、専門性に欠けている地域住民に構成され、訴訟の本質が理解できていない状態で地域企業に有利な評決を出したという点で、サムスン電子とアップル間の特許訴訟と似ている。リーチモンドにデュポンが約90年間運営してきた最大工場があるという点と、アップルの本社がサンノゼから10kmも離れていないクパチーノにあるという点で、地域企業だといえる。

コーロンは、デュポンが訴訟の理由として提示した営業秘密は、既に公開されていることを強調し、不公正な判決を受け入れ難いという意志を明らかに示した。特に、生産中止が長期化すれば、生産工場のヘラクロン事業部の従業員が職を失う可能性があるため、強力に対処しなければならないと説明した。

一方、米国連邦控訴裁判所に提出した地方裁判所の判決についての執行停止緊急申請が受け入れられたため、先月31日に稼働を中止していた慶尚北道の亀尾(クミ)工場を1日から再稼働した。コーロンは、バージニア地裁の判決後、直ちに該当の地裁と米国第2巡回控訴裁判所に執行停止の仮処分をそれぞれ提起し、近く控訴も進める計画だ。

コーロンの関係者は、「米国の地方裁判所でどうやって世界における販売を差止められるのか理解ができない。今回の判決に対する執行禁止仮処分の申請とともに、控訴を準備する計画だ。」と述べた。

イ・ホンソク記者

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