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2012年9月13日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁、弁理士業界の意見を政策に反映

知的財産の重要性が強調されている中、韓国特許庁は、6日に知的財産専門家である弁理士との懇談会を開き、そこで聴取した弁理士業界の意見を政策に積極的に反映する計画であると発表した。

弁理士との懇談会では、知財権の訴訟代理制度、試験制度、弁護士に弁理士資格を自動的に与える制度など、弁理士制度全般にわたる議論が行われた。中間審査処理期間の短縮、特許情報の提供など、出願・登録の全体的な手続きについての政策提言も出された。

キム・ホウォン庁長は、弁理士の共同訴訟代理の立法化推進には、弁理士の訴訟能力を向上させる教育プログラムなどを設けて、国民的コンセンサスを形成しる一方、職役利己主義から脱した需要者観点からの進歩した代案の模索が必要だと強調した。

韓国特許庁は、懇談会で聴取した弁理士業界の提言のうち、直ちに施行できる事案については、担当部署別に試行計画を立てて推進することにした。また、弁理士制度の改善については、9月中に各界の専門家で構成された「弁理士制度改善委員会」を立ち上げ、弁理士法の全部改正を推進する予定だ。

これに先立ち、 韓国特許庁は、5月に弁理士とのコミュニケーション強化に向け、弁理士業界の意見を聴取し、担当部署別の改善策を設けた。政策分野、審査・審判実務などについて122件の提言事項が聴取され、すでに推進している61件(50%)を除いた40件を政策に追加反映する。

キム・ホウォン庁長は、「今回の弁理士との懇談会を契機に現場の意見が特許行政制度改善に反映できるよう、コミュニケーションの場を持続的に設けたい。」と述べた。

参考1:弁理士との懇談会の主な議論内容

弁理士訴訟代理の立法化など、弁理士の制度改善に関する議論

弁理士訴訟代理権

弁理士の訴訟代理権関連の憲法申し立てが棄却されたことを受け、韓国特許庁が弁理士の共同訴訟代理の立法を推進してほしいことを提言
→弁理士が研修を受け、法的能力を向上させるなど、弁理士共同訴訟代理におけるコンセンサスの形成が求められており、職役利己主義ではなく、需要者観点から進歩した代案を模索する必要がある。

弁護士の弁理士資格の自動的取得

自動的に資格を与える案を廃止するか、実務研修、又は能力検証試験後に資格を与える案を提言
→弁理士法の全部改正時に検討するが、弁理士会で資格問題についてTFを構成し、具体的な資料を提示する必要がある。

審査処理期間など、出願・登録全般にわたる手続きについて

審査処理機関

中間審査処理期間(ジェトロ注:KIPOに確認したところ、意見補正書提出から決定(査定)までの期間)の短縮及び審査期間の短縮後にも親切な行政サービスの維持を提言
→中間審査は、現在4.8ヶ月に短縮しており、今年下半期まで4ヶ月に短縮し、優先審査は2ヶ月以内にする計画
→特許処理機関の短縮と審査品質を同時に考慮

特許審査ハイウェイ

日本が韓国の審査結果を尊重するように協議を提言
→日韓長官会談の際に相互尊重案を協議

特許情報の提供

基盤産業の強化という面で韓国特許庁が検索システムを開発・奨励し、出願関連の月別統計の提供を提言
→政府が加工された供給情報を提供することは、民間市場を萎縮させる恐れがあり、KIPRISプラスを通じて、低価格・高品質のサービスを提供
→来月の公開は難しいが、現在、2ヶ月前の統計は公開中

参考2:弁理士の提言事項についての推進計画

  • 弁理士による提言事項についての改善策を設け、直ちに試行可能な事項は、担当部署で直ちに推進
  • 弁理士制度の改善と関する事案は、弁理士法の全部改正時に各界の専門家が議論を行い推進

1.弁理士による提言事項についての改善策の確立

弁理士による提言聴取の結果

  • 弁理士制度の改善、政策の推進、審査審判の実務などに関する20件の提言事項を聴取(事前書面提言16件、懇談会における追加提言4件)
    ※弁理士の訴訟代理権の確保など、大韓弁理士会の懸案と一般弁理士の政策提言など様々な提言事項が含まれている

提言事項についての検討を推進

  • 事前質疑提議事項及び懇談会の際に提起された追加提議事項について担当部署で検討(2012.9.10~11)
    「直ちに試行可能な事案」と「長期的課題として推進すべき事案」を把握

提示事項による制度改善の推進

  • 弁理士による建議事項のうち、「直ちに試行可能な事案」については、担当部署で思考計画を確立して直ちに推進
    施行後、大韓弁理士会のホームページなどを通じて改善事項を告知(2012.9)
  • 「長期課題として推進すべき事案」及び弁理士法の改善を通じて解決すべき事案は、担当部署で思考計画を設けて持続的に検討
    ※弁理士資格など、制度の改善は、弁理士法の全部改正時に検討

2.弁理士法全部改正の推進

大韓弁理士会と協調し、弁理士制度の全般的な改善を推進

  • 弁理士界、学界、法曹界、産業界など、多様な利害関係者で構成された「弁理士制度の改善委員会」を立ち上げ、事前的なコンセンサスを形成
  • 弁護士の弁理士資格要件の明確化、弁理士の公共的活動の強化など、資格制度全般にわたる事項を検討し、法改正に反映

推進日程

参考3:弁理士のコミュニケーション強化に向けた弁理士業界の意見聴衆検討の結果

1.推進の背景

韓国特許庁の主な顧客である出願人、弁理士などを対象に、特許行政における不満要因を把握、改善することで顧客の満足度を向上

2.推進の経過

弁理士のコミュニケーション強化に向けた弁理士業界の意見を聴取(5月~6月)

  • オンブズマン、監査諮問委員、受験弁理士を対象に懇談会を開催
  • 大型法律事務所の職員及び個人事務所の職員によるブラウンバックミーティング、庁出身弁理士による懇談会、大韓弁理士界による懇談会を開催

業界の意見聴取事項について室・局別の検討(6月~7月)
※提言事項を室・局別(22部署)に検討し、次長に報告後、監査担当官室に提出

室・局別の検討事項について再検討を推進(8月)
※室・局別の検討の結果について庁長の検討後に再検討
※弁理士界の懇談会(2012.9.6)を通じて室・局の検討結果を告知

3.意見検討の結果

政策の推進、審査審判の実務などについて122件の意見を聴取
※弁理士が体感している不満要因、政策提言などの細かな意見まで全てを含める
※受け入れ:40件、不受け入れ:21件、既推進:61件

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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