知的財産ニュース 先進国並みの特許無効化率へ

2012年11月5日
出所: 電子新聞

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「特許の無効化率を先進国の水準まで大幅に引き下げる」という計画が出された。特許権者の権利保護を強化するのがその目的だ。知的財産(IP)のイメージを改善する大きなチャンスになると期待されている。韓国の場合、資産が特許で構成されているベンチャ企業の中には、大手企業や競合会社の一方的な特許無効化訴訟により大きな被害を受けるケースが頻発しているためだ。

韓国特許審判院のイ・ジェフン院長は、2日、電子新聞と韓国知識財産サービス協会が開催した「IPリーダーズフォーラム」で、「最近の特許審判の動きと課題」をテーマに講演を行い、「特許無効化率6割とは非常に好ましくない数値だ。その対応策を講じている」と述べた。

韓国の特許無効化率は、特許審判院の審決基準では2009年70.4%だ。2010年と昨年はそれぞれ64.9%、62.8%だ。10件のうち6件以上が無効とされている。これに加えて、特許審判院の決定について取消し訴訟を提起した後、特許裁判所で下された判決まで合わせると無効化率は昨年ベースで66.3%にのぼる。

韓国特許審判院は、特許の無効化率を引き下げる解決策として、ここ数年で無効化率が大幅低下した日本に注目している。2008年66.4%だった日本の特許無効化率は、2009年1月から井村部長裁判官が相次いで特許権者に軍配を挙げたことにより、その割合が大幅改善されている。2009年50%、2010年44.2%、昨年は39.4%に低下した。米国は、韓国と制度が異なるため直接比較することはできないが、無効確認訴訟を基準に分析すると、「全ての請求項の無効」は47%だ。

特許の無効化率を低下するための取り組みは、韓国特許庁と特許裁判所が共同で行わなければならない。特許訴訟が特許審判院の「有効」審決(特許審判院の決定)後、特許裁判所で改めて訴訟を提起する事例が頻発しているためだ。韓国特許庁は、今月末、特許裁判所と共同で井村裁判官(現・知的財産高等裁判所の裁判長)を招き、特許の無効化率が低下した背景などを訪ねる計画だ。韓国特許庁審判政策課のムン・ソンフブ技術書記官は、「日本では、井村裁判官が登場してから特許権者の権利を認めるべきだという雰囲気が形成され、無効化率が大幅低下した。日本の例のように、韓国でも数件の判決によりイメージが改善できるのではないか。」とその趣旨を説明した。

キム・ジュンベ記者、クォン・ドンジュン記者

韓国特許審判院の特許無効率の現状(単位:%)

区分

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

韓国

64.2

67.3

70.4

64.9

62.8

日本

63.4

66.4

50.0

44.2

39.4

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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