知的財産ニュース 他人には見られないから安心

2012年7月25日
出所: 韓国特許庁

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液晶保護フィルムのプライバシー保護機能

公共の場でモバイルバンキングを利用している時、周りの人に盗み見されるのではないかと心配したことがあるはず。ATMを利用する際にも、画面が見られるのではないかという懸念する時もしばしば。しかし、これからはそのような心配をしなくてもよさそうだ。

韓国特許庁によると、携帯電話やノートパソコンなどの携帯端末やATMなどの液晶画面に取り付ける保護フィルムに側面観測が出来ないように工夫した技術の出願が最近急増しているという。

側面観測防止の保護フィルムの出願は、2009年まで毎年5件前後にとどまっていたが、最近大幅増加しており、2011年には17件が出願されて全体保護フィルム出願の21%を占めている(資料1)。

関連技術の原理を説明すると、光を遮断する不透明な部分を透明な部分と格子に配列して携帯端末の側面からは不透明な部分が視野を遮って画面が見られないようにしたものだ(資料2)。

側面観測を防止する不透明な部分を形成する方法としては、不透明フィルムを透明フィルムと格子で積層するか、不透明インクを混合して積層し、熱圧着後に垂直で切断する技術が用いられていた。

最近では、透明なフィルム上に一定の間隔でいくつかのスリットを形成し、不透明インクを注入することで、大きな面積の保護フィルムに不透明な部分を容易に形成する技術開発に成功し、量産化できると期待されている(資料3)。

地方のある銀行では、営業店の24時間ATMや無人店舗に設置されたATMの液晶画面に側面観測防止用の保護フィルムを貼り付けており、今後は、全ての営業店にフィルムの貼り付けを拡大する計画だ。

従来の保護フィルムは、携帯電話などの液晶画面に貼り付けてキズや汚れから端末を保護したり、デザインを改善するために用いられたりすることが多かった。しかし、近年の液晶画面の大きいスマートフォンやノートパソコンの使用が広がりや、携帯端末を利用した金融取引が活発になったことで、セキュリティー機能が追加されるなど、保護フィルムが進化している。

韓国特許庁の関係者は、ノートパソコンのように画面の大きな液晶パネルに貼り付ける保護フィルムの場合、ニーズに応じて側面観測を許容または制限することを選択的に変換させる機能が期待されるなど、保護フィルムに関する技術は今後様々な形に進化していくと予想した。

資料1:側面観測防止用の保護フィルムの年度別出願動向

図:側面観測防止用の保護フィルムの年度別出願グラフ

2000以前

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

合計

保護フィルム
全体

18

2

10

6

23

16

37

37

62

67

53

80

411

セキュリティ
フィルム

3

1

3

0

5

2

3

4

4

5

9

17

56

※上記の統計のうち、全体保護フィルムは、液晶画面保護用フィルムに限り、セキュリティーフィルムは、保護フィルムの中でも側面観測防止機能を持つものだ

資料2:側面観測遮断の原理


※正面からは透明な部分を通じて液晶表示窓が見られるが、側面からは不透明な部分に視野が遮られて液晶表示窓が見られない。

資料3:対面的側面観測遮断フィルムの製造法

側面観測防止フィルムの製造法(従来)

透明フィルムと不透明フィルムを格子に積層、熱圧着後に垂直で切断

対面的側面観測防止フィルムの製造法

一定間隔に離隔された複数のローラーで透明フィルムのスリットを作り、そこに不透明インクを入れる

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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