知的財産ニュース サムスンのアップルへの反撃カード「フランド」とは?

2012年8月13日
出所: デジタルタイムズ

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サムスンとアップルの間で繰り広げられている特許訴訟がアップルのデザイン特許侵害に対する攻防からサムスンの技術標準特許侵害に対する攻防に移る。

12日の関連業界によると、今週からの米国における本案訴訟でアップルがサムスンの特許技術特許権を侵害したかをめぐり、激しい攻防を繰り広げるとみられている。

サムスンは、4月にアップルを相手取って米国カルフォルニア州の北部地方裁判所に8つの特許訴訟を提起した。

サムスン電子が問題視している特許8件の主な内容は、強化されたアップリンクデータ伝送のためのデータチャネルを支援する移動通信システムに予約されていない伝送を行なうための方式及び装置、移動通信システムからアップリンクパケットデータサービスの信号制御情報伝達の方式及び装備、ボリュームコントロールボタンを使って外部のオーディオ再生装備のボリュームを調整する機能などだ。

そのうち2つは、通信標準特許として、フランド(FRAND, Fair, Resonable, And Non-Discriminatory、公正かつ合理的な特許権の使用)規約に含まれている。

フランド規約は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が制定した特許技術仕様に関する条件のことだ。この条件によると、必須技術の独占を防止するため、標準技術の所有者と交渉をし、一定の使用料を支払うことで該当技術を使用できるようにしている。特許権者が無理な要求をして競合他社の生産を妨げ、産業技術発展のネックにさせないための規約である。

サムスン側は、アップルは通信市場に参入するために自社技術を使用し、現在もアイフォンの製品に採用しているが、正当な費用を支払っていないと主張している。

一方、アップルは、一部の商品対しては通信技術特許を否定している一方、サムスンが求めている標準技術のロイヤルティが高すぎると主張している。

外国メディアによると、アップルは、サムスン電子が1台当たり2.4%を要求した3G通信技術特許料は、0.0049ドル(約5.6ウォン)に過ぎないとコメントした。

一方、9ヵ国で進められているサムスンとアップルの特許訴訟でサムスンの通信特許に関する意味ある前例を残したのがドイツとオランダだ。両国でサムスンとアップルは1勝1敗の判決結果を得た。

オランダ裁判所は、サムスンがアップルに求めている標準特許のロイヤルティ費用は、非合理的であり、フランド規約を違反したとして、サムスンの仮処分申請を認めなかった。

ドイツのマンハイム地方裁判所で11月14日に開かれた本案訴訟では、アップルが一部の製品に採用した部品に対し、特許侵害判決を下した。当時裁判所は、特許使用者の交渉姿勢を強調する判決を言い渡した。

裁判所は、1989年フィリップスが「オレンジブック」というCRローム関連の標準特許でSKカセテン(SK Kassetten)に勝訴した事例を挙げ、使用者が特許所有者に先にライセンスを要請し、適切なロイヤルティを支払うか、事前に預ける場合のみ販売禁止を避けられると判決した。つまり、フランド条件を適用しても特許使用者であるアップルがより積極的に交渉に臨むべきだという立場だ。

マンハイム裁判所は、昨年11月4日、モトローラがアップルを相手に提起した通信標準特許訴訟でもアップル製品の販売差止め処分を下し、2003年4月19日以降、アップルが侵害したモトローラの損害賠償を命令したことがある。

金ユジョン記者

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