知的財産ニュース 三星-オスラムLED特許紛争、三星が先に笑った

2012年5月23日
出所: 韓国特許庁HP

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特許審判院は、オスラムのLED特許2件を無効と判断

特許審判院は22日、ドイツの照明メーカーであるオスラムの発光ダイオード(LED)核心特許2件に対し、三星が昨年3月に提起した無効審判で三星の無効主張を認め、オスラムの特許は無効として最終決定を下したと明らかにした。

今回問題になったオスラムの特許2件は、青色LEDが出す青色光を白色光に変える「ホワイトコンバージョン」技術で、LED照明の核心技術として知られている。特許審判院は、これらの特許の訂正明細書の記載が特許法で定めた一定基準を満たしておらず、該当の特許技術も全て先行資料と比較して進歩性の要件を満たせないことから無効だと判断した。

今回の決定は、オスラムと三星/LG間において複雑に絡まった特許紛争の糸を解いていく過程で出た特許審判院の初めての判断という点で興味深い。

これらの会社は、昨年3月以降特許審判院に相手方の特許(オスラム13件,三星7件,LG7件)に対し、計40件の無効審判(三星/LG→オスラム:23件,オスラム→三星/LG:17件)を提起し、6月以降はソウル中央地方裁判所に侵害訴訟と逆訴訟を提起するなど、両者は実に激しく争ってきた。

特許審判院によれば、裁判所に侵害訴訟が関わっている事件については一般事件より優先的に審理するが、今回の事件は関連する争点が多く、提出された証拠が膨大で最終決定を下すまで多少時間がかかったという。

LED特許紛争の重要性と緊急性に照らして、残りの事件に対する結果もまもなく出るだろう。

両者がこのような熾烈な「特許戦争」に飛び込んだのは、最近のLED分野の市場状況と深い関係がある。

LEDは単純な発光素子機能を越えて携帯機器、TV、自動車、照明など応用範囲が急速に拡大しており、特に白熱灯の代わりにエネルギー効率が高いLED照明に代えるなど、世界各国のグリーン産業振興の意志に後押しされ関連市場が急速に膨張している。これに伴い、昨年一年のLED市場は前年に比べ9.8%成長し、特に照明市場でのLED需要は同期比44%の急成長を見せた。※資料出処:Strategies Unlimited(2012. 2.)

この注目すべき黄金市場の68%を10社が占め、そのうち上位2~4位に三星、オスラム、LGが並んでランクインしている点を見ると、恐らくこれらの企業間の特許紛争は避けられない選択であったことを察することができる。各社の死活的問題が関わっているためだ。

特許審判院の当該事件担当審判長は、事案の重要性と緊急性を勘案して、残りの事件も当事者に最大限の主張立証の機会は付与するものの、迅速に審理を行って結論を出す計画だと明らかにした。

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