知的財産ニュース 世の中を照らす光、LED照明回路技術の特許出願現状

2012年12月31日
出所: 韓国特許庁

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人間を闇から解放した照明技術は、白熱灯や蛍光灯などの従来照明から、感性的な照明の代表格であるLED照明に素早く代替されつつある。

LED(Light Emitting Diode)照明は、半導体によって電機エネルギーが光に変わる電光変換の半導体を光源とするものだ。LED照明は、従来の照明に比べて明るさや寿命、効率が優れ、水銀や鉛などの有害物質を使用しない環境配慮型であるため、気候変動枠組み条約(UNFCCC)やグリーン成長に相応しい最適な照明として脚光を浴びている。

LED照明市場は、LCDテレビにLED Back-Lightの採用の増加や、グローバル主要国の照明活性化政策によって持続的な成長が予想されている。Yole Developpement(フランスの市場調査機関)の最新レポート「Status of the LED Industry report」では、LED照明市場の規模が2018には170億ドルに達し、一般照明向けLED照明市場は、LED照明市場の5割以上を占めるという見通しが示されている。

韓国特許庁によると、2008年以降から2012年の上半期まで高効率LED光源を採用した照明回路技術の出願件数は、計1,594件で、毎年出願件数が増加し、2010年を頭打ちに減少傾向を維持している。

2008年以降の出願件数を出願人属性別に分析すると、サムスンやLGなどのLCDテレビメーカーやコニンクリーズケ・フィリップスエレトロニクスNV、オスラムアゲ、クムホ電機など、老舗照明メーカーが上位にランクされている。出願が一部の大手企業、グローバル企業に集中されず、8割近くの出願が中小企業などによって行われ、今後、中小企業の成長が期待できる分野だと言える。

中小企業で特に多件が出願されているLED照明回路技術分野は、優先審査の割合が毎年2割前後と高い。その理由は、まず、審査対象出願要件が大幅緩和され、優先審査の利用が容易になったこと、優秀調達物品として指定を受けるための技術認定要件に特許が含まれていること、市場を先取りするため早期特許の獲得の必要性が高まっていることなどがあげられる。

韓国特許庁の関係者は、「高効率LED照明回路技術は、最近の超原油高、電力難を解決するための強力な解決策の一つとして認められている。また、LEDが可視光無線通信分野、表示/指示分野、殺菌分野など、広範囲な分野で応用されていることを踏まえると、LED回路技術は、消費者のニーズに合わせて様々な形に進化していくと予想されている。こうしたニーズに応えるための業界の技術開発努力は、特許出願の増加につながると予想されている。」と述べた。

参考資料

LED照明活性化政策

韓国

LED照明2060計画:2020年まで、LED照明の普及率を国全体の6割、公共機関の100%

2012年まで、公共機関の照明の3割をLEDに交代

KS規格、高効率認証基準など、国家規格を確立

日本

大震災後、エコポイント制度の延長:LED照明の補償金を支給

21世紀光プロジェクト:照明エネルギーの2割削減を推進

LED照明回路技術の年度別における国内出願及び優先審査出願の現状
(単位:出願(件数)、優先審査出願の割合(%))

年度

2008

2009

2010

2011

2012.06

合計

国内

201

405

464

352

172

1594

優先審査

40

89

75

86

31

321

優先審査出願の割合

20

22

16

24

18

LED照明回路技術の出願人属性別の出願現状(期間:2008~2012.06)

出願人属性

出願件数

割合(%)

コニンクリーズケ・フィリップスエレトロニクスN.V.

82

5.2

サムスン電子

48

3.0

LGイノテック

43

2.7

サムスン電機

29

1.8

LG電子

24

1.5

イドンウォン

17

1.1

シャープ

17

1.1

ソウル半導体

15

0.9

サムスンLED

14

0.9

クムホ電機

13

0.8

TLI

13

0.8

オスラムアゲ

13

0.8

その他

1266

79.4

合計

1594

100

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