知的財産ニュース 「特許担保」貸出、来年下半期から施行

2012年12月4日
出所: 電子新聞

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特許権を担保に資金調達することが可能となった。アイデアや技術はあっても担保のない中小・ベンチャ企業には成長基盤になると期待されており、知的財産(IP)を重視する姿勢の拡大や中小・ベンチャ企業のIPに対する認識転換に貢献すると考えられている。

中小企業庁は、4日、来年の下半期から特許などの知的財産権を担保に融資を行う「特許担保ローン(仮称)」を施行すると発表した。

6月に「動産・債権などの担保に関する法律(動産担保法)」の改正により制度的基盤が設けられ、担保として設定可能な「動産」に機械・在庫資産・農畜産物に、特許までが対象となった。

政府の特許担保ローンは、特許以外にも実用新案権・デザイン権も可能だ。商標権は、中小企業の特徴を踏まえて除外する方針だ。価値(バリュー)評価は、技術補償基金のような技術評価機関に依頼する。特許の価値を1000万ウォンに評価した場合、それによる担保認定比率に応じて融資する仕組みだ。銀行では、動産担保貸出の認定比率を3~4割にしている。

中小企業庁企業金融課のキム・ムンファン課長は、「IPは、価値の明確化が困難なため、銀行が二の足を踏むことも理解できる。議論はあるだろうが、政府が優秀特許の保有企業を育成するという意味で推進している。」と述べた。

キム・ジュンベ記者

ニュースの目

「導入は歓迎する。問題は、信頼できる価値評価だ。」

特許担保ローンに対するIP専門家の反応だ。政府がIPの重要性を認めたということでは歓迎している。ただ、「企業の立場から納得できる価値評価の結果を技術評価機関が出すことは容易ではない」という向きがある。

それは、IPの市場性のためだ。一般的にIPは、汎用性を持っていないとされる。企業のニーズに応じて相当の価値を認める場合もあるが、大半がそうではない。これは、政府の評価に対するIP保有会社の不満につながりかねない。業界の関係者は、「かつて技術取引所が活性化されなかったことからも分かるように、評価が非常に難しい。まだ特許の価値を正確に評価できる水準ではない。」と指摘している。

政府は、担保認証の比率を市中銀行の商品(3~4割)より高い5割前後だと見ている。だとしても、特許の価値が期待より非常に低い水準になると、意欲的に企画した事業が頓挫してしまう恐れもある。

そのため、実施権を与えた場合など、市場で流通されるIPを中心に取引が行われるべきだという主張も提起されている。通常・専用実施権のライセンス費用で価値を逆算する方法だ。IPCubeパートナーズの代表は、「特許の価値は、評価機関によって3~4倍の差が出る。無理に特許を評価して貸し出しを行うのは、最悪の場合、失敗に終わってしまう可能性もある。」と懸念を示した。

一方、これとは反対の意見もある。既にライセンス中の企業に政策資金の需要があるかどうかについて疑問を示しているのだ。P&IPのキム・ギルへ取締役は、「IPの価値変動性が高いのは確かだが、市場の価格と多少の差があっても企業の資金調達という面では導入による実効性が大きい。」と強調した。

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