知的財産ニュース 訴訟の雰囲気…アップルが緊張するほど

2012年10月15日
出所: デジタルタイムズ

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米国の陪審員による評決後、アップルに有利に進められていたサムスン電子とアップルの特許訴訟に、どんでん返しの兆しが見えはじめた。アップルに有利な判決が控訴裁判所で差戻され、再びサムスンが有利な地位を確保できるのではないかという声が浮上している。こうした雰囲気は、米国裁判所の最終的な判決と米国国際防衛機委員会(ITC)の最終判決にも大きな影響を及ぼすとみられている。

14日、米国控訴裁判所は、サムスン電子の「ギャラクシーTab10.1」に続き、「ギャラクシー・ネクサス」の販売差し止めを下した原審判決を破棄して事件を地方裁判所に差戻した。

原審を破棄した理由について控訴裁判所は、「カリフォルニア地裁が裁量権を濫用した」と述べた。2日、米国サンノゼ市にあるカリフォルニア地裁のコウ・ルーシー裁判官は、「ギャラクシーTab10.1」の販売差止め再検討命令により、「ギャラクシーTab10.1」の仮処分決定を解除した。

また、控訴裁判所は、アップルが自社の特許を侵害したと主張している「ギャラクシー・ネクサス」の検索機能がアップルに被害を与えたという主張についても、「提出された証拠だけでは説得力がない」と指摘した。裁判所に証拠として提出された資料によると、「ギャラクシー・ネクサス」の米国内の販売台数は50万台にすぎない。消費者が「ギャラクシー・ネクサス」を購入した理由がアップルの特許である検索機能のせいだという主張の根拠もないという説明だ。

「ギャラクシーTab10.1」に続き、「ギャラクシー・ネクサス」の販売差し止めも破棄され、これまで窮地に立たされていたサムスンとしては、雰囲気を逆転させるチャンスを得たと言える。控訴裁判所が販売差し止めを下した原審を破棄したということは、今後の特許訴訟でアップルが勝訴する可能性が低くなったことを意味するためだ。

サムスン電子は、今回の控訴裁判所による判決の前まで、米国内では弱い立場にあった。8月、カリフォルニア州サンノゼ市の裁判所で陪審員は、サムスンがアップルの特許を侵害したとして1兆2000億ウォンの損害賠償を評決した。続いて先月15日には、アップルがサムスンの特許を侵害していないというITCによる予備判決が下され、アップルに軍配が上がった。

ただ、控訴裁判所の今回の判決が、サムスン電子がアップルの特許を侵害したかどうかを決定したのではなく、販売を差し止めるほどほど深刻な被害を受けたかどうかを再検討しただけに、控訴裁判所がアップルに一方的な勝利を与えた陪審員評決を完全に覆したわけではないという声もある。

現在、米国では、販売差し止めの処分を下す際に、特許訴訟で勝訴する可能性は高い販売差止め措置を取らないと、回復できないほど深刻な被害を受ける可能性が高い公平性が保たれたかどうかの判断販売差止めの措置が公共の利益に合致しているかの4つの項目を考慮している。専門家は、こうした販売差し止めの条件を踏まえると、米国控訴裁判所がアップルの一方的な要求を受け入れることはないという判断を示している。実際に、アップルのホームグラウンドである米国内でさえ陪審員の一方的な「アップルひいき」が問題となっており、サムスン電子のスマートフォンとタブレットPC端末が米国市場で人気を得ている。

今回の控訴裁判所の判決が米国内にどのような影響を与えるかについては、意見が交錯している。しかし、早ければ19日に予定されているITCの予備判定でその影響を確認できると見込まれている。ITCは、サムスンのアップル提訴、アップルのサムスン提訴をそれぞれ来年の1月と2月に最終判決を下す。

キム・ユジョン記者

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