知的財産ニュース 韓国特許庁、製薬メーカーCEOと知財権を議論
2012年11月28日
出所: 韓国特許庁
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製薬産業の育成に向け、特許庁長・製薬メーカーCEOが懇談会を開催
韓国特許庁は、11月28日の午前10時から韓国製薬協会会館にて製薬メーカーのCEO、研究所長、知財権担当者約100人が集まり、「製薬業界の知財権(IP)競争力の向上策」というテーマで懇談会を開いた。
今回の懇談会では、韓米FTAの締結による「許可・特許連携制度」の導入、薬価引き下げなどの厳しい環境に置かれている製薬メーカーの要望を聴取し、特許経営を通じた製薬メーカーの競争力向上策を議論するため開かれるもので、特許庁長と製薬メーカーCEOが直接ひざを交えて議論を交わす場が設けられたことで、知財権中心のR&D戦略が企業経営に迅速に反映できると期待されている。
懇談会では、韓国特許庁化学生命工学審査局のホン・ジョンピョ局長が「製薬産業と特許政策」というテーマで、特許観点から見た国内外の製薬産業の現状、知財権中心の製薬産業の育成戦略などを発表し、業界からは、ハンミ薬品のファン・ユシク取締役が「製薬企業の特許戦略」というテーマで、知財権基盤のR&D戦略の成果を紹介した。
キム・ホウォン庁長は、「製薬分野は、どの分野よりも特許依存度が高く、知財権を中心とする企業の経営戦略が求められている。韓国特許庁は、製薬メーカーのIP-R&D戦略の確立を積極的に支援する予定だ。」と述べた。
今年で責任運営機関として発足後4期目を迎える韓国特許庁は、知的財産の大衆化を図る方法の一つとして「知財権とR&Dの連携強化を通じた研究開発成果の効率性の向上」に向けてオーダーメイド型IP-R&D方法論を紹介している。
一方、政府からは特許庁長、化学生命工学審査局長、薬品化学審査課長などが参加し、業界からは、韓国製薬協会のイ・キョンホ会長をはじめ、テウン製薬、ハンミ薬品など、主要企業の代表取締役14人を合わせて計41社が参加した。
資料:韓国製薬業界の現状及び韓国特許庁の支援政策
1.韓国製薬企業の現状
企業規模が零細であるため、収益性や投資力が不足
韓国の上場製薬メーカーの営業利益率やR&D投資率は、グローバル製薬メーカーの半分水準
- 営業利益率
韓国の上場企業 vs. グローバル企業、10.0%、20.7% - R&D投資率
韓国の上場企業 vs. グローバル企業、9.1%、16.8%
保険の薬価引き下げ策の施行により製薬業界の売上高が減少
オリジナル医薬品の特許が切れ、ジェネリック薬が市場に投入される際に保険薬価が引き下げられ(対象:2012年1月施行後に登載される医薬品)
- オリジナルとジェネリックともに最小価格の53.6%がダウン
- ただし、施行後1年間、オリジナルは最小価格の70%、ジェネリックは59.5%がダウン
医薬品の許可・特許連携制度を導入
ジェネリック薬の市進入による韓国製薬メーカーの売上高の減少は、年平均約440~920億ウォンになると予想
- グローバル製薬メーカーと韓国製薬メーカー間の特許係争の割合は、制度導入前の27%から約40%に増加すると予想(韓米FTA後続対策の製薬産業の競争力強化策、保健福祉部、2007年6月)
2.製薬分野の知財権の現状
国内外における特許出願の現状
- 韓国の医薬分野の特許出願は、他分野に比べて外国人の出願の方が内国人の出願を大幅に上回っており、コア・基盤技術特許の大半が外国人により出願
- 最近10年間(2000~2009年)の医薬分野の国内出願のうち内国人の出願が占める割合は、36.8%で、全体のうち、内国人の出願の割合75.7%の1/2水準(2011 保険産業白書、保険産業振興院)
- 計20,277件のうち、内国人出願が7,458件、外国人の出願が12,819件
- 1987年以降、コア・基盤特許に当たる特許権の存続期間延長登録出願が302件だが、そのうち89%が外国人による出願
- この20年間、韓国10大製薬メーカーの海外主要国における特許保有件数は1,699件で、グローバル10大製薬メーカーの34,600件の4.9%水準
※企業別に米国、日本、欧州、WIPOの特許件数を分析した結果(1991年1月~2011年3月)
韓国製薬メーカーにおける特許担当チームの規模
韓国10大製薬メーカーにおける特許担当労力は、平均5~9人※で、2007年(3~4人)より2倍程度増加したが、グローバル製薬メーカー※※よりは非常に低い水準
※弁理士は1~3人、取締役は1人
※※(グローバル製薬メーカーの弁理士数) ファイザー79人、メルク:61人、イーライリリー:50人
3.韓国製薬業界のビジョン
厳しい環境の中でも、最近前向きな変化が現れ
R&D投資の拡大により新薬や改良新薬の開発に成功し、世界10番目の新薬開発国を実現
- 上場会社の売上高のうち、R&D投資が増加(5.3%(2006年)→9.1%(2011年))
- 計19種類の新薬を開発
政府(保健福祉部)が製薬産業の発展策を施行
- 2020年まで世界7大の製薬大国入りを実現
- 生産・輸出の目標
R&D投資10兆ウォン(現在1兆ウォン)、輸出47兆ウォン(現在1.9兆ウォン)、世界市場のシェア4.5%(現在1.5%)
- 生産・輸出の目標
- グローバルジェネリック薬メーカー、グローバルメジャー企業など、企業のタイプ別に応じて支援
許可・特許連携制度への備えの必要性
- 製薬業界は、研究開発力と条件を整えている製薬メーカーとその他の製薬メーカーに分化され、技術基盤を保有した場合、国際競争力が向上すると予想
- FTAによる知的財産の強化には、革新的な新薬、改良新薬、バイオ・ジェネリックなど、コア特許を保有するための研究開発戦略が必要
4.製薬産業の育成に向けた韓国特許庁の支援政策
強い特許の創出に向けた迅速かつ高品質の審査・審判サービスを提供
- 2015年度まで審査処理期間を10ヵ月に短縮
- 無効化されない強い特許を創出するため審査品質の向上への取り組みを強化
製薬メーカー群別に合わせた知的財産権の戦略確立を支援
- ファーストトラック(First TRACK)(グローバルメジャー・専門製薬メーカー)
R&D初期段階から強い知財権のポートフォリオ構築を支援
知財権中心の技術獲得戦略、政府R&D特許動向の調査など - セカンドトラック(Second TRACK)(グローバルジェネリックメーカー)
グローバル製薬メーカーの特許戦略の克服及び特許挑戦を支援
企業別の特許紛争コンサルタント、国際特許紛争事例のDBを提供
医薬品の許可・特許連携制度の早期定着を支援
- 許市販防止措置(協定文(b)項)関連の立法案づくりに積極的に参加
許可の自動遅延の期間、市販防止係争の種類、ファーストジェネリックの独占権者の選定など、市販防止措置(特許権者がジェネリック社に特許訴訟を提起した場合、訴訟が終了するまでジェネリック社の製品の市販を制限する制度(出処:ヘルス朝鮮))関連の立法案づくりに積極的に参加
- 特許係争の迅速な処理
許可・特許連携制度に関連した無効審判、権利範囲の確認審判を請求した際、迅速・優先審判の対象として処理し、特許係争の長期化によるジェネリック医薬品の市場進入の遅延を防止
- 国際特許紛争の対応戦略の確立を支援
海外の許可・特許連携制度の特許挑戦時における特許障壁を解決するため、特許紛争ごとに合わせたコンサルタント、国際訴訟保険の支援及び国際特許係争の事例DBを提供
※医薬品の許可・特許連携制度
ジェネリック薬が許可申請された場合、
- 許可申請の事実を特許権者に通知し(2012年3月15施行)
- 特許権者が同ジェネリック薬が自分の特許を侵害したかどうかの判断を受ける手続きを確立(2015年3月15日施行)
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