知的財産ニュース 大人気だった「羽根のない扇風機」がついに

2012年2月16日
出所: デジタルタイムズ

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羽根のない扇風機を開発したダイソン社(イギリス)が、強力な特許権の確保と迅速な特許紛争戦略で、模倣品を市場から追い出した。強力な特許権を確保することの重要性を改めて示した結果であるという点で企業に示唆するところが大きい。

特許庁は、最近ダイソンの特許に対する特許無効審判と権利範囲確認審判が特許審判院に各々提起されたが、ダイソンは強固に設定された特許権利範囲に基づいて特許権利が有効で、模倣品はダイソンの特許権利の範囲に属するという審決を受けたと16日明らかにした。

審決は、ダイソンの特許に対する無効審判請求資料が扇風機、エアコンなど空気調和分野の先行特許でない流体力学の教科書に出てくる「ベルヌーイ定理」を適用したもので、ダイソンの羽根のない扇風機の特許は、革新的かつ権利範囲が広く、強力に設定されたものだと判明したというのが特許庁の説明だ。

ベルヌーイ定理は、空気など流体の流れから速度、断面積、圧力との関係を規定するもので、断面積が小さくなれば速度が速くなる。ダイソンの特許は、市場に出た模倣品が権利範囲を侵害せずに回避できる方法を探すのが難しいほどの強力な特許と評価された。

ダイソンは模倣品の発売に対応するため、韓・イギリス特許庁間で締結された特許審査ハイウェイ(PPH)、優先審判制度など短期間に審査・審判を処理する特許制度を活用、迅速に紛争に対応し、解決する特許戦略を講じて勝訴をもたらした。

特許庁関係者は「ダイソンの羽根のない扇風機のように、強い特許権を確保するためには特許請求範囲に自己の権利が確実に設定されているかを出願段階で徹底的に検証することが重要だ」とし、「特許権を迅速に受けるのも重要だが、特許権利を強くかつ広く確保することが市場での企業の運命を決めるだけに、国内企業もダイソンのような特許戦略を講じなければならない」と話した。

一方、世界で初めて開発された「MP3プレーヤー」と平地でも独自の推進力で進む「エスボード」などは、新市場を創出する革新的な製品として市場での反応が大きかったが、製品を保護できる特許権が確実に設定されておらず、模倣品の出現で会社が倒産した。

李・ジュンギ記者

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