知的財産ニュース サムスン、世紀の訴訟合戦で事実上の勝利

2012年8月24日
出所: デジタルタイムズ

3690

“アップル2件・サムスン1件それぞれの特許を侵害”
アイフォン4・ギャラクシーS2「販売禁止・廃棄処分」命令
アップルのデザイン侵害は棄却…サムスン電子の通信技術侵害の大半を認定

サムスン電子とアップルが韓国裁判所で繰り広げてきた初の訴訟で、サムスンが事実上勝利した。裁判所は、アップルがサムスンの通信技術特許2件を、サムスンはアップルのバウンスバック特許をそれぞれ侵害したと判断した。したがって、アップルのアイフォン4、サムスン電子のギャラクシーS2などに販売禁止命令が下された。

結局、アップルのデザイン特許侵害主張は棄却されたうえ、侵害が認められた部分も新製品では採用していない機能だが、携帯電話端末の生産に不可欠なサムスンの通信技術の特許侵害主張は、大半受け入れられたため、サムスンに軍配が上がったと評価されている。

ソウル中央地方裁判所の民事合意11部(ペ・ジュンヒョン部長判事)は、24日、サムスン電子がアップルを相手に提訴した特許侵害禁止請求訴訟で、アップルが2件の特許を侵害した事実が認められるとして原告の一部勝訴判決を言い渡した。そして、1件当たり2000万ウォンの賠償支払いとアイフォン3GSとアイフォン4、アイパッド1、アイパッド2などの関連商品の販売禁止及び廃棄処分を命令した。現在販売されているアイフォン4Sとアイパッド3は除外された。

裁判部は、「サムスン電子が侵害したと主張する自社特許5件のうち、アップルがCDMA通信システム関連の975特許、移動通信システム関連の900特許を侵害した事実が認められる。」と述べた。裁判部はまた、「サムスン電子が特許に対してフランド(FRAND)宣言をした後、アップルを提訴したことが真意真実の原則に反するものや社会秩序に反するものだとは言い切れないため、権利濫用に該当するとも言えない」と述べた。

フランドとは、「公正かつ合理的で非差別的な(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)」の略語で、特許がないメーカーが適正な特許使用料を支払い、標準特許で製品を開発する権利を意味する。

裁判部は、「サムスン電子が訴訟を通じて市場での独占を維持・強化する狙いがある、又は、著しく差別的な値段などの不公正な条件をアップルに提示したとは言えないため、公正取引法に違反すると見なす根拠もない」と強調した。

しかし、裁判部は、アップルの反訴にもサムスンがアップルの特許1件を侵害したとして原告の一部勝訴判決を言い渡した。したがって、裁判部は、サムスンに対し「2500万ウォンのアップルへの賠償と、ギャラクシーS2商品などの販売禁止及び廃棄処分」を命令した。

裁判部が特許侵害を認めた部分は、アップルのインターフェース関連特許(バウンスバック・120特許)で、アップルが訴訟で主に主張してきたデザイン特許侵害は全て却下された。バウンスバックは、指で端末画面をタッチしてスクロールする際、わずかに跳ね返ったように見せてそれ以上はスクロールできないことを示す技術で、現在サムスンの新製品には採用されていない。

サムスン電子は、昨年4月にアップルのアイフォン・アイパッドがデータ分割伝送などに関する特許を侵害したとしてソウル中央地裁に訴訟を提起した。その2ヶ月後の6月にアップルが同裁判所に「サムスン電子のスマートフォンとタブレットPCが自社のデザイン特許とユーザー・インターフェース(UI)特許を勝手に使用した」として反訴した。

金ユジョン記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195