知的財産ニュース テレビを見ながらスマートフォンを手に持つ理由は?

2012年11月1日
出所: 韓国特許庁

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今やスマートフォンが万能リモコンに

誰でも一度はテレビのリモコンが見つからず、もしくは、リモコンのバッテリーが切れたり、リモコンが故障したりして不便さを感じた経験があるはずだ。こうした不便さは、スマートフォンをリモコンの代わりに使えば、すぐ解決できる。一時は注目されなかった携帯電話のリモコン技術がスマートフォンの登場とともに再び注目され、関連特許も再評価されると見られている。

従来には家電機器ごとにリモコンが異なり、家庭では数本のリモコンを保有していたが、今や、テレビからパソコン、クーラーなどの家電機器をはじめ、自動車、カメラ、カラオケ端末も万能リモコンのようにスマートフォン一つでコントロール可能になっている。

韓国特許庁によると、携帯電話をリモコンとして使用する技術の特許は、1992年以降から今(2012年10月現在公開件数ベース)まで167件が出願されたという。(資料1を参照)

具体的には、携帯電話を万能リモコンのように使用する技術、サーバーにコントロールコードやリモコンのソフトウェアをダウンロードするための技術などが多くなっている。出願別には、大手企業が72件(43%)、中小企業が41件(24%)、大学及び研究機関が6件(4%)、個人が48件(29%)であり、大手企業だけでなく中小企業や個人も大きな関心を示していることがうかがえる。(資料2を参照)

年度別における出願件数は、2000年前まで13件、2001~2005年98件、2006~2010年51件と2000年代初め頃に出願が集中している。これは、韓国で移動通信産業が本格化した2000年代初めに携帯電話の応用サービスへの関心が高まり、携帯電話のリモコン技術の特許出願も積極的に行われたことを示している。

2000年代半ばから出願件数は減少したが、これは、携帯電話に具現されたリモコンの機能に限界があったためだ。携帯電話端末のキー配列がリモコンとして使用するには不便だということで、携帯電話のリモコン技術が普及できなかったのだ。

しかし、2010年以降からスマートフォン市場が急成長し、スマートフォンにおけるリモコン技術が再び注目を集めている。アプリケーションサービスの普及で、リモコンアプリケーションを手に入りやすくなったことに加え、タッチスクリーンをリモコンのキー配列と同様に具現できるようになり、便利に利用できるためだ。

特に、スマートテレビの普及で、スマートフォンをテレビのリモコンとして利用する事例が急増している。スマートフォンのリモコンアプリケーションのダウンロード件数は、2012年10月現在、100万件以上[1]に達している。2000年代半ばから横ばい状態だった出願件数がスマートテレビの拡大により再び増加すると予想されている。

最近、出願されているスマートフォンのリモコン技術は、単純なコントロール機能にスマートフォンの様々な機能が融合されている。例えば、1台のスマートフォンで隣のスマートフォンカメラをコントロールし、カメラリモコンのように使用できる技術や、スマートフォンのGPS機能で位置に応じてコントロールしたい機器を自動に選択する技術などがある。

韓国特許庁ネットワーク審査チームのチェ・ボンムクチーム長は、「スマートフォンのリモコン機能は、スマートフォンに取り付けられているセンサー、GPS、カメラ、音声認識機能などと融合しよりスマート化すると見込まれており、スマートフォンのリモコン機能を応用した技術はこれからも出願が続くだろう。」と述べた。

資料1:年度別における出願件数

図:年度別における出願件数 棒グラフ

年度

~99

'00

'01

'02

'03

'04

'05

'06

'07

'08

'09

'10

'11

出願
件数

11

2

22

15

22

19

20

8

14

2

11

16

5

資料2: 出願人別の出願動向

図:出願人別の出願件数 円グラフ


注記

[1] 2012年10月現在、アンドロイドマーケットのA社のアプリケーション「TV remote」のダウンロード件数

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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