知的財産ニュース LG電子のLED商品、米国向け輸出停止の危機が解消

2012年8月12日
出所: 電子新聞

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米国におけるLG電子とオスラムの発光ダイオード(LED)特許紛争で、LG電子が局面を変えるチャンスを迎えた。テレビやモニターなどのLED製品の対米輸出中断の危機が解消されたといえる。

関連業界によると、米国国際貿易員会(ITC)は12日、LG電子のオスラムLED特許侵害による輸入差し止め対象品目にLEDパッケージだけを指定し、テレビやモニターなどは除外したという。今回の決定は、7月にITCが下した特許侵害判定に続く後続措置として輸入禁止対象品目を決めたものだ。

6月にオスラムがLG電子とLGイノテックを相手に提起した訴訟では、オスラムに軍配が上がった。特定構造の蛍光体を採用したオスラムの白色LED関連特許をLG電子のLEDパッケージが侵害したと判定した。

そのため、問題となったLEDパッケージだけでなく、それを採用したLG電子のテレビやモニターなども対米輸出に打撃を受けるのではないかと懸念されていた。しかし、ITCは、部品と最終製品を分離した。部品であるLEDより、最終製品の技術的価値や価格などが高いため、最終製品まで輸入禁止することは、特許権者の過度な保護になり、公平ではないとして、特許を侵害したLEDパッケージの輸入は禁止しても最終製品は除外する決定を下したのだ。

LG電子が被る被害は、事実上、皆無になるとみられる。輸入禁止にされたLEDパッケージは、一部に限られており、米国に直接輸出していない。また、テレビ・モニターなど、主力の最終製品の輸出停止のリスクも無くなった。

LG側は、「合理的でバランスの取れた判断」だと歓迎した。6月にドイツのハンブルク裁判所でオスラムに敗訴したため、米国のITCでも敗訴すれば、被害が大きくなると予想されていた。今回の判決でオスラムの攻勢に反撃するチャンスを得たと分析できる。LG電子は、ITCにオスラムを反訴したことがある。

オスラムのLG提訴の最終判決は11月に行なわれる予定だ。グローバル照明メーカーであるオスラムは、LEDが次世代光原として浮上すると、LG電子やサムスン電子などを相手に訴訟を提起した。新規参入者を牽制する目的で、昨年6月からドイツ・米国・韓国など、世界で1年以上も攻防を続けている。

LG電子は、オスラムに強硬姿勢で対応している反面、サムスン電子は裁判での争いを止めることを決めた。サムスン電子とオスラムは11日、LED技術関連訴訟の全てを取り下げることで合意した。両社はさらに、「クロスライセンス契約」も今月末に締結する計画だ。和解金や技術使用料などの具体的な内容は公開されていない。オスラムとの訴訟で、強硬な姿勢を示してきたサムスン電子は、「不毛な訴訟合戦よりは、相互がウィンウィンできる協力関係を構築したい。」とその理由を述べた。

オスラムは、6月に韓国LEDメーカーのルメンスと特許使用契約を締結した。オスラムと韓国企業間の相次ぐ合意が、LG電子とオスラムの争いに影響を与えるかどうかに注目が集められている。

伊ゴンイル記者

日付

概要

内容

2011年6月

オスラムがITCにLG電子・LGイノテックを提訴

特許侵害を主張し、部品・最終製品の輸入差し止めを申請

2012年7月

ITC、特許侵害の有無を判定

LGのオスラム特許1件を侵害、1件を非侵害

2012年8月

ITC、輸入差し止め対象を判定

特許を侵害した一部のLEDパッケージの輸入を禁止し、テレビ・モニターなどの最終製品は禁止対象から除外

2012年11月

ITC、最終判決の予定

最終判決

日付

概要

内容

2011年6月

オスラム、ドイツ・米国でサムスン電子を提訴

特許侵害訴訟を提起

2011年7月

サムスン、米国・韓国でオスラムを提訴

輸入差し止め及び特許侵害訴訟を提起

2011年8月

オスラム、韓国で特許無効審判を提起

LED特許の無効を主張

2011年8月

オスラム、韓国で損害賠償請求を提起

特許侵害禁止及び損害賠償を主張

2012年5月

特許審判院、オスラム特許の無効を審判

サムスンの無効主張を認め、オスラムの白色コンバージャン特許2件を無効化

2012年8月

サムスン‐オスラムの訴訟取り下げに合意

相互の特許使用契約を締結

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