知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)2020年に新しく変わる韓国の知的財産制度

2020年01月15日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.136)
康& 康国際特許法律事務所 所長弁理士 康 一宇(カン・イルウ)

2020年の幕開けと共に、韓国特許庁は、急速に変化する知的財産の環境に積極的に対処するため、「2020年に新しく変わる知的財産制度」を発表しました。本稿では、新しく変わる知的財産制度の概要について、ご紹介します。

第四次産業革命分野の新技術の早期権利化支援

オンライン伝送ソフトウエア特許の保護
これまでは記録媒体(CD、USB等)に格納して流通するソフトウエア特許のみが保護対象でしたが、流通過程に関係なく、オンライン伝送ソフトウエア特許も保護されるようになります。(2020年3月施行)
素材・部品・設備企業の優先審判対象の拡大
素材・部品・設備企業(※注1)が当事者である無効審判、権利範囲確認審判について、優先審判の対象として拡大されます。(2020年1月施行)
(注1)素材・部品・設備産業の競争力強化のための特別措置法(2019年12月公布)に該当する企業
デザイン優先審査対象の拡大
人工知能(AI)、モノのインターネットなど第四次産業革命に関連する技術を活用したデザイン登録出願を優先審査対象に含めます。(2020年1月施行)

知的財産サービスの便宜増進

電子出願システムの改善
スマートフォンなどの様々な端末を通じて商標出願が可能となるシステムを構築し、また、平日と土曜日のみ利用可能だった24 時間出願受付を日曜日にまで拡大します。(2020年3月予定)
デザイン一部審査のリアルタイム処理
全体の審査期間を大幅に短縮し、実質的にリアルタイム(2019年60日→2020年10日)となるように審査所要期間を短縮します(2020年1月施行)
特許実用新案明細書の提出形式の簡便化
特許・実用新案の出願時には、所定の様式に基づいて明細書を提出する必要がありましたが、論文・研究ノート等を編集することなしにそのまま提出できるように簡便化します。(2020年2月予定)

知的財産基盤の中小ベンチャー企業のイノベーション成長を支援

スタートアップ特許の優先審査申請料の減免
スタートアップの特許出願について優先審査を申請する場合、優先審査申請料が20 万ウォンから6万ウォンに70%減免されます。(2020年1月予定)
知的財産担保融資の特許登録料の減免
銀行が、知的財産担保融資などIP金融を実行した中小企業の特許権等を保有することになった場合に、登録料が50%減免されます。(2020年1月予定)
グローバルIPスター企業の育成強化
地域の有望輸出企業を対象に、地域特化産業技術分野に対する集中支援を通じて、グローバルIPスター企業の育成を強化します。(2020年1月実施)
支援規模:(2019年)150 億ウォン、570 社 → (2020年)170 億ウォン、700 社
支援範囲:(2019年)海外出願費用 → (2020年)海外出願費用+審査対応費用、登録費用
以上の他にも韓国特許庁は、共有商標権の共有者の1人が単独で申請しても商標権の存続期間更新登録が可能となるよう「共有商標権の存続期間更新登録の申請」を改善(2019 年10月)するなど、便宜を増進するための様々な制度を2019年下半期から実施しています。これらの新たな制度によって、韓国の知的財産環境がより一層発展することが期待されます。

今月の解説者

康& 康国際特許法律事務所(KANG & KANGInternational Patent & Law Office) 康一宇(カン・イルウ) 所長弁理士
75年ソウル大学工学部卒、77年株式会社大宇入社、82年康&康国際特許法律事務所代表就任。大韓弁理士会副会長、アジア弁理士会韓国協会会長など歴任。97年特許庁長表彰(産業財産権制度の発展)受賞。
(監修:日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所副所長 浜岸広明)

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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