韓国の貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2025年のGDP成長率は1.0%に低下。
  • 輸出は半導体が牽引し過去最高を記録。
  • 対内直接投資は米国などが増加し、過去2番目の水準に。
  • 対外直接投資は日米などが堅調で、過去3番目の水準に。
  • 韓国の対日貿易赤字は半導体製造装置の輸入増などで拡大。日本の対韓直接投資は反動減、韓国の対日直接投資は過去最高を更新。

公開日:2026年6月19日

マクロ経済

2024年の回復から一転、経済成長率は再び鈍化

2025年の韓国の実質GDP成長率は1.0%と、前年の2.0%から低下した。需要項目別にみると、輸出では半導体を中心に好調が続き、通年で4.2%増と経済成長を下支えした。成長率に対する輸出の寄与度は1.9ポイントとなったほか、速報値基準の半導体のみの寄与度は0.9ポイントに上った。一方で、内需は引き続き伸び悩んだ。民間最終消費支出は、政府のクーポン配布などによる消費喚起策によって第2~3四半期にかけて回復の傾向がみられたものの、通年では緩やかな回復にとどまり1.3%増となった。また、住宅市況の低迷や建設コストの高止まりを背景とした建設投資の減少が継続し、通年で9.8%減、寄与度はマイナス1.4ポイントと最大の押し下げ要因となった。

2025年は政権交代の年となった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が弾劾手続きを経て罷免されたため、5年の任期終了を待たず大統領選挙が行われた。その結果、当選した李在明(イ・ジェミョン)氏が6月に大統領に就任した。就任演説およびその後の政策発表を通じ、停滞する経済の再建や国民生活の回復を訴えた。就任時点で示された方針は「実用主義」に基づく経済運営であり、人工知能(AI)や半導体などの先端産業への大規模投資や規制緩和による企業活動の支援、再生可能エネルギーへの転換などを通じた成長力強化を柱とする。また、外交面においては、国益優先の「実用外交」を掲げ、日本を「重要な協力パートナー」に位置付けるなど、歴史問題と経済・安全保障分野を切り分けて協力を進める姿勢を示している。

2026年の経済運営については、1月に発表した経済成長戦略で、経済成長率2.0%の達成と戦略産業のグローバル競争力強化を主要目標に掲げた。約728兆ウォンの予算を背景に、短期的な需要喚起と中長期の潜在成長率引き上げを同時に進める方針だ。

韓国銀行(中央銀行、以下中銀)は2026年5月、同年の実質GDP成長率を2.6%とする経済見通しを発表した。半導体などIT関連輸出の好調を受けて、前回の2月発表時から0.6ポイントの大幅な上方修正を行った。輸出以外では、政府の補正予算や好調な株式市場も経済見通しの押し上げ要因になった。一方、中東情勢は、企業活動や消費に悪影響をもたらすとして、押し下げ要因となった。ところで、中銀によると、2026年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比)における半導体製造業の寄与率は55%となっている。すなわち、経済成長の半分以上は半導体製造業によって生み出されている。現在は成長エンジンとして機能しながらも、半導体サイクルの中で今後の景気減速の要因となるリスクを内包している。

表1 韓国の需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 1.6 2.0 1.0 △ 0.2 0.7 1.3 △ 0.2
民間最終消費支出 2.0 1.1 1.3 △ 0.1 0.5 1.3 0.3
政府最終消費支出 1.9 2.1 3.0 0.0 1.2 1.3 1.3
国内総固定資本形成 △ 0.2 △ 0.8 △ 3.2 △ 1.1 △ 1.0 1.4 △ 2.2
財・サービスの輸出 3.4 6.8 4.2 △ 0.6 4.5 2.1 △ 1.7
財・サービスの輸入 3.0 2.5 3.8 △ 1.1 4.2 2.0 △ 1.5

〔注〕四半期データは季節調整済み・前期比。2025年は暫定値。
〔出所〕韓国銀行

貿易

半導体輸出の好調により初の年間7,000億ドルの輸出を達成

2025年の輸出(通関ベース、以下同様)は前年比3.8%増の7,093億3,005万ドルと、前年に引き続き過去最高を更新し、初めて7,000億ドルを突破した。輸入は、前年からほぼ横ばいの6,318億9,537万ドルだった。貿易収支は774億3,468万ドルの黒字だった。産業通商部は2026年1月1日付のプレスリリースで、輸出増加の背景について「半導体・自動車・船舶などの主力品目の好調が継続した中、電気機器・農水産食品・化粧品が過去最高実績を記録するなど、新しい成長動力として定着した」とした。また、輸出先の地域については「米国・中国向け輸出の割合が低下し、ASEAN・中南米・CISなどの割合が上昇したことで、輸出先の多角化の傾向がみられた」とした。輸入については、エネルギー以外の輸入額が増加(3.7%増)した一方、原油価格下落の影響によってエネルギー輸入額が減少(13.4%減)したことで横ばいとなったと説明した。

2025年の輸出を主要品目別(韓国独自コードのMTI3桁ベース、(注))にみると、最大の輸出品目である半導体は、AIデータセンター向けの需要増加と半導体の価格上昇によって、前年比22.2%増の1,734億600万ドルとなった。前年に引き続き2年連続で過去最高を更新したほか、輸出額全体の24.4%を占めるなど、増加を牽引した。品目別2位の自動車は、前年比1.7%増の719億7,452万ドルで、過去最高を記録した。最大の輸出先である米国向けが追加関税の影響や現代自動車グループによる米国新工場稼働を受けて減少したものの、ハイブリッド車(HEV)や中古車の輸出がEUやCISを中心に増加した。船舶海洋構造物および部品は前年比24.1%増の318億1,559万ドルだった。

(注)
MTIは2026年6月1日に改定されたが、本稿は旧コードに基づくデータをもとに執筆。

2025年の輸入を品目別にみると、最大の輸入品目である半導体は前年比4.9%増の757億8,690万ドルだったほか、半導体製造装置は設備投資の活発化によって18.6%増の264億1,136万ドルと、半導体関連の増加が目立った。一方、エネルギー価格の低下などから、品目別2位の原油は11.8%減の753億484万ドル、天然ガスは11.1%減の260億1,595万ドル、石炭は24.1%減の125億808万ドルと減少が目立った。また、数量ベースでは、天然ガスは0.8%増だった一方で、原油は0.1%減、石炭は4.1%減となった。

表2-1 韓国の主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
項目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
農林水産物 11,664 12,416 1.8 6.4
鉱産物 55,847 53,466 7.5 △ 4.3
鉱物性燃料 50,807 46,149 6.5 △ 9.2
石油製品 50,326 45,459 6.4 △ 9.7
化学工業製品 94,716 90,208 12.7 △ 4.8
石油化学製品 47,988 42,520 6.0 △ 11.4
合成樹脂 23,590 21,657 3.1 △ 8.2
精密化学製品 37,666 39,177 5.5 4.0
プラスチック・ゴム・皮革製品 15,368 14,687 2.1 △ 4.4
繊維類 10,463 9,679 1.4 △ 7.5
生活用品 9,658 10,101 1.4 4.6
鉄鋼・金属製品 48,731 46,802 6.6 △ 4.0
鉄鋼製品 33,282 30,286 4.3 △ 9.0
機械類 185,852 189,303 26.7 1.9
輸送機械 123,239 130,063 18.3 5.5
自動車 70,782 71,975 10.1 1.7
船舶海洋構造物 25,636 31,816 4.5 24.1
産業機械 18,047 16,562 2.3 △ 8.2
基礎産業機械 17,090 16,187 2.3 △ 5.3
電子・電気製品 245,948 276,514 39.0 12.4
電子部品 179,306 208,679 29.4 16.4
半導体 141,920 173,406 24.4 22.2
産業用電子製品 43,099 43,883 6.2 1.8
電気機器 15,569 16,683 2.4 7.2
雑製品 5,362 6,154 0.9 14.8
合計(その他含む) 683,609 709,330 100.0 3.8

〔注1〕品目区分は韓国独自コードMTIに依拠。MTI1桁ベース全品目、2桁ベース上位10品目、3桁ベース上位5品目を掲載(いずれも2025年)。
〔注2〕MTIは2026年6月1日に改定されたが、本表は旧コードに基づき作成。
〔出所〕韓国貿易協会

表2-2 韓国の主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
項目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
農林水産物 44,705 45,507 7.2 1.8
農産物 24,300 24,370 3.9 0.3
鉱産物 188,722 173,947 27.5 △ 7.8
金属鉱物 24,147 32,061 5.1 32.8
鉱物性燃料 162,808 140,306 22.2 △ 13.8
原油 85,334 75,305 11.9 △ 11.8
石油製品 25,057 21,228 3.4 △ 15.3
天然ガス 29,272 26,016 4.1 △ 11.1
化学工業製品 61,327 60,057 9.5 △ 2.1
精密化学製品 37,702 36,877 5.8 △ 2.2
プラスチック・ゴム・皮革製品 8,194 8,391 1.3 2.4
繊維類 19,261 19,048 3.0 △ 1.1
生活用品 21,595 21,947 3.5 1.6
鉄鋼・金属製品 42,020 46,802 7.4 11.4
鉄鋼製品 21,118 18,652 3.0 △ 11.7
非鉄金属製品 19,760 21,101 3.3 6.8
機械類 87,893 95,016 15.0 8.1
精密機械 24,776 28,638 4.5 15.6
半導体製造装置 22,261 26,411 4.2 18.6
輸送機械 32,239 33,799 5.3 4.8
電子・電気製品 156,231 165,214 26.1 5.7
産業用電子製品 41,058 45,313 7.2 10.4
電子部品 89,675 93,498 14.8 4.3
半導体 72,216 75,787 12.0 4.9
雑製品 1,821 1,822 0.3 0.1
合計(その他含む) 631,767 631,895 100.0 0.0

〔注1〕品目区分は韓国独自コードMTIに依拠。MTI1桁ベース全品目、2桁ベース上位10品目、3桁ベース上位5品目を掲載(いずれも2025年)。
〔注2〕MTIは2026年6月1日に改定されたが、本表は旧コードに基づき作成。
〔出所〕韓国貿易協会

2025年の輸出を国・地域別にみると、最大の輸出先である中国は前年比1.7%減の1,307億8,148万ドル、2位の米国は3.8%減の1,228億5,092万ドルと両国ともに減少となった。その一方、両国への輸出構成比は依然として高く、全体の35.8%を占めた。中国向けの輸出額を品目別(韓国独自コードのMTI3桁ベース)にみると、最大の半導体は2.6%増の477億ドル6,795万ドルだった。半導体のみで同国向け輸出の36.5%を占めた。その他は、無線通信機器(7.2%減)、合成樹脂(12.8%減)、エチレンなどの石油化学基礎製品(3.5%減)などが続いた。米国向けは、最大の自動車が13.2%減の301億5,382万ドル、半導体は28.9%増の137億6,757万ドルとなった。その他、自動車部品(6.7%減)、コンピュータ(2.2%減)などが続いた。半導体の輸出先をみると、1位は中国で、台湾、ベトナム、香港、米国と続いた。中でも、台湾(67.9%増)とベトナム(36.6%増)の増加幅が大きかった。

2025年の輸入を国・地域別にみると、最大の輸入先である中国は前年比1.5%増の1,419億5,098万ドルで、輸入構成比は22.5%を占めた。品目別にみると、最大の半導体は2.4%増となった。半導体は中国からの輸入額全体の16.5%を占める中核であり、2025年の対中輸入増加を牽引した。一方、品目別3位の精密化学製品が18.1%減と大きく落ち込んだ。

表3-1 韓国の主要国・地域別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア 373,811 397,621 56.1 6.4
中国 133,011 130,781 18.4 △ 1.7
台湾 33,969 37,444 5.3 10.2
香港 35,022 34,832 4.9 △ 0.5
日本 29,607 28,308 4.0 △ 4.4
ASEAN 114,011 122,489 17.3 7.4
ベトナム 58,323 62,775 8.8 7.6
シンガポール 18,224 19,553 2.8 7.3
マレーシア 10,443 12,366 1.7 18.4
フィリピン 10,247 11,616 1.6 13.4
タイ 7,678 8,010 1.1 4.3
インド 18,696 19,231 2.7 2.9
北米 138,113 133,059 18.8 △ 3.7
米国 127,761 122,851 17.3 △ 3.8
カナダ 10,352 10,208 1.4 △ 1.4
欧州 91,285 94,509 13.3 3.5
EU27 68,080 70,130 9.9 3.0
オランダ 6,799 9,620 1.4 41.5
ドイツ 9,037 9,274 1.3 2.6
ポーランド 8,910 9,005 1.3 1.1
英国 6,642 7,169 1.0 7.9
中南米 29,008 31,000 4.4 6.9
メキシコ 13,604 12,056 1.7 △ 11.4
ブラジル 5,251 7,710 1.1 46.8
大洋州 22,211 23,539 3.3 6.0
オーストラリア 15,598 14,174 2.0 △ 9.1
中東 19,683 20,438 2.9 3.8
トルコ 9,009 9,092 1.3 0.9
アフリカ 9,428 8,989 1.3 △ 4.7
その他 71 176 0.0 148.2
合計 683,609 709,330 100.0 3.8

〔注〕輸出額上位20カ国・地域を抜粋。
〔出所〕韓国貿易協会

表3-2 韓国の主要国・地域別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア 307,730 318,299 50.4 3.4
中国 139,878 141,951 22.5 1.5
日本 47,594 48,909 7.7 2.8
台湾 30,225 32,324 5.1 6.9
ASEAN 78,828 82,183 13.0 4.3
ベトナム 28,444 31,774 5.0 11.7
マレーシア 13,981 15,513 2.5 11.0
シンガポール 10,560 11,375 1.8 7.7
インドネシア 12,564 11,304 1.8 △ 10.0
タイ 7,174 6,969 1.1 △ 2.9
欧州 83,443 86,079 13.6 3.2
EU27 64,749 66,759 10.6 3.1
ドイツ 22,292 21,629 3.4 △ 3.0
オランダ 8,174 10,053 1.6 23.0
フランス 8,148 8,643 1.4 6.1
イタリア 7,725 7,900 1.3 2.3
北米 78,985 79,939 12.7 1.2
米国 72,132 73,366 11.6 1.7
中東 93,158 77,902 12.3 △ 16.4
GCC 78,496 62,854 9.9 △ 19.9
サウジアラビア 31,450 27,432 4.3 △ 12.8
アラブ首長国連邦 17,931 14,117 2.2 △ 21.3
カタール 14,208 9,923 1.6 △ 30.2
クウェート 8,850 7,924 1.3 △ 10.5
イラク 9,028 9,107 1.4 0.9
大洋州 32,946 35,729 5.7 8.4
オーストラリア 29,955 32,091 5.1 7.1
中南米 27,741 27,112 4.3 △ 2.3
メキシコ 7,514 8,466 1.3 12.7
アフリカ 7,315 6,717 1.1 △ 8.2
その他 450 118 0.0 △ 73.7
合計 631,767 631,895 100.0 0.0

〔注〕輸入額上位20カ国・地域を抜粋。
〔出所〕韓国貿易協会

2026年の輸出入について、政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は、5月13日に公開した「2026年上半期の経済展望」で、「輸出は、半導体の好調を背景に、2026年は年間4.6%程度増加した後、2027年も2.2%程度増加し、良好な流れを維持すると見込まれる」とした。また、韓国貿易協会(KITA)は4月10日に公開したレポートで「年間輸出額が初めて8,000億ドルを超える可能性がある」との見方を示した。2026年1~4月の輸出入実績をみると、輸出は前年同期比40.9%増の3,064億7,953万ドル、輸入は12.3%増の2,315億2,008万ドルで、貿易収支は749億5,945万ドルとなった。4~5月は単月で800億ドル以上の輸出を達成するなど、その勢いは増している。輸出の大幅増は半導体が牽引しており、約2.5倍の1,104億209万ドルと、4カ月間の輸出額の3分の1以上を占めた。

通商政策

UAEとマレーシアとの協定が進展、今後もさらなる拡大目指す

輸出依存度の高い韓国では、世界的な自由貿易協定(FTA)拡大の流れに対応し、安定的な海外市場の確保と輸出拡大を目的に、FTAネットワークの拡充と高度化を継続してきた。2026年5月現在、60カ国との間で23件のFTAが発効済みである。2025年は、既存FTAの改定交渉や制度改善を通じて通商ルールの高度化を進めると同時に、新規協定の締結や交渉を通じてネットワークを拡充した。2025年の韓国のFTA締結国との貿易額が貿易総額に占める割合(FTAカバー率)は輸出が72.0%、輸入が67.7%となった。また、FTAによる特恵関税がどの程度利用されているかを表すFTA利用率(2025年10~12月基準)は輸出が86.6%、輸入が85.1%となった。

2025年の具体的な動きをみると、まず対中東関係では、2024年5月に署名された韓国・アラブ首長国連邦(UAE)包括的経済連携協定(CEPA)の発効手続きが進んだ。2025年中の準備を経て、2026年3月に国会で批准され、5月1日に発効した。同協定は、韓国にとってアラブ圏初のFTAであり、エネルギー・資源分野を含む包括的な経済協力の枠組み構築に寄与するものと位置付けられている。また、ASEAN地域では、マレーシアとのFTA交渉が大きく進展し、2025年10月に交渉妥結が発表された。同協定は、既存の韓国ASEAN FTAやRCEP協定では不十分だった自動車や鉄鋼などの追加市場開放を実現したほか、デジタル貿易やグリーン経済など新産業分野も含む包括的内容となっている。さらに、タイとの間では、2024年に開始したCEPAの交渉を進め、2025年9月までに通算7回の交渉を実施した。マレーシア同様、既存の広域FTAでは不十分だった分野を深化させる「補完型FTA」として早期合意を目指している。

政府は、2026年も引き続き通商ネットワークの拡大を図っていく方針だ。2026年中に10カ国以上を対象にFTAより高度な協定とされる経済連携協定(EPA)を締結するという目標を明らかにしている。対象国・地域としては、6カ国が加盟している湾岸協力会議(GCC)、エクアドル、グアテマラなどが挙がっている。

表4 韓国のFTA発効・署名・交渉状況
FTA 発効日
発効済み 韓国・チリ自由貿易協定 2004/4/1
韓国・シンガポール自由貿易協定 2006/3/1
EFTA・韓国自由貿易協定 2006/9/1
韓国・ASEAN自由貿易協定 2007/6/1
韓国・インド包括的経済連携協定 2010/1/1
EU・韓国自由貿易協定 2015/12/1
韓国・ペルー自由貿易協定 2011/8/1
米国・韓国自由貿易協定 2012/3/1
韓国・トルコ自由貿易協定 2013/5/1
韓国・オーストラリア自由貿易協定 2014/12/1
韓国・カナダ自由貿易協定 2015/1/1
中国・韓国自由貿易協定 2015/12/1
韓国・ニュージーランド自由貿易協定 2015/12/1
韓国・ベトナム自由貿易協定 2015/12/1
韓国・コロンビア自由貿易協定 2016/7/1
韓国・中米自由貿易協定 2019/10/1
英国・韓国自由貿易協定 2021/1/1
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定 2022/1/1
韓国・イスラエル自由貿易協定 2022/12/1
韓国・カンボジア自由貿易協定 2022/12/1
韓国・インドネシア包括的経済連携協定 2023/1/1
韓国・フィリピン自由貿易協定 2024/12/1
韓国・アラブ首長国連邦包括的経済連携協定 2026/5/1
合計(60カ国・地域)
署名済み・交渉妥結 韓国・エクアドル戦略的経済補完協定
GCC・韓国自由貿易協定
韓国・ジョージア包括的経済連携協定
韓国・マレーシア自由貿易協定
韓国・セルビア包括的経済連携協定
交渉中 日本・中国・韓国自由貿易協定
韓国・メルコスール貿易協定
韓国・ロシア自由貿易協定
韓国・ウズベキスタン自由貿易協定(STEP)
韓国・タイ包括的経済連携協定
韓国・モンゴル包括的経済連携協定
韓国・バングラデシュ包括的経済連携協定
日本・韓国経済連携協定

〔出所〕産業通商部

対内・対外直接投資

対内直接投資は過去2番目の高水準

2025年の対内直接投資額(実行ベース、以下同様)は前年比21.1%増の187億2,400万ドルを記録した。過去に遡ると、対内直接投資は2010年(54億5,400万ドル)を底に増加基調が続いており、2025年は2023年(199億8,200万ドル)に次ぎ、過去2番目に多かった。ちなみに、産業通商部は「世界的な直接投資縮小傾向にもかかわらず、李在明政権発足後、韓国経済・産業に対する信頼が回復し、不確実性が解消されたことで、全般的な対韓投資マインドが回復した。(南東部の慶州で10月末に開催された)APEC首脳会議を機に、積極的に投資誘致活動を展開したことが大きく寄与したものと考えられる」(2026年1月7日発表)とコメントしている。

業種別にみると、大分類別では、製造業が前年比22.3%増の58億9,800万ドル、サービス業が27.7%増の122億5,300万ドルと、いずれも20%台の伸び率を記録した。中分類別でみると、製造業では金属・金属加工製品が大幅に増加し、中でも一次非鉄金属が20億1,500万ドルで大部分を占めた。具体的には、2025年以前から事業が進められてきた前駆体など二次電池材料の生産拠点構築に関する案件などと思われる。また、化学工業も好調だった。これらに関連して、産業通商部は「先端産業で使用されるコア素材に関連する投資が増加した。これは、外国企業の対外的な不確実性対応のためのサプライチェーン強化の一環とみられる」(2026年1月7日発表)と総括している。

他方、サービス業を中分類別にみると、金融・保険が最も多かった。そのほとんどが「信託業・集合投資業」(資産運用会社など)と「その他金融業」(投資会社やSPC(特別目的会社)など)だった。SPCは海外企業が韓国企業を買収する際に買収に必要な資金を切り分けてリスクを抑える目的で設立される法人で、定義上、金融・保険に分類される。金融・保険の投資事例としては、米国投資会社ブラックストーン(Blackstone)によるジュノ・ビューティー(Juno Beauty、ヘアサロンチェーン「ジュノヘア(Juno Hair)」を運営)買収(2025年9月、約5,600億ウォン)、カーライル(Carlyle)傘下の投資ファンドによるKFCコリア(KFC Korea)買収(同年12月、2,000億ウォン台)などが挙げられる。金融・保険に次いで多かったのは卸売り・小売り(流通)で、前年の2.5倍を記録した。投資先は流通分野の多岐にわたった。

国・地域別にみると、米国が対内直接投資全体の3割近い53億7,900万ドルで、最も多かった。前年比約3倍になったのみならず、これまでの最高額だった2018年の38億4,400万ドルを4割上回り、過去最高を大幅に更新した。業種別には、製造業が全体の66.8%、サービス業が32.7%を占めた。製造業を中分類別にみると、金属・金属加工製品、化学工業にまとまった投資があった。具体的には、コーニング(Corning、先端素材の工程技術を導入した生産設備の構築)、エア・プロダクツ(Air Products and Chemicals、超高純度産業用ガス生産に特化した設備の構築)などの事例があった。サービス業では、情報通信が全体の6割弱を占め、オープンAI(Open AI、韓国支社設立)、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS、AIデータセンターの建設など)などの事例があった。

北米では、米国に次いでケイマン諸島、カナダの順で対内直接投資額が多かった。ケイマン群島からの直接投資の多くは金融業で、業種細分類別には「信託業・集合投資業」が多かった。カナダは前年比19倍と急増したが、これは前年が低調だったことによる反動が大きい。

アジアでは、シンガポール、日本、台湾、中国が多かった。シンガポールは21億1,800万ドルで、対内直接投資全体の11.3%を占めた。シンガポールからの直接投資全体の7割以上をサービス業が占め、その中でも、「信託業・集合投資業」を中心とした金融・保険と、「不動産開発・供給業」などの不動産が多かった。日本は、前年比52.5%減の8億5,600万ドルとなった。大幅減になったのは前年(18億700万ドル)が2014年(22億6,900万ドル)以降で最高だったことによる反動が大きい。台湾は、前年比2.5倍超の5億8,100億ドルだった。これまで最も多かった2021年の4億1,800万ドルを上回り、過去最高を大幅に更新した。業種小分類別でみると、保険業が全体の82.0%を占め、台湾の対韓直接投資を牽引した。具体的事例としては、富邦生命保険(Fubon Life Insurance)が2025年12月、富邦現代生命保険(Fubon Hyundai Life Insurance)に7,000億ウォンの追加投資を行った。富邦生命保険は2015年に現代自動車グループ傘下の現代ライフと戦略的提携を開始、2018年に現代ライフの最大株主になり、社名を富邦現代生命保険に変更した。2025年12月の追加出資後の富邦生命保険の出資比率は88.3%に達している。

中国は、ほぼ前年並みの5億1,500万ドルだった。中国からの直接投資は2010年代半ばに活発化した後、2010年代後半は停滞したが、2020年代に入り、徐々に増加している。2025年について業種大分類別でみると、卸売り・小売り(流通)を中心としたサービス業が67.9%と最も多く、次いで製造業が31.6%の順となった。具体的な事例をみると、韓国に販売会社を設立する動きが相次いだ。特に、耐久消費財分野での販売拠点設立は、これまでになかった傾向である。電気自動車(EV)や車載電池関連では、寧徳時代新能源科技(CATL)、ジーカー(Zeekr)、広州小鵬汽車科技(シャオペン、Guangzhou Xiaopeng Motors Technology)などが、家電関連では、小米科技(シャオミ、Xiaomi)などが韓国に進出した。また、近年中国のミルクティー・チェーンの韓国進出が相次いでいるが、2025年は覇王茶姫(Chagee)が進出している。

欧州では、オランダ、イタリア、フランスが多かった。オランダは、前年比28.1%増の7億1,900万ドルだった。主な事例としては、11月に極端紫外線(EUV)露光装置企業ASMLが新拠点を竣工、12月には成膜装置企業ASMインターナショナル(ASM International)が新施設を竣工した。いずれも、韓国の半導体生産拡大を見越し、韓国の半導体企業などとの関係強化を狙ったものである。イタリアは4.8倍の5億2,200万ドルと急増し、これまでの最高額だった2024年の1億800万ドルを大幅に更新した。業種細分類別にみると、「その他金融業」が全体の74.0%を占め、同国からの直接投資を牽引した。フランスは29.3%減の5億1,100万ドルだった。業種大分類別に構成比をみると、製造業12.0%、サービス業85.0%で、サービス業の中でも特に「その他金融業」が71.0%を占めた。主な事例としては、自動車部品大手のヴァレオ(Valeo)が11月に、先端自動運転センサーの量産体制構築に向けた投資契約を大邱市と締結した事例などがあった。

表5-1 韓国の業種別対内直接投資〔実行ベース〕(単位:100万ドル、%)、(△はマイナス値)
業種 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
農・畜・水産・鉱業 0 22 0.1 5,027.1
農・畜・林業 0 1 0.0 41.3
鉱業 21 0.1
製造業 4,824 5,898 31.5 22.3
食品 70 27 0.1 △ 60.9
繊維・織物・衣類 0 25 0.1 5,689.3
製紙・木材 81 0 0.0 △ 99.7
化学工業 1,138 1,528 8.2 34.3
医薬 734 239 1.3 △ 67.4
非金属鉱物製品 491 247 1.3 △ 49.8
金属・金属加工製品 13 2,049 10.9 16,108.1
機械装置・医療精密 645 494 2.6 △ 23.4
電気・電子 1,474 1,078 5.8 △ 26.9
輸送用機械 163 201 1.1 23.7
その他製造 14 9 0.0 △ 36.8
サービス業 9,593 12,253 65.4 27.7
卸売り・小売り(流通) 820 2,067 11.0 152.0
宿泊・飲食店 67 89 0.5 32.3
運輸・倉庫 68 117 0.6 72.5
情報通信 1,667 1,858 9.9 11.4
金融・保険 5,511 5,968 31.9 8.3
不動産 823 665 3.5 △ 19.2
事業支援・賃貸 34 43 0.2 25.5
研究開発・専門・科学技術 555 1,397 7.5 151.9
余暇・スポーツ・娯楽 35 19 0.1 △ 46.6
公共・その他サービス 14 31 0.2 125.5
電気ガス・水道・環境浄化・建設 1,041 552 2.9 △ 47.0
電気・ガス 321 486 2.6 51.6
水道・下水・環境浄化 664 15 0.1 △ 97.7
総合建設 13 46 0.2 267.5
専門職別工事 44 3 0.0 △ 92.1
合計 15,458 18,724 100.0 21.1

〔注1〕「ー」は、数値がないことを示す。
〔注2〕業種区分は大分類、中分類。
〔注3〕統計値が過去に遡及して更新されることがある点に留意が必要。
〔出所〕産業通商部

表5-2 韓国の業種別対外直接投資〔実行ベース〕(単位:100万ドル、%)、(△はマイナス値)
業種 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
農業・林業・漁業 26 52 0.1 102.4
鉱業 4,367 2,551 3.5 △ 41.6
製造業 16,436 17,114 23.8 4.1
電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 600 715 1.0 19.3
水道・下水・廃棄物処理・原料再生業 101 255 0.4 151.3
建設業 728 650 0.9 △ 10.7
卸売・小売業 1,805 2,727 3.8 51.0
運輸・倉庫業 616 1,077 1.5 75.0
宿泊・飲食店業 836 500 0.7 △ 40.2
情報通信業 3,076 2,377 3.3 △ 22.7
金融・保険業 28,552 37,907 52.7 32.8
不動産業 5,652 3,010 4.2 △ 46.7
専門・科学・技術サービス業 1,720 1,759 2.4 2.3
事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 1,307 488 0.7 △ 62.6
公共行政・国防・社会保障行政 2 13 0.0 678.2
教育サービス業 17 47 0.1 177.5
保健業・社会福祉サービス業 146 131 0.2 △ 10.4
芸術・スポーツ・余暇関連サービス業 113 321 0.4 185.3
協会・団体・修理・その他個人サービス業 33 183 0.3 448.2
不明 0 46 0.1 40,866.5
合計 66,134 71,924 100.0 8.8

〔注1〕業種区分は大分類。
〔注2〕統計値が過去に遡及して更新されることがある点に留意が必要。
〔出所〕韓国輸出入銀行

表6-1 韓国の国・地域別対内直接投資〔実行ベース〕(単位:100万ドル、%)、(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 5,921 4,707 25.1 △ 20.5
シンガポール 2,339 2,118 11.3 △ 9.4
日本 1,807 856 4.6 △ 52.6
台湾 228 581 3.1 154.5
中国 521 515 2.7 △ 1.2
香港 721 282 1.5 △ 60.9
オーストラリア 94 178 0.9 89.5
マレーシア 135 60 0.3 △ 55.6
米州 3,329 10,454 55.8 214.0
米国 1,797 5,379 28.7 199.4
ケイマン諸島 1,428 3,809 20.3 166.6
カナダ 65 1,246 6.7 1,826.9
欧州 6,091 3,524 18.8 △ 42.1
オランダ 561 719 3.8 28.1
イタリア 108 522 2.8 381.8
フランス 723 511 2.7 △ 29.3
ドイツ 148 438 2.3 195.1
マルタ 2,521 368 2.0 △ 85.4
ハンガリー 519 233 1.2 △ 55.1
ルクセンブルク 75 211 1.1 183.6
スイス 137 156 0.8 14.2
英国 860 138 0.7 △ 83.9
デンマーク 19 129 0.7 584.6
中東 98 33 0.2 △ 66.5
アフリカ 4 4 0.0 7.1
合計 15,458 18,724 100.0 21.1

〔注1〕2025年上位20カ国・地域を掲載。合計はその他(国際協力機関など)を含む。
〔注2〕統計値が過去に遡及して更新されることがある点に留意が必要。
〔出所〕産業通商部

表6-2 韓国の国・地域別対外直接投資〔実行ベース〕(単位:100万ドル、%)、(△はマイナス値)
国・地域 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア 12,961 16,076 22.4 24.0
シンガポール 2,721 3,828 5.3 40.7
ベトナム 2,773 2,866 4.0 3.4
中国 1,932 2,600 3.6 34.6
日本 638 1,746 2.4 173.8
インドネシア 1,218 1,603 2.2 31.6
インド 941 824 1.1 △ 12.4
マレーシア 728 600 0.8 △ 17.5
北米 26,238 27,829 38.7 6.1
米国 22,383 25,275 35.1 12.9
カナダ 3,855 2,525 3.5 △ 34.5
欧州 14,482 15,006 20.9 3.6
ルクセンブルク 6,160 6,344 8.8 3.0
英国 702 1,636 2.3 133.1
オランダ 673 1,301 1.8 93.5
ガーンジー島 759 1,213 1.7 59.8
ジャージー島 2,056 968 1.3 △ 52.9
ハンガリー 526 683 0.9 29.8
中南米 9,768 10,695 14.9 9.5
ケイマン諸島 6,833 8,436 11.7 23.5
メキシコ 1,452 835 1.2 △ 42.5
ペルー 539 598 0.8 11.0
中東 370 341 0.5 △ 7.9
アフリカ 604 198 0.3 △ 67.1
大洋州 1,712 1,779 2.5 3.9
オーストラリア 894 760 1.1 △ 14.9
マーシャル諸島 534 738 1.0 38.3
合計 66,134 71,924 100.0 8.8

〔注1〕2025年上位20カ国・地域を掲載。
〔注2〕統計値が過去に遡及して更新されることがある点に留意が必要。
〔出所〕韓国輸出入銀行

表7 韓国の主な対内直接投資案件
企業名 国・地域 時期 投資額 概要
小米科技(シャオミ、Xiaomi) 中国 2025年
1月
n.a. ソウル市に現地法人を設立。スマートフォン、テレビ、ロボット掃除機などの韓国市場での販売を本格化する狙い。
コーニング(Corning) 米国 1月 n.a. 同社の現地法人のコーニング精密素材が忠清南道牙山市のディスプレー産業団地に先端素材の工程技術を導入した生産設備を構築することで忠清南道、牙山市とMOUを締結した。
寧徳時代新能源科技(CATL) 中国 1月 6億ウォン ソウル市に現地法人を設立し、LFP電池を中心に、韓国のEV用・ESS用電池市場の開拓を進める考え。
ジーカー(Zeekr) 中国 2月 n.a. 韓国市場への本格参入のためソウル市に現地法人を設立。ちなみに、韓国市場に投入する初のモデルはEVの中型SUVモデル「7X」。
浜松ホトニクス 日本 3月 約4億円 京畿道華城市に半導体故障解析装置工場を新設し、既存の工場から製造拠点を移転。工場新設により、半導体故障解析装置の開発・製造・デモンストレーションの体制を強化するとともに、新たに電子管製品・光半導体製品の輸入・販売の商流の起点としての機能を追加。
比亜迪(BYD) 中国 3月 n.a. 既存の現地法人BYDコリアとは別に、中古車の輸入・販売を行う現地法人BYDコリアオートを設立。
SBIホールディングス 日本 4月 n.a. 教保生命保険の株式9.3%を追加取得し、持分法適用関連会社化することを取締役会で決議。教保生命保険との連携の強化と同社グループにおける保険事業の拡大を図る。
オープンAI(Open AI) 米国 5月 n.a. ソウル市に韓国支社を設立。韓国政府・企業と協力してAIデータセンター建設などのインフラプロジェクトを推進する予定。
ダナハー・コーポレーション( Danaher Corporation) 米国 6月 1,000億ウォン 仁川市松島にバイオ医薬品生産に使用される精製フィルター工場を新設。製品はサムスンバイオロジクス、セルトリオン、SKバイオサイエンスなどに供給する予定。
覇王茶姫(Chagee) 中国 6月 13億ウォン 韓国でのミルクティー店のチェーン展開のためにソウル市に現地法人を設立。なお、資本金は設立当初の1億ウォンから2025年11月に13億ウォンに増額。
深圳拓竹科技(Bambu Lab) 中国 6月 n.a. ソウル市に現地法人を設立。韓国市場での3Dプリンターの販売拡大を目指す。
エア・プロダクツ(Air Products and Chemicals) 米国 6月 n.a. 忠清南道天安市第3産業団地内の工場を増設し、超高純度産業用ガス生産に特化した設備を設ける。
エア・リキード(Air Liquide) フランス 6月 n.a. 忠清南道天安市に半導体用高純度希ガスなど、次世代先端産業用ガス生産施設を竣工。
東京応化工業 日本 8月 約120億円 韓国で2番目の拠点となる平沢工場(京畿道平沢市)の建設を決定。第1期として高純度化学薬品の製造棟を新設する。同棟では最先端半導体製造に必要な高い清浄度を有したクリーンルームエリアを備え、より高品質な製品を製造する。
広州小鵬汽車科技(Guangzhou Xiaopeng Motors Technology) 中国 9月 1億5,000万ウォン 韓国市場でのEV販売に向け、ソウル市に韓国法人を設立。
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS、Amazon Web Services) 米国 10月 50億ドル以上 2031年までに仁川市・京畿道で新規AIデータセンターの建設などを行う。
シーメンスヘルシニアーズ(Siemens Healthineers) ドイツ 10月 5,000万ドル(今後5年間) 慶尚北道浦項市所在の超音波医療機器部品(カテーテル、トランスデューサー)工場を増強し、400人以上を新規雇用する。
ASML オランダ 11月 2,400億ウォン 京畿道華城市に建設した新拠点(華城キャンパス)の竣工式を開催。先端装置部品の再製造センター、先端技術トレーニングセンターなどを備える。
ASMインターナショナル(ASM International) オランダ 12月 1,362億ウォン 京畿道華城市に建設した革新製造センターの竣工式を開催。原子層堆積(ALD)・プラズマ原子層堆積(PEALD)装置の製造施設を拡張。
ロッシュ(Roche) スイス 2026年
3月
7,100億ウォン(今後5年間) 韓国のヘルスケア・バイオ産業分野への投資に関し、保健福祉部と了解覚書(MOU)を締結。多頻度・難治性疾患、先端バイオ医薬品分野の世界レベルの臨床試験を韓国で実施へ。
イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company) 米国 3月 5億ドル(今後5年間) 韓国の製薬・バイオ産業分野への投資に関し、保健福祉部と了解覚書(MOU)を締結。両者は世界レベルの臨床試験・研究環境整備に向けて協力する。

〔出所〕韓国政府発表資料、各社プレスリリース、韓国メディア報道から作成

対外直接投資は日米向けが堅調で、過去3番目の水準を記録

2025年の対外直接投資(実行ベース)は前年比8.8%増の719億2,400万ドルを記録した。これは、2022年、2021年に次ぐ過去3番目の水準であった。財政経済部は、「2025年の対外直接投資の増加は、金利引き下げ基調や世界の株式市場の堅調さといった国際金融市場の流れに加え、世界情勢の変化に対応するための投資拡大の動きが複合的に反映した結果と解釈できる」(2026年3月27日付プレスリリース)と総括した。このうち、金利引き下げ基調や世界の株式市場の堅調さに関連して、「東亜日報」(同日、電子版)は「節税を目的とした資金移動が反映された」「(ケイマン諸島やルクセンブルクへの直接投資が増加した点に着目した上で)これらの国・地域への投資拡大は、実物投資というよりは、税負担を軽減し投資収益率を高めるための資金移動の性格が強いと解釈される」と報じている。一方で、「世界情勢の変化」は、グローバルサプライチェーンの再編や米国関税政策などの国際通商秩序の変化などを指している。

業種別にみると、金融・保険業が前年比32.8%増と大幅に増加し、対外直接投資全体を牽引するとともに、構成比も52.7%と過半数を占めた。中でも、特に直接投資額が多かったのが、投資会社やSPCなどの「その他金融投資業」、金融持ち株会社や金融関連の仲介・管理会社などの「それ以外のその他分類できない金融業」、「持ち株会社」だった。金融・保険業に次ぎ直接投資額が多かったのは前年比4.1%増、構成比が23.8%だった製造業だが、対外直接投資全体の増加への寄与は限定的であった。その内訳をみると、電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置製造業(半導体など)、電気装備製造業(二次電池など)、自動車・トレーラー製造業が多かった。

国・地域別では、米国が前年比12.9%増、対外直接投資全体の35.1%を占める252億7,500万ドルで、最も多かった。米国向け投資の増加額だけで対外直接投資全体の増加額の5割を占め、米国がその牽引役になったといえよう。最近の韓国の対米直接投資は増加傾向となっている。特に、2021年に前年比83.6%増の279億3,000万ドルに急増して以降、高い水準が続いている。2025年について業種別にみると、金融・保険業が全体の51.4%と最も多く、次いで、製造業が26.0%だった。業種小分類別には、金融・保険業では「その他金融投資業」や「持ち株会社」などが、製造業では「その他二次電池製造業」「電動機・発電機製造業」などが多かった。韓国企業の対米直接投資の主な目的は、米国市場や米国企業の保有技術の獲得である。このような中で、トランプ政権の関税政策が韓国企業に対米直接投資を促す要因になっている。2025年の事例をみると、大手企業グループの中で特に積極的だったのが現代自動車グループ(Hyundai Motor Group)といえよう。同グループは同年3月に2028年までに自動車、部品・物流・鉄鋼、未来産業・エネルギーの各分野で総額210億ドルの投資を行う計画を発表し、8月には投資総額を260億ドルに増額するとした。同グループの計画のうち、鉄鋼については4月にポスコグループ(POSCO Group)が出資に加わることを発表した。インフラや重要鉱物サプライチェーン関連の分野でも韓国企業の対米投資事例が相次いだ。例えば、4月にLS電線(LS Cable & System)がバージニア州で海底ケーブル工場の着工を、12月に高麗亜鉛(Korea Zinc)がテネシー州に統合製錬所を建設する計画をそれぞれ発表した。二次電池関連では、インフレ削減法(IRA)に対応すべく、韓国の二次電池メーカーや同材料メーカーが一斉に米国生産拠点の新増設を行ってきたが、最近の米国EV市場の停滞を受け、各社はEV向けから電力貯蔵システム(ESS)向けへの転換や、米国生産拠点の見直しを行っている。さらに、サムスンネクスト(Samsung Next)をはじめとする各企業グループのベンチャーキャピタルが、米国のスタートアップに積極的に出資している。なお、2025年7月、米韓両国政府は、米国は韓国からの輸入について相互関税率、自動車・同部品関税率を25%から15%に引き下げる一方、韓国は米国に対して3,500億ドル(1,500億ドルは造船業、残りの2,000億ドルはその他の分野)の投資を行うことなどで合意した。この合意に基づく対米投資は2026年以降、具体化される見通しである。

アジアでは、シンガポール、ベトナム、中国が多かった。シンガポールは前年比40.7%増の38億2,800万ドルだった。2020年に38億6,700万ドルを記録した後、落ち込んでいたが、2025年は回復し、2020年に次ぐ過去2番目の投資額を記録した。業種別では「持ち株会社」などの金融・保険業が中心だった。ベトナムは3.4%増の28億6,600万ドルだった。ベトナムは2010年代に入り増加が続き、2019年の46億1,600万ドルでピークに達した。翌2020年は急減したものの、その後も毎年、安定的に20億ドル台後半の投資が続いている。2025年について業種別にみると、製造業が全体の71.0%を占めた。製造業を小分類別にみると、特に多かったのが、「化学物質・化学製品製造業(医薬品を除く)」と、「電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置製造業」であった。サムスンディスプレイ(Samsung Display)、LGディスプレイ(LG Display)などが既存の生産拠点の規模を拡大しており、系列の部品メーカーも同国での生産を強化している。

中国は、前年比34.6%増の26億ドルだった。2022年に過去最高の85億4,400万ドルを記録した後、2023年、2024年は20億ドルに満たない水準に落ち込んでいた。2025年の水準は2022年の3割に過ぎないものの、対中直接投資は下げ止まった感がある。実際、中国事業を縮小・整理する動きがある一方で、再び強化する動きもあった。中国市場は規模が大きいだけに、経済成長率が鈍化し、企業間競争が厳しくなる中でも、中国市場を放棄できないと考える韓国企業が一定数存在するからである。さらに、近年の中韓関係改善が韓国企業の中国事業に追い風となっている。2025年の対中直接投資の86.3%を製造業が占めたが、その代表的な事例として現代自動車(Hyundai Motor)が挙げられよう。同社は、合弁会社の北京現代(Beijing-Hyundai Auto)を中心に中国事業を行っているが、中国市場での販売台数は2016年の114万2,000台(卸売りベース)をピークに減少に転じ、2025年は13万台にまで落ち込んだ。同社は販売不振を受けて中国生産拠点の売却などを進めてきた。しかし、同社はここへきて改めて中国事業に積極的に取り組んでいる。2025年に北京現代に対して80億元(合弁パートナーの北京汽車集団(BAIC)出資分を含む〕の追加出資を行った。また、年間50万台販売を目標に今後5年間で20モデルを中国市場に新規投入する計画も発表している。その他、ファッション・飲食などの分野で中国市場に進出する事例もみられた。これらの中にはかつて中国に進出した後、業績不振で中国事業を縮小したものの、改めて中国事業を強化する事例もみられる。例えば、ファッション企業のムシンサ(Musinsa)は2025年8月に上海市に合弁会社を設立、同年12月に同市に初のオフライン店舗を開設している。

欧州はルクセンブルク、英国、オランダの順だった。ルクセンブルクは2010年代後半以降、増加傾向が続いており、2025年は前年比3.0%増の63億4,400万ドルと、過去最高を更新した。「その他金融投資業」「それ以外のその他分類できない金融業」を中心とする金融・保険業が全体の9割弱を占めた。ルクセンブルクには韓国の資産運用会社などの進出が相次いでいる。英国は、前年比2.3倍の16億3,600万ドルと急増したが、これは前年が不振だったことによる反動によるところが大きい。全体の8割が金融・保険業で、業種小分類別にみると「損害保険業」「それ以外のその他分類できない金融業」などが多かった。事例としては、サムスン火災海上保険(Samsung Fire & Marine Insurance)によるキャノピアスグループ(Canopius Group)に対する追加出資が挙げられる。オランダは前年の2倍近い13億100万ドルとなった。10億ドルを超えたのは2020年(10億7,200万ドル)以来、5年ぶりとなった。業種小分類別には「持ち株会社」が全体の94.0%を占め、同国向け直接投資を牽引した。農心(Nongshim)のようにオランダに欧州拠点を構築する事例もみられた。

表8 韓国の主な対外直接投資案件
企業名 投資国 時期 投資額 概要
農心(Nongshim) オランダ 2025年
2月
n.a. アムステルダムに現地法人を設立することを発表。英国、ドイツ、オランダなど欧州諸国の流通企業との関係を強化すると共に、現地市場に合った商品開発を進める狙い。
メディキタス(Mediquitous) 日本 2月 n.a. ファッションEC「nugu」を運営する同社は、日本事業強化のためファッションECモール運営のCROOZ SHOPLISTの全株式を取得。
ハンコックタイヤ&テクノロジー(Hankook Tire & Technology) ハンガリー 3月 5億3,800万ユーロ 大型車両用タイヤ工場の生産ラインを増設。
現代自動車グループ(Hyundai Motor Group) 米国 3月 210億ドル(~2028年) 自動車、部品・物流・鉄鋼、未来産業・エネルギーの各分野で投資を行う。自動車では、現代自動車グループ・メタプラント・アメリカ(HMGMA)の生産能力を現行の年産30万台から同50万台に拡大する。鉄鋼では、ルイジアナ州に電炉式一貫製鉄所の建設を推進する。
LGエナジーソリューション(LG Energy Solution) 米国 4月 3兆562億ウォン GMとの合弁会社アルティウム・セルズのミシガン州の第3工場の買収を発表。新規増設投資負担を抑制し、既存の設備運用を効率化する狙い。
ユニド(Unid) 中国 4月 2,300億ウォン 湖北省宜昌市で水酸化カリウム工場を竣工。中国内での販売を強化する狙い。
ポスコグループ(POSCO Group) 米国 4月 5億8,200万ドル(資本金の20%) 現代製鉄が2029年稼働を目標にルイジアナ州で建設する製鉄所(熱延・冷延鋼板、年産270万トン)にポスコグループが出資。
LG電子(LG Electronics) インド 5月 8,250億ウォン アンドラ・プラデシュ州スリ・シティ工業団地でインド第3の家電工場を着工。同工場ではプレミアム製品を中心に洗濯機、エアコン、冷蔵庫などを生産し、インド市場での販売拡大を目指す。
クラフトン(Krafton) 日本 6月 750億円 ADKホールディングスの買収を決定。本買収により、アニメーションとゲームの協業を進め、日本国内のコンテンツ・メディア事業基盤を強化する計画。特に、ADKグループのアニメーション企画・制作能力とクラフトンのグローバルゲーム開発・サービス経験を融合させる。
三養食品(Samyang Foods) 中国 7月 2,014億ウォン 同社初の海外工場を浙江省嘉興市に建設すると発表。年間8万4,000個の即席麺を生産し、全量を中国市場向けに供給する計画。
サムスン電子(Samsung Electronics) 日本 8月 3,000億~4,000億ウォン 最先端の半導体パッケージング研究所を設立するために横浜みなとみらい地区で建物を取得。本件は、同社が2023年12月に発表した「日本パッケージング投資計画」を具体化したもので、2027年3月の事業開始を目指す。
現代自動車グループ(Hyundai Motor Group) 米国 8月 260億ドル(~2028年) 3月に発表した投資額に50億ドル追加すると発表。
ムシンサ(Musinsa) 中国 8月 561億ウォン(ムシンサのみ) 安踏体育用品(Anta Sports Products)との合弁企業を上海市に設立。出資比率はムシンサ60%、安踏体育用品40%。合弁会社では、中国における「ムシンサ スタンダード(Musinsa Standard)」店とオンライン店の運営を行う。
ハンファグループ(Hanwha Group) 米国 8月 50億ドル 2024年に買収したフィラデルフィアのハンファ・フィリー造船所に追加出資し、ドック2カ所、岸壁施設3カ所、12万坪のブロック製造施設を新設する予定。
CJ第一製糖(CJ CheilJedang) 日本 9月 約1,000億ウォン 千葉県木更津市で建設していた同社初の日本工場である冷凍マンドゥ(韓国式ギョウザ)工場が完成し、稼働を開始したと発表。日本市場での販売拡大を目指す。
ハンファエアロスペース(Hanwha Aerospace) ポーランド 9月 n.a. 多連装ロケット「天橆」の誘導ミサイル生産のための合弁会社設立に関し、WBグループ(WB Group)と最終合意。
エコプロ(EcoPro) インドネシア 9月 7,000億ウォン スラウェシ島のモロワリ工業団地所在のニッケル製錬所4カ所に対する投資が完了。今後も投資を拡大する予定。
LGイノテック(LG Innotek) ベトナム 9月 10億ドル ハイフォン市の生産法人の新規工場建設が完了し、本格稼働に入った。これにより、カメラモジュール生産能力が2倍以上に拡大。顧客への安定供給とカメラモジュール事業の収益性改善を目指す。
DB損害保険(DB Insurance) 米国 9月 16億5,000万ドル フロリダ州所在で特殊保険などを扱うフォーテグラグループ(The Fortegra Group)を買収。フォーテグラグループの専門性とDB損害保険のネットワーク・資本力を結び付け、競争力を高めていく。
サムスン火災海上保険(Samsung Fire & Marine Insurance) 英国 10月 5億8,000万ドル 損害保険のキャノピアスグループ(Canopius Group)に追加出資。これにより出資比率は19%から40%に上昇。キャノピアスグループとの協力関係を強化し、米国・アジアなど世界市場での事業機会創出を目指す。
サムスン電子(Samsung Electronics) ドイツ 11月 15億ユーロ 空調機大手のフレクトグループ(FläktGroup)の買収手続きを完了。買収を契機に、成長するデータセンターの冷暖房空調装置(HVAC)市場などに本格参入する。
クムホタイヤ(Kumho Tire) ポーランド 12月 5億8,700万ドル オポーレ県にタイヤ生産の新工場を建設することを決定。2028年8月の稼働を目指す。
高麗亜鉛(Korea Zinc) 米国 12月 74億3,200万ドル テネシー州に統合製錬所を建設すると発表。亜鉛、銅、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなど13品目を生産する。2026年に着工し、2029年の生産開始を目指す。
ハンファエアロスペース(Hanwha Aerospace) 米国 2026年
1月
13億ドル 同社米国現地法人と米国陸軍がアーカンソー州ジェファーソン郡での弾薬工場建設に関する予備的合意書を締結。
HS暁星(HS Hyosung) ベトナム 2月 1億ドル ダナン市に自動車エアバッグ向けナイロン繊維などを生産する新工場を建設。
ポスコフューチャーM( POSCO Future M) ベトナム 3月 3,570億ウォン タイグエン省に人造黒鉛負極材工場を新設すると発表。2028年の量産開始を目指す。生産拠点多角化の一環。
LGエナジーソリューション(LG Energy Solution) カナダ 3月 50億カナダドル以上 オンタリオ州で建設していたEV・ESS向け二次電池工場の竣工式を開催。本拠点は同社とステランティスの合弁で設立されたが、今後、同社の完全子会社に転換する予定。

〔注〕企業名は報道・発表当時の名称。
〔出所〕各社プレスリリース、韓国メディア報道から作成

対日関係

対日輸出減の一方、半導体資本財などの輸入が増加

2025年の対日貿易は、輸出が前年比4.4%減の283億786万ドル、輸入は2.8%増の489億853万ドルだった。貿易収支は、206億67万ドルの赤字となり、赤字額は前年から26億1,401万ドル拡大した。

対日輸出品目(韓国独自コードのMTI3桁ベース)をみると、最大の輸出品目である石油製品と2位の鉄鋼板はいずれも減少し、それぞれ前年比21.7%減、15.4%減となった。石油製品はガソリン(14.8%減)、軽油(5.9%減)、ジェット燃料(39.4%)、ナフサ(33.9%減)などがおしなべて減少した。鉄鋼板も同様に多くの品目で輸出額が減少した。一方、3位の半導体は、世界的な需要拡大と価格上昇を背景に12.2%増となったほか、石鹸・歯磨き粉および化粧品は、前年に引き続き韓流ブームなどに伴って、4.8%増を記録した。

対日輸入品目をみると、最大品目の半導体は前年比0.3%減とほぼ横ばいだった。2位の半導体製造装置は、半導体スーパーサイクルに対応した生産設備増強の動きなどを受けて20.9%増と急伸した。その他、プラスチック製品は2.2%減、鉄鋼板は25.9%減と大幅に低下した。

対日貿易収支は、半導体産業を中心とした日韓間の分業体制によって構造的に赤字が継続している。韓国では、メモリ半導体などの最終製品を生産・輸出する一方、その製造に不可欠な半導体製造装置や化学原料の多くを日本から輸入している。これによって、半導体の増産は、日本からの中間財および資本財の輸入拡大を伴う傾向にある。2025年は、半導体スーパーサイクルを背景とした韓国内での増産の動きが見られたことで、対日輸入額が増加した一方、主要な対日輸出品目の輸出額が減少したことで赤字額が前年比で拡大した。なお、対日貿易赤字額は長いスパンでみると減少傾向にあり、2010年に361億1,984万ドルでピークを記録した後、2011年以降は緩やかな減少傾向が続いている。2025年は赤字額が前年比で増加したものの、減少トレンドはおおむね継続しているといえよう。

表9-1 韓国の対日主要品目別輸出(FOB)(上位10品目)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
石油製品 6,873 5,384 19.0 △ 21.7
鉄鋼板 2,502 2,118 7.5 △ 15.4
半導体 1,136 1,275 4.5 12.2
石鹸・歯磨き粉および化粧品 1,042 1,093 3.9 4.8
金・銀および白金 1,040 982 3.5 △ 5.6
合成樹脂 831 881 3.1 6.0
農薬および医薬品 731 840 3.0 14.9
精密化学原料 728 747 2.6 2.6
半導体製造装置 541 723 2.6 33.5
プラスチック製品 606 613 2.2 1.2
合計(その他含む) 29,607 28,308 100.0 △ 4.4

〔注1〕韓国独自コードのMTI3桁ベースで2025年輸出上位10品目。
〔注2〕MTIは2026年6月1日に改定されたが、本表は旧コードに基づき作成。
〔出所〕韓国貿易協会

表9-2 韓国の対日主要品目別輸入(CIF)(上位10品目)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
半導体 8,374 8,346 17.1 △ 0.3
半導体製造装置 5,248 6,343 13.0 20.9
プラスチック製品 1,932 1,890 3.9 △ 2.2
鉄鋼板 2,096 1,554 3.2 △ 25.9
計測制御分析器 1,095 1,269 2.6 15.9
石油製品 1,079 1,101 2.3 2.1
金・銀および白金 744 1,097 2.2 47.5
農薬および医薬品 1,040 1,046 2.1 0.6
原動機およびポンプ 787 956 2.0 21.5
電子運用機器 831 949 1.9 14.2
合計(その他含む) 47,594 48,909 100.0 2.8

〔注1〕韓国独自コードのMTI3桁ベースで2025年輸入上位10品目。
〔注2〕MTIは2026年6月1日に改定されたが、本表は旧コードに基づき作成。
〔出所〕韓国貿易協会

日本からの直接投資は好調だった前年の反動減

2025年の日本から韓国への直接投資(実行ベース)は、前年比52.6%減の8億5,600万ドルとなった。大幅減になったのは好調だった前年の反動によるところが大きい。

業種別には、製造業は前年比58.0%減の3億8,700万ドル、サービス業は46.9%減の4億6,900万ドルだった。製造業を中分類別にみると、機械装置・医療精密、化学工業で増加がみられた。このうち、化学工業は半導体関連素材の案件が多かった。韓国の半導体企業は国内生産を拡大させており、これら企業向けに化学品を製造・販売する日本の化学企業が韓国で追加投資を行う事例が相次いでいる。具体的には、東京応化工業は2025年3月に仁川市に新検査棟を竣工、同年8月に韓国で2番目の拠点の平沢工場の建設を決定したことをそれぞれ発表した。また、住友化学も同年5月に全北特別自治道益山市における先端素材用クリーンルーム新設とプロセス検証ライン拡充の決定を発表した。装置関連でも、同年3月に浜松ホトニクスが半導体故障解析装置の製造能力強化などを目的に、京畿道華城市に工場を新設したことを発表した。

サービス業を業種中分類別にみると、卸売り小売り(流通)、情報通信の案件が多かった。小売店の進出事例としては、TOKYO BASE(2025年2月)、サンエックス(同年3月)、HUMAN MADE(同年11月)がいずれもソウル市に韓国1号店を開店している。

さらに、分野を問わず、現地法人経由などで韓国企業に出資する事例もみられた。具体的には次のとおり。

  • GFA(現 abc):2025年1月、釜山デジタル資産取引所(Busan Digital Asset Nexus)に出資
  • 住友化学:同年3月、無線通信モジュール・ベンチャーのヒューコム(Hucom Wireless)を買収
  • 堀場製作所:同年4月、半導体市場向けウエハ検査装置のエタマックス(EtaMax)を買収
  • SBIホールディングス:同年同月、教保生命保険(Kyobo Life Insurance)の一部株式を取得
  • スズケン:同年5月、慶南ドンウォン薬品(Kyungnam Dongwon Pharmaceutical Wholesale)に出資
  • グローバル・ブレイン:同年6月、店舗運営DX支援のDeeping Sourceに追加出資
  • 豊田通商:同年9月、正極活物質製造の中韓合弁企業LG-HY BCMへ出資
  • デンカ:同年10月、窒化ホウ素ナノチューブの生産のスタートアップのネイル・テクノロジー(Naieel Technology)へ出資

韓国から日本への直接投資額は過去最高を更新

他方、2025年の韓国の対日直接投資(実行ベース)は前年比約2.7倍の17億4,600万ドルと大幅に増加し、これまで最も多かった2020年の16億7,600万ドルを抜き、過去最高を更新した。業種別には、「有線・オンラインゲーム・ソフトウェア開発・供給業」を中心とする情報通信業と、「化粧品・化粧用品卸売業」などの卸売・小売業が対日直接投資を牽引した。韓国企業の日本進出が活発化している背景として、まず、⽇本で韓流ブームが定着し、日本の消費者が韓国の商品を積極的に受け入れるようになってきたことが挙げられる。さらに、IT・情報分野では、韓国企業が持つノウハウと日本企業のニーズがマッチするケースが増え、韓国企業の⽇本進出に拍⾞がかかっていることなどが挙げられる。

業種別にみると、食品・飲食では、CJ第⼀製糖(CJ CheilJedang)が2025年9⽉、千葉県で建設していた新冷凍⼯場が完成し、本格稼働に⼊ったと発表した。同社は2025年9月のプレスリリースで、「⽇本の消費者のビビゴ(bibigo)ブランドのマンドゥ(韓国式ギョウザ)に対する関⼼や需要が急速に拡⼤している」「当社は新⼯場を通じ、より効率的な原資材調達・製品供給などといった現地化戦略を加速し、⽇本事業を拡⼤する⽅針」と述べている。また、飲⾷フランチャイズの⽇本進出も活発化している。2025年は、マンモスコーヒ―(Mammoth Coffee、1月に東京・虎ノ門に日本1号店開設)、フローズンヨーグルトのヨアジョン(Yoajung、7月に大阪市生野区に日本1号店開設)、サンドイッチのエッグドロップ(Eggdrop、11月に東京・北青山に日本1号店開設)、「ヨーグルト・パープル(Yogurt Purple)」を運営するAND〔12月に巨山(東京都新宿区)とのフランチャイズ契約締結を発表、2026年1月に大阪市生野区に日本1号店開設〕などがあった。

ファッション分野でも韓国企業の⽇本進出が相次いでいる。2025年は、2月にファッションEC「nugu」を運営するメディキタス(Mediquitous)がCROOZ SHOPLIST(東京都渋谷区、現SHOPLIST)の全株式を取得、4月にムシンサ(Musinsa)がファッションブランド「マーティンキム(MATIN KIM)」の日本初店舗を東京・渋谷に開設した。

IT・ゲーム分野でも韓国企業の⽇本進出が活発化している。2025年の対日投資事例としては、クラフトン(Krafton、6月にADKホールディングスの買収を決定)、NAVER(11月にnoteに20億円出資し、資本業務提携を開始)、カカオ(Kakao、11月に投資専門子会社経由でBrave groupに出資し、資本業務提携を開始)などがあった。

基礎的経済指標

項目 単位 2023年 2024年 2025年
実質GDP成長率 (%) 1.6 2.0 1.0
1人当たりGDP (米ドル) 35,674 36,239 36,227
消費者物価上昇率 (%) 3.6 2.3 2.1
失業率 (%) 2.7 2.8 2.8
貿易収支 (100万米ドル) 44,631 110,910 138,073
経常収支 (100万米ドル) 32,530 99,974 123,054
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 414,004 409,457 421,905
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 677,324 677,821 770,153
為替レート (1米ドルにつき、韓国ウォン、期中平均) 1,305.66 1,363.38 1,422.44

〔注〕
1人あたりGDP:2025年分は推計
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
外貨準備高は金を含む。
〔出所〕
実質GDP成長率、貿易収支、経常収支、対外債務残高:韓国銀行
1人当たりGDP、外貨準備高、為替レート:IMF
消費者物価上昇率、失業率:国家データ処