上海市国有土地上家屋収用及び補償実施細則

【法令名称】
上海市国有土地上家屋収用及び補償実施細則
【発布機関】
上海市人民政府
【発布番号】
上海市人民政府令第71号
【発布日】
2011-10-19
【施行日】
2011-10-19

法令紹介

主旨と目的

  • 上海市の国有土地上家屋収用と補償活動を規範化し、公共利益を擁護し、被収用人の適法権益を保障することを目的として、「国有土地上家屋収用と補償条例」に基づき、上海市の実情と合わせて、本細則を制定する(第一条)。

内容のまとめ
国有土地上家屋収用及び補償条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 」が2011年1月21日に公布施行されたことを受けて、各地方政府( 北京外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上海外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます浙江外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます江蘇重慶外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます広州外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 等を含む)は相継いで係る関連規定を公布した。

「国有土地上家屋収用及び補償条例」の係る規定が再度強調されたほか、本細則では更に下記の内容が明確にされた。

適用範囲(第二条) 上海市の国有土地上にて家屋収用と補償を実施する場合に、本細則が適用される。
収用主体及び収用部門(第五条)
  • 収用主体:区(県)政府(収用の決定、収用補償方案の公布等)。
  • 収用部門:区(県)家屋行政管理部門(組織、実施)。
収用範囲が確定した後に実施してはならない行為(第十一条) 家屋収用範囲が確定した後、家屋の譲渡、財産の分与、分割、贈与、工商営業登記を新たに追加、変更する等の行為がある場合、規定違反の補償費用は追加しない。
家屋収用価値評価(第二十四条、第二十五条)
  • 不動産価格評価機関は被収用人、公有家屋賃借人が協議の上選定する。協議によってもまとまらなかった場合、投票、くじ引き、抽選等の方式により確定する。
  • 被収用家屋の価値評価は被収用家屋の場所、用途、建築構造、新旧の度合い、建築面積及び敷地面積、土地使用権等の要素を考慮したものでなければならない。
  • 価値評価時点は家屋収用決定の公告日とする。
非居住家屋収用の補償(第三十四条)
  • 非居住家屋を収用する場合、被収用人、公有家屋賃借人に対し、以下の補償を行うものとする。
    1. 被収用家屋の市場評価価格。
    2. 設備の移転及び据付費用。
    3. 回復させて使用することのできない設備の再購入原価に基づき新旧の度合いと合わせて算出した費用。
    4. 生産営業停止の損失補償。
      生産営業停止となった場合の損失補償基準は、被収用家屋の市場評価価格の10%にて確定する。被収用人等が自己の生産営業停止損失が当該基準を超えると判断した場合、家屋収用部門に対し家屋が収用される前三年の平均収益、生産営業停止期間等の斯かる証明資料を提供するものとする。家屋収用部門は、不動産価格評価機関に、生産営業停止による損失についての評価を依頼し、且つ評価結果に基づき補償を行うものとする。
  • 被収用人、公有家屋賃借人が期日どおりに立ち退いた場合、立退き奨励を与える。具体的な奨励基準は、区(県)政府が制定する。

日系企業への影響
上海市都市家屋立退管理実施細則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 」(本細則は廃止された)と比べて、本細則では、被収用人の権利保護によりウェイトを置いたものとなっている。企業(日系企業を含む)にとって、影響がやや大きい点は下記の通りである。

  • 収用補償方案について意見を募集し、収用決定を公告する必要がある。
    • 区(県)政府は収用補償方案を家屋収用範囲内で公表し、被収用人、公有家屋賃借人の意見を募集すること。意見募集期限は30日を下回らないこと。
    • 区(県)政府が家屋収用決定後、速やかに公告すること。公告には収用補償方案及び行政不服再審査、行政訴訟権利等の事項を明記すること。
  • 旧都市区改築の場合の要求がより厳格となった。
    • 収用範囲確定後、改築意向の確認をすること。90%以上の被収用人、公有家屋賃借人が改築に同意した場合に、行うことができる。
    • 収用補償方案の意見募集のほか、区(県)政府は、被収用人、公有家屋賃借人と弁護士等の公衆代表が参加する聴聞会を組織すること。
    • 家屋収用部門は、被収用人等が収用補償方案に基づき発効条件付きの補償協議書の締結を行うよう組織すること。
      締結期限内に規定の締結比率に達した場合(80%を下回ってはならない、具体的には区県政府が規定する)、補償協議書は発効する。締結期限内に規定の締結比率に達しなかった場合、収用決定は執行を終了する。
  • 非居住家屋の補償基準が更に具体化された。詳細は、前述の【内容のまとめ】における「非居住家屋収用の補償」の係る規定をご参考下さい(生産営業停止の損失補償基準等を含む)。

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