ASEANの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2024年のASEANの経済成長率は4.8%
  • 2024年のASEANの貿易は8.8%増
  • ASEAN域内、中国とのFTAアップグレードが完了、早期発効を目指す。
  • 2024年のASEANへの直接投資は中国が拡大。
  • 日本の対ASEAN投資は非製造業を中心に前年比49.4%増。

公開日:2026年3月2日

マクロ経済 
2024年のASEAN経済は4.8%成長

アジア開発銀行(ADB)によると、2024年のASEANの経済成長率は4.8%となった。各国の経済成長率をみると、ベトナムが7.1%と最も高い伸びを示した。次いで、カンボジアが6.0%、フィリピンが5.7%、マレーシアが5.1%、インドネシアが5.0%と、いずれもASEAN域内平均を上回った。ベトナムでは小売・サービスの堅調な伸びに加え、新車販売台数が過去最高の49万台超に上るなど内需が好調で、外需(財・サービスの輸出)も過去最高の4,032億4,000万ドル(前年比14.2%増)を記録した。カンボジアは外需が成長を牽引した。主力輸出である縫製品関連が前年比15.7%増加したほか、外国人観光客数も過去最多の670万人に達した。フィリピンとマレーシアは個人消費が堅調に推移し、民間最終消費支出はそれぞれ4.9%、5.1%伸びた。いずれも低水準の政策金利などが寄与したとみられる。

一方、シンガポール(4.4%)とタイ(2.5%)は、ASEAN平均を下回る成長にとどまった。シンガポールは前年の1.8%から復調した。外国人来訪者数の増加に伴うサービス分野の回復に加え、エレクトロニクス需要の拡大による製造業の成長や、医療分野における政府支出の拡大などが成長に寄与した。タイでは、前年に続き個人消費が経済を下支えし、公共投資や輸出拡大も成長を後押しした。政府の景気刺激策に加え、サービス消費が好調であった一方、家計債務の高止まりによるローン審査の厳格化で、特に低中所得者がピックアップトラックを購入する際、ローンが却下されるケースが増加した。この結果、自動車販売台数が前年比26.2%減の57万2,675台と大幅に落ち込み、耐久財消費の低迷につながった。

表1 ASEANの実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
国名
(経済規模順)
2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2
ASEAN 4.1 4.8
階層レベル2の項目インドネシア 5.0 5.0 5.1 5.0 4.9 5.0 4.9 5.1
階層レベル2の項目タイ 2.0 2.5 2.1 2.7 3.3 3.7 3.1 2.8
階層レベル2の項目シンガポール 1.8 4.4 4.3 4.8 7.0 5.3 3.9 4.6
階層レベル2の項目フィリピン 5.5 5.7 5.9 6.5 5.2 5.3 5.4 5.5
階層レベル2の項目ベトナム 5.1 7.1 5.9 7.2 7.4 7.5 7.1 8.2
階層レベル2の項目マレーシア 3.5 5.1 4.2 5.9 5.4 4.9 4.4 4.4
階層レベル2の項目ミャンマー 1.0 △ 1.1 4.2 3.6 1.4 1.7 5.0 2.8
階層レベル2の項目カンボジア 5.0 6.0
階層レベル2の項目ブルネイ 1.1 4.1 7.2 5.4 5.7 △ 1.3 △ 1.8 △ 0.3
階層レベル2の項目ラオス 3.7 4.3 4.3 4.3 4.3

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比
〔出所〕2023年、2024年通年値はASEANはアジア開発銀行(ADB)、各国は国際通貨基金(IMF)、四半期値はCEIC

2025年のASEAN経済についても、国際機関等の推計によれば、足元では国ごとに明暗が分かれる見通しとなっている。四半期ごとの経済成長率(前年同期比)をみると、タイは2025年第1四半期および第2四半期にそれぞれ3.1%、2.8%と持ち直したものの、第3四半期は1.2%と再び減速した。世界情勢の不確実性の高まりに加え、訪問外客数の減少や不安定な国内政治情勢も懸念材料となっている。2025年通年での成長率は2.0%にとどまる見込みだ。一方、輸出が牽引役となっているシンガポールでは、第1四半期および第2四半期の成長率がそれぞれ3.9 %、4.6%と上向いた。ただし、米国関税措置を見越した駆け込み輸出が一服し、今後は外需の減速が見込まれている。

一方、2025年のベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア経済については、好調を維持する見込みである。ベトナムはシンガポール同様に、米国向けの駆け込み輸出の反動による輸出停滞が懸念されるものの、外国直接投資の流入が好調である。ADBによれば、ASEAN主要国のなかで唯一、6%台の成長率を維持する見通しとなっている。フィリピンも金融政策の緩和やインフレの解消などで内需の好調が続くと予想される。マレーシアとインドネシアについては、米国関税措置などによる貿易面の影響を受けながらも、堅調な国内消費が経済成長を下支えするとみられる。

2025年のASEAN全体の経済見通しをまとめると、ADBは成長率を4.3%と予測している(2025年9月時点)。主要国の成長率見通しは、ベトナムが6.7%、フィリピンが5.6%、インドネシアが4.9%、マレーシアが4.3%、シンガポールが2.5%、タイが2.0%となっている。

貿易 
2024年のASEANの貿易総額は8.8%増

ASEAN事務局の統計データベースである「ASEAN Stats」によると、2024年のASEANの輸出額は前年比7.6%増の 1 兆9,534億2,400万ドル、輸入額は10.2%増の 1 兆8,899億7,500万ドルと、輸出入とも増加した。貿易総額は8.8%増の3 兆8,433億9,900万ドルに増加した。

輸出について、金額と前年比を国・地域別にみると、最大の仕向け地であるASEANは、8.9%増の4,388億5,800万ドルであった。続いて、米国は15.9%増の3,123億8,900万ドルと2桁成長を記録し、2023年に最大の輸出先であった中国を上回り、単一国としては最大の輸出先となった。一方、中国は1.3%増と伸びが鈍化し、2,913億4,500万ドルにとどまった。その他、EU(前年比5.8%増)や香港(9.1%増)、韓国(4.1%増)、インド(7.5%増)が堅調に輸出を伸ばす中、日本は0.7%減の1,205億7,100万ドルと、上位輸出先の中で唯一マイナスを記録した。

表2-1 ASEANの主要国・地域別輸出(FOB)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
ASEAN 402,921 438,858 22.5 8.9
米国 269,463 312,389 16.0 15.9
中国 287,677 291,345 14.9 1.3
EU27 156,863 165,907 8.5 5.8
日本 121,368 120,571 6.2 △ 0.7
香港 102,725 112,062 5.7 9.1
韓国 77,407 80,544 4.1 4.1
インド 65,847 70,785 3.6 7.5
合計(その他含む) 1,815,576 1,953,424 100.0 7.6

〔出所〕ASEAN Stats

輸入を国・地域別にみると、最大の輸入相手は構成比で25.5%を占める中国で、前年比17.2%増の4,810億8,000万ドルと前年よりも伸びが大きい。次に構成比の大きいASEANは、6.7%増の3,839億7,900万ドルと増加した。1,408億1,900万ドル、台湾は25.2%増の1,398億8,000万ドルと、中国同様にいずれも2桁増となった。また韓国も6.9%増と伸びたことで、EU(2.7%増)を上回った。日本は1.6%減の1,162億1,200万ドルとなり、国・地域別の構成比では韓国や台湾、またEUとほぼ同水準になった。

表2-2 ASEANの主要国・地域別輸入(CIF)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
ASEAN 359,869 383,979 20.3 6.7
中国 410,525 481,080 25.5 17.2
米国 125,963 140,819 7.5 11.8
台湾 111,738 139,880 7.4 25.2
韓国 119,498 127,765 6.8 6.9
EU27 123,531 126,927 6.7 2.7
日本 118,162 116,212 6.1 △ 1.6
合計(その他含む) 1,715,458 1,889,975 100.0 10.2

〔出所〕ASEAN Stats

通商政策 
既存FTAの改定交渉が進展

ASEANが2025年12月時点で締結している自由貿易協定(FTA)は計8協定である。ASEAN加盟国間のFTAであるASEAN物品貿易協定(ATIGA)のほか、ASEANの対話パートナー(Dialogue Partners)と呼ばれる国・地域とのFTAがあり、中国、韓国、日本、オーストラリア・ニュージーランド、インド、香港との間で締結されている(通称:ASEAN+1 FTA)。さらに、中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドを含む枠組みとして、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月に発効した。

新たな協定としては、カナダ・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)交渉が進められている。当初は2025年内の妥結を目指していたが、市場アクセス分野などでの進捗の遅れにより、2025年12月時点でも交渉は継続している。2025年11月24日から28日にかけて、第16回交渉がフィリピンのマニラで開催され、2026年中の交渉妥結を目指している。

表3 ASEANのFTA発効・署名・交渉状況(単位:%)
FTA 発効日 ASEANの貿易に占める構成比(2024年)
往復 輸出 輸入
発効済み ASEAN物品貿易協定(ATIGA) (旧:ASEAN自由貿易地域(AFTA)形成のための共通効果特恵関税(CEPT)協定) 1993年1月 21.4 22.5 20.3
中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA) 2005年7月 20.1 14.9 25.5
韓国・ASEAN自由貿易協定(AKFTA) 2007年6月 5.4 4.1 6.8
日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定 2008年12月 6.2 6.2 6.1
ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA) 2010年1月 2.8 3.1 2.5
ASEANインド自由貿易協定(AIFTA) 2010年1月 2.8 3.6 1.9
ASEAN香港自由貿易協定(AHKFTA) 2019年6月 3.4 5.7 1.1
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定 2022年1月 55.9 50.8 61.2
合計 62.2 60.2 64.2
交渉中 カナダ・ASEAN自由貿易協定(ACAFTA) 0.6 0.7 0.5

〔出所〕各種発表よりジェトロ作成(2025年12月時点)

ASEANは、既に締結済みの貿易協定についても改定作業を進めている。2025年4月には、ASEANオーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)の改正第2議定書が発効した。今回の改正では、ASEANの既決協定として初めて、パンデミックなど人道的危機に不可欠な必需品について、制限措置を導入しないこと、通関手続きを迅速化すること、不足する必需品を相互に要請できることなどのルールに合意した。同じく、既決協定では初となる措置として、原産地規則における完全累積制度の導入に加え、専門・教育サービスに関する附属書の採択、政府調達章の新設、貿易および持続可能な開発(TSD)章の導入を実現した。さらに、オーストラリアとニュージーランドとの間で、AANZFTAやRCEPの実施支援のための基金(約43億円相当)が設置されている。

中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)についても、「ACFTA 3.0」へのアップグレードとして2022年11月に交渉を開始、2024年10月に実質的妥結を迎え、翌2025年10月に同アップグレード議定書が署名された。同議定書では新たな規律として、(1)デジタル経済、(2)グリーン経済、(3)サプライチェーン連結性、(4)零細・中小企業(MSMEs)、(5)競争と消費者保護の5分野が追加された。たとえば、デジタル経済では、電子インボイス、デジタルID、電子決済、個人情報保護、越境データ流通、データガバナンスなどの規定が盛り込まれている。グリーン経済では、環境物品・サービスに関する規定と協力の優先分野が定められた。サプライチェーン連結性では、必要物資とサービスの円滑な越境に向けた規定が導入された。さらに、貿易円滑化、任意規格・強制規格・適合性評価手続き(STRACAP)、衛生植物検疫措置といった既存分野でも見直しが行われている。中国商務部によると、中国とASEANの双方が批准手続きを進め、早期発効を目指す見通しである。

ATIGAについても、2025年5月の第46回ASEAN首脳会議(サミット)で改正交渉の妥結が首脳級で確認され、同年10月の第47回ASEANサミットで署名された。主な改正内容としては、原産地規則に関し、衣類(HS61-63)、電気機器(HS85)、化学品(HS28-29)などを対象とした品目別原産地規則(PSR)の緩和が挙げられる。また、原産地証明書であるフォームDのFOB価格表示要件が撤廃された。さらに、工業製品(主にHS84類~HS90類)に関して、再製造品の定義および取り扱いに関する規定が定められた。発効条件は全10加盟国による署名(国内批准手続き)の完了から18カ月後とされており、2027年半ばの発効が見込まれている。

ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)交渉が実質妥結

2023年9月に交渉が開始された「ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)」は、2025年10月に交渉の実質妥結が発表された。DEFAは、14回の交渉会合の成果として、ASEAN初の地域横断のデジタル経済枠組みを形成し、域内のデジタルトランスフォーメーションの加速につながるものと位置づけられている。具体的な規律として、越境データフロー、電子決済、個人情報保護に関する規定が盛り込まれる予定で、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の電子的移転可能記録モデル法と整合的なものとなる見通しである。現在、2026年の完全妥結と署名に向けた調整が進められている。

また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定については、2025年9月に開催されたASEAN高級経済実務者会合(SEOM)において、ASEAN域外国を含む参加国とともに、新規加入手続きが策定された。手続きには、物品・サービス貿易や投資に関する交渉手順や、小作業部会の設置が盛り込まれ、今後、加入申請国・地域との正式な交渉が開始される予定である。当該手続きは同年10月に開催された第4回RCEP閣僚会合において、加入作業部会の作業指針(TOR)として採択された。2025年12月時点では、香港、チリ、バングラデシュ、スリランカが新規加入を申請している。なお、RCEPは2027年に協定の一般的な見直し(改定)が予定されている。

対内直接投資 
2024年のASEANへの投資は米国が最大も、中国が拡大

「ASEAN Stats」によると、2024年のASEANへの対内直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は、前年比8.7%増の2,307億5,500万ドルと増加した。国連貿易開発会議(UNCTAD)によれば、世界全体で中国向けの外国直接投資(FDI)が減少する中、世界のFDIに占めるASEANのシェアは2024年時点で14.9%超へと拡大している。

ASEANの対内直接投資の受け入れ状況を国別にみると、全体の62.1%をシンガポールが占めている。同国への投資は、前年比6.1%増の1,433億7,700万ドルとなった。続いて、インドネシア(構成比10.5%)が12.6%増の242億1,200 万ドル、ベトナム(8.7%)は9.0%増の201億7,000万ドルといずれも堅調な伸びを示した。さらに、タイ(6.3%)は23.5%増、マレーシア(5.0%)は35.9%と大幅に投資を伸ばし、5.8%増のフィリピン(4.1%)を投資額で上回った。一方、ミャンマーとラオスはそれぞれ16.1%減、44.5%減となった。

表4 ASEANの対内直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年 2023年 2024年
金額 金額 金額 金額 構成比 伸び率
ASEAN 211,997 230,840 212,357 230,755 100.0 8.7
階層レベル2の項目シンガポール 130,905 142,104 135,071 143,377 62.1 6.1
階層レベル2の項目インドネシア 21,131 25,390 21,497 24,212 10.5 12.6
階層レベル2の項目ベトナム 15,660 17,900 18,500 20,170 8.7 9.0
階層レベル2の項目タイ 14,648 11,705 11,865 14,652 6.3 23.5
階層レベル2の項目マレーシア 12,144 17,284 8,407 11,426 5.0 35.9
階層レベル2の項目フィリピン 11,983 9,492 8,925 9,440 4.1 5.8
階層レベル2の項目カンボジア 3,483 3,579 3,959 4,395 1.9 11.0
階層レベル2の項目ミャンマー 1,005 2,981 2,204 1,849 0.8 △ 16.1
階層レベル2の項目ラオス 1,072 636 1,781 988 0.4 △ 44.5
階層レベル2の項目ブルネイ 205 △ 284 △ 57 29

〔出所〕ASEAN Stats

産業別にみると、最大の受入分野は金融・保険業(構成比40.4%)で、続いて、製造業(19.3%)、卸売・小売業(10.6%)、専門・科学・技術サービス(10.3%)、情報通信(5.2%)、不動産業(3.9%)の順だった。2023年と比べて、製造業のシェアは縮小し、卸売・小売業と情報通信が拡大した。

投資元を国・地域別でみると、最大は米国(構成比18.3%)で、続いてASEAN(14.1%)、中国(8.7%)、EU(8.6%)、英国(8.2%)、日本(8.0%)、香港(6.3%)、韓国(3.3%)の順だった。前年比では、中国が構成比で1.2ポイント拡大し、EUや英国を抜いて、単一国としては米国に次ぐ位置を占めた。

一方、米国からASEANへの直接投資額は、前年比50.1%減の423億3,300万ドルと大幅に減少した。金融・保険業は345億3,562万ドルと全体の81.6%を占めるが、前年比では57.0%減少した。次に卸売・小売業が17.9%増の27億2,460万ドルで、全体の6.4%を占めた。また、製造業(構成比1.7%)は、前年の2,651億9,400万ドルの引き揚げ超過からプラスに転じ、7億2, 767万ドルとなったが、情報通信(5.8%)の24億5,856万ドルを下回った。

EUからASEANへの投資は、前年比0.2%減の199億3,371万ドルだった。内訳を構成比で見ると、米国と同様に、金融・保険業が33.4%と最大だが、前年比53.0%減の66億4,845万ドルであった。続いて、卸売・小売業が19.5%減の49億2,104万ドル(24.7%)、運輸・倉庫業が2.9倍の37億2,436万ドル(18.7%)、製造業が2.1%増の29億3,570万ドル(14.7%)の順だった。

中国からの投資は11.5%増の200億1,171万ドルと、2年連続で2桁増を記録した。製造業への投資が35.8%を占め、前年比8.3%増の71億7,399万ドルに上った。また、金融・保険業が前年から4.0倍伸びて39億5,431万ドル(構成比19.8%)、不動産業が21.7%減の24億446万ドル(12.0%)、専門・科学・技術サービスが15.7倍の20億8,384万ドル(10.4%)と、非製造業の投資も活発だ。

日本からの投資は、前年比43.3%増の185億1,938万ドルと伸長した。金融・保険業は2.4倍の122億889万ドル(構成比65.9%)と最大シェアを占めた。続く製造業は26.1%減の35億6,179万ドル(19.2%)と落ち込んだ一方、専門・科学・技術サービスは26億4,181万ドル(14.3%)で5.4倍の伸びを記録した。

対日関係 
日本の対ASEAN投資、非製造業を中心に前年比49.4%増。

日本との貿易関係をみると、2024年のASEANの対日輸出は前年比0.7%減の1,205億7,100万ドルとなった。品目別では、構成比で22.6%を占める電気機器・同部品(HS85)が4.7%減の272億7,000万ドルと縮小し、鉱物性燃料(HS27)は6.2%減の152億1,700万ドルと大幅に減少した。一方、一般機械(HS85)やプラスチック製品(HS39)はそれぞれ12.1%増、9.7%増の伸びを示した。輸送機器・同部品(HS87)は10.7%減の35億300万ドルだった。前年から大きく伸びたのは貴石・貴金属(HS71)で、48.3%増の32億2,600万ドルと、主要輸出品目の一つとして存在感を高めた。

表5-1 ASEANの対日主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
電気機器・同部品 28,603 27,270 22.6 △ 4.7
鉱物性燃料 16,217 15,217 12.6 △ 6.2
一般機械 10,645 11,934 9.9 12.1
プラスチック製品 4,300 4,715 3.9 9.7
精密機器 4,195 3,835 3.2 △ 8.6
衣類・同付属品 3,356 3,556 2.9 6.0
輸送機器・同部品 3,921 3,503 2.9 △ 10.7
ニット製品 3,506 3,451 2.9 △ 1.5
貴石・貴金属 2,175 3,226 2.7 48.3
木材・同製品 2,995 3,018 2.5 0.8
合計(その他含む) 121,368 120,571 100.0 △ 0.7

〔出所〕 ASEAN Stats

2024年のASEANの対日輸入は、1.6%減の1,162億1,200万ドルと縮小した。電気機器・同部品が0.6%減の313億4,300万ドル、一般機械が3.5%減の183億300万ドル、輸送機器・同部品が7.0%減の100億5,400万ドルとなり、主要輸入品目が軒並み減少傾向を示した。前年との比較で輸入が拡大した品目は、プラスチック製品と貴石・貴金属、銅・同製品だった。

表5-2 ASEANの対日主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
電気機器・同部品 31,537 31,343 27.0 △ 0.6
一般機械 18,957 18,303 15.7 △ 3.5
輸送機器・同部品 10,808 10,054 8.7 △ 7.0
鉄・鉄鋼 10,715 10,051 8.6 △ 6.2
プラスチック製品 5,227 5,352 4.6 2.4
精密機器 5,124 4,930 4.2 △ 3.8
貴石・貴金属 3,913 4,552 3.9 16.3
鉄鋼製品 3,300 3,267 2.8 △ 1.0
銅・同製品 2,838 3,030 2.6 6.8
鉱物性燃料 3,053 2,462 2.1 △ 19.4
合計(その他含む) 118,162 116,212 100.0 △ 1.6

〔出所〕 ASEAN Stats

日本銀行の2024年の日本の対外直接投資統計によると、同年における日本の対ASEAN直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は、前年比49.4%増の4兆2,487億円で、2023年の減少から増加に転じた。日本の対外直接投資全体に占める構成比では、ASEANは13.7%と最大の米国(43.4%)に比べて3分の1程度である一方、中国(1.2%)の約11倍となった。

ASEANを各国別でみると、日本の最大の直接投資先となったのはシンガポールで、前年比3.2倍の2兆4,694億円だった。次いで、タイが26.9%増の6,320億円、インドネシアが13.7%減の3,616億円、マレーシアが8.2%増の3,088億円、ベトナムが53.1%減の2,773億円、フィリピンが28.0%減の1,697億円の順だった。なお、カンボジアは142億円、ミャンマーは186億円、ラオスは5億円だった。

業種別でみると、ASEAN全体では非製造業への投資が77.2%を占め、前年(67.3%)よりシェアが10ポイント近く拡大した。特に金融・保険業が前年比3.5倍の1兆4,602億円と大きく伸びた。卸売・小売業は18.4%減の5,256億円となった。いずれもシンガポールとタイの構成比が大きい。不動産業(4.8%増、3,579億円)が堅調に推移したほか、サービス業(2.7倍、1,372億円)も成長した。製造業の中では、輸送機器(2,915億円)の構成比(30.1%)が比較的大きく、これにはタイとインドネシアが寄与した。その他、電気機器は15.3%増の2,976億円と、輸送機器を抜いて製造業分野で最大となった。これらに1,111億円の食料品が続く。