世界が求める木桶醤油 蔵人が醸してきたものとは

2024年04月18日

海外でひそかなブームになっている醤油がある。伝統的な木桶で造られたものだ。そこにはバイヤーの心をつかむ理由があった。新たな販路を拓くため、蔵人たちが仕掛けた戦略に迫る。

(12分29秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 木目調のテーブルの上に置かれた大皿に、さまざまな水産物や生野菜が盛りつけられている。大皿の右側には形や深さの異なる4つの小皿が並び、こげ茶色(こげちゃいろ)や薄茶色(うすちゃいろ)をした液体調味料が入っている。 形や深さの異なる4つの小皿に入ったこげ茶色(こげちゃいろ)の液体調味料のアップ。 天井の高い大きな会場。ラベルや大きさが異なる瓶入りの調味料が、カウンターの上に並んでいる。カウンターの向こうには通路があり、大勢の人々が行き交っているのが見える。

ナレーション: 和食に欠かせない醤油(しょうゆ)。さまざまな種類があるが、今、海外でひそかなブームになっているのが…。

映像説明: 円柱形(えんちゅうけい)の大きな木桶が並んだ室内。木製の木桶には、ところどころに、こげ茶色(こげちゃいろ)の液体が染み出た跡がある。 木桶の中のこげ茶色(こげちゃいろ)の液体を、棒状の道具である櫂棒(かいぼう)でかき混ぜている。

テロップ: 木桶醤油(きおけしょうゆ)

ナレーション: 昔ながらの木桶を使って醸造された醤油(しょうゆ)だ。

映像説明: 天井の高い大きな会場。通路で、グレーのスエットシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: オーストリア国旗 バイヤー

オーストリアのバイヤー・英語: 木桶の醤油(しょうゆ)を探しています。まとまった量を輸入したいです。

映像説明: 瓦屋根のある建物の近くにある広場で、黒髪の短髪の男性がインタビューに答える。

テロップ: オーストラリア国旗 ブルワリー

オーストラリアのブルワリーの男性・英語: オーストラリアでも木桶が欲しいです。それで醤油(しょうゆ)を造りたいです。

映像説明: 天井の高い大きな会場。木桶で作られたテーブルで、白い法被を着た男性がパンフレットを見せながら、前に座っている男性と女性に説明している。 会場の別の一角。藍色の法被を着た男性が書類に記入している。そのそばで、赤いTシャツを着た男性がグレーのスエットシャツを着た男性と握手をしたあと、談笑している。

ナレーション: その仕掛け人(しかけにん)が、長年、伝統的な製法を守ってきた蔵人(くらびと)たち。

映像説明: 白い文字で企業名やQRコードなどが書かれた黒い大きな壁の前にある棚に醤油(しょうゆ)の瓶がずらりと並んでいる。 ボブヘアーの女性が、木桶で作られたテーブルの上にある3種類の醤油(しょうゆ)を手で示しながら、前に座っている男性と女性に話をしている。

テロップ: 小さな醸造所が手を組み世界へ

ナレーション: 地方の小さな醸造所が手を組み、海外に打って出ようとしている。

映像説明: 日本地図(にほんちず)や白い文字で説明などが書かれた黒い大きな壁の前で、黒いTシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: 職人醤油(しょくにんしょうゆ) 高橋 万太郎(たかはし まんたろう) さん

高橋さん: 木桶で造ってる蔵元さんは、こだわりが半端ないと思います。

映像説明: 大きな木桶の前で、藍色の法被を着た男性がインタビューに答える。

テロップ: ヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ) 山本 康夫(やまもと やすお) さん

山本さん: 地方の、木桶でまじめに造っているメーカーが生き残るのって、世界の1%目指すしかないなって、私は思う。

映像説明: 白い法被を着た男性が、ポスターサイズのパネルを見せている。 木桶で作られたテーブルで、白い法被を着た男性がパンフレットを見せながら、前に座っている男性と女性に説明している。 屋外。瓦屋根のある建物の前で、9人ほどの人が腕組みをして横1列に並んで立っていて、掛け声とともに拳を高く突き上げる。

テロップ: 世界が求める木桶醤油(きおけしょうゆ) 蔵人(くらびと)が醸してきたものとは

ナレーション: 世界を舞台に販路を開き、伝統の醤油造り(しょうゆづくり)を受け継ごうとする蔵人(くらびと)たちの挑戦を追った。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や、農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図のCGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: 天井の高い大きな会場の中央に、人の背丈よりも高い、大きな木桶が置かれている。その奥には木目調のブースがあり、カウンターに人々が集まっているのが見える。 大きな木桶のアップ。木桶の足元には「KIOKE SHOYU(キオケショウユ)」と書かれたパネルが立てかけられている。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 世界が求める本物の味 木桶醤油(きおけしょうゆ)の可能性

ナレーション: 都内で開かれた食品の見本市。ひときわ来場者の目を引いたのが、大きな木桶だ。

映像説明: 木目調のブース。さまざまな種類の醤油(しょうゆ)の瓶がずらりと並んだカウンターがあり、大勢の人々でにぎわっている。

テロップ: 木桶仕込み醤油(きおけじこみしょうゆ)輸出促進コンソーシアム

ナレーション: ここは「木桶仕込み醤油(きおけじこみしょうゆ)輸出促進コンソーシアム」のブース。

映像説明: 黒い大きな壁の前に、ラベルや大きさの異なる、さまざまな醤油(しょうゆ)の瓶が並んでいる。黒い大きな壁には、醤油(しょうゆ)を造る蔵人(くらびと)の写真や蔵元の名前、商品名などが書かれている。

ナレーション: 伝統的な木桶を使って醤油(しょうゆ)を造り続けてきた29の醸造所が共同で出展している。

映像説明: 室内。床に木桶を埋め込んだ直径2mほどの丸い穴がいくつもあり、木桶いっぱいに醤油(しょうゆ)の、もろみが入っている。 天井のはりや壁には、白い粉末が付いているのが見える。(映像提供:ヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ)) 木桶のアップ。側面に白い粉末が、こびりついている。 醤油(しょうゆ)を瓶詰めする装置のアップ。瓶が醤油(しょうゆ)で満たされていく。

ナレーション: 木桶醤油(きおけしょうゆ)の特徴は、木桶に長い年月(ねんげつ)をかけて棲みついた酵母菌などが醸し出す、その蔵独自(くらどくじ)の味だ。

映像説明: 醤油造り(しょうゆづくり)の木桶が並ぶ室内。頭に白いタオルを巻いた男性が、木桶いっぱいに入った醤油(しょうゆ)のもろみを、櫂棒でかき混ぜている。 頭に白いタオルを巻いた男性のアップ。

テロップ: 国内流通 約1%

ナレーション: 近年では、手間やコストがかかることから、木桶で造る醤油蔵(しょうゆぐら)は減っており、国内の流通量は1%ほどだと言われる。

映像説明: 醤油(しょうゆ)を瓶詰めする装置。口いっぱいに醤油(しょうゆ)が注入された瓶が、人の手で装置から外される。 仕切りのある段ボール箱の中に、フタをした醤油(しょうゆ)の瓶を詰め込んでいく。

ナレーション: 昔から木桶を使っている醤油蔵(しょうゆぐら)の売り先は、ほとんどが地元で、商圏が狭い。

映像説明: 食品の見本市の会場。山本さんと高橋さんが、緑色(みどりいろ)のカーディガンを着た男性とタブレット端末を見ながら話している。

テロップ: ヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ) 山本 康夫 さん

ナレーション: このコンソーシアムの旗振り役、香川県で150年の歴史を誇るヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ)の山本さんは、ある目標を語る。

映像説明: 大きな木桶の前で、山本さんがインタビューに答える。

山本さん: 世界の1%を目指したときに、市場が50万人から70億、80億になるんですよ。 地方の木桶で、まじめに造っているメーカーが生き残るのって、世界の1%を目指すしかないなって、私は思うんですよ。

映像説明: 大きな木桶のそばで、黒いTシャツを着た男性がポスターサイズのパネルを指し示しながら来場者を応対している。

テロップ: 世界の流通額 1%を目指す

ナレーション: それは、世界で流通している醤油(しょうゆ)のシェアの1%を取りにいくこと。

映像説明: 赤いTシャツを着た女性が来場者を応対する様子やグレーのジャケットを着た女性が手ぶりを交えながら来場者と話している様子が映し出される。

ナレーション: 事業を継承していくために、拡大が期待できる海外市場を開拓していくという。

映像説明: あごひげを生やした男性が、高橋さんを含む数名の人物と立ち話をしている。 手ぶりを交えて話しているあごひげを生やした男性にズームアップする。

ナレーション: 木桶醤油(きおけしょうゆ)は、すでに、プレミアムな醤油(しょうゆ)として、感度の高い海外バイヤーには認知されている。

映像説明: 日本地図(にほんちず)や白い文字で説明などが書かれた黒い大きな壁のそばで、あごひげを生やした男性がインタビューに答える。

テロップ: アメリカ国旗 バイヤー

アメリカのバイヤー・英語: アメリカ人の味覚は変わりつつあります。 今は、より高品質な食材への関心が高まっています。 小さい事業者にとっても大きなチャンスです。

映像説明: 海外通販サイトのヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ)の商品ページ。白い背景に、商品の写真があり、商品名や商品説明などが、すべて英語で記載されている。 価格の部分がクローズアップされ、紺地に白抜きの文字で「醤油(しょうゆ)1本(532ml) 約6,800円」のテロップが表示される。

ナレーション: アメリカのサイトでは、木桶の醤油(しょうゆ)は、1本6,000円以上するが、それでも売り上げは好調なのだという。

映像説明: 食品の見本市の会場。白い文字で蔵元、商品名、QRコードなどが書かれた黒い大きな壁の前に、ラベルや大きさの異なる、さまざまな醤油(しょうゆ)が並んでいる。 会場の別の一角。髪を後ろで束ねた男性が、さまざまな醤油(しょうゆ)の瓶が並んだカウンターで来場者を応対している。 日本地図(にほんちず)や白い文字で説明などが書かれた黒い大きな壁のそばで、を後ろで束ねた男性が来場者を応対している。

テロップ: 相応の価格で購入する傾向

ナレーション: 自然を生かし、伝統という時を重ね、人の手で造られたもの。それには、相応の金額を払う傾向が生まれつつある。

映像説明: 白い法被を着た男性が、2人の女性来場者にポスターサイズのパネルを見せながら話している。

ナレーション: そこで、世界に広めるための戦略の1つが…。

映像説明: 白い法被を着た男性が、2人の女性来場者にポスターサイズのパネルを指し示しながら説明している。

白い法被を着た男性: ワインに例えると分かりやすいんですけど。白ワインにあう料理と、赤ワインにあう料理って、ちょっと違くないですか? 醤油(しょうゆ)も同じで…。

映像説明: 「醤油(しょうゆ)の分類はワインに似ています!」と書かれたポスターサイズのパネルのアップ。熟成期間が短い醤油(しょうゆ)は、白ワインのような、さっぱりとした料理が合い、熟成期間が長い醤油(しょうゆ)は、赤ワインのような味の濃い料理が合うと、写真付きで示されている。

テロップ: 醤油(しょうゆ)をワインに

ナレーション: 醤油(しょうゆ)をワインに例えること。

映像説明: 黒いTシャツを着てメガネをかけた若い男性が来場者を応対している。 赤いTシャツを着た男性が、グレーのスエットシャツを着た男性に試食用のスプーンを渡す。グレーのスエットシャツを着た男性はスプーンを手に取り、香りや味を確かめる。

ナレーション: ワインも高級品ほど、木の樽で仕込まれているため、海外のバイヤーたちにも伝わりやすいという。

映像説明: 食品の見本市の会場の通路で、ストライプ柄のシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: フランス国旗 バイヤー

フランスのバイヤー・フランス語 ワインのように年月(ねんげつ)をかけて発酵させていることは、フランスでは、とても高く評価されるはずです。

映像説明: QRコードなどが書かれた黒い大きな壁の前に並べられた醤油(しょうゆ)の入った瓶のアップ。白醤油(しろしょうゆ)や、薄口醤油(うすくちしょうゆ)など、さまざまな種類の醤油(しょうゆ)が次々と映し出される。 試食用の醤油(しょうゆ)とスプーンがカウンターに置かれている。

ナレーション: もう1つの戦略が、参加しているすべての蔵人(くらびと)が、ほかの蔵の醤油(しょうゆ)の特徴を把握していることだ。協力して、バイヤーが求める最適な醤油(しょうゆ)を提案している。

映像説明: 日本地図(にほんちず)や白い文字で蔵元の名前などが書かれた黒い大きな壁の前で、黒いTシャツを着た短髪の若い男性がインタビューに答える。

テロップ: 岡本醤油醸造場(おかもとしょうゆじょうぞうじょう) 岡本 康生(おかもと こうせい) さん

岡本さん: 木桶で、みんなで造ってるお醤油屋さん(おしょうゆやさん)って、こう、やっぱり、小っちゃい蔵(ちっちゃいくら)が多くて、 これからどんどん、いろいろな人に知ってほしいっていうところがあるんで、 どちらかというと、なんか、仲間のような感じで、一緒に仕事させてもらってますね。

映像説明: 木桶で作られたテーブル席で、ロングヘアーの女性とタートルネックのセーターを着た男性、ボブヘアーの女性が話している。

テロップ: ポーランド国旗 シェフ

ナレーション: ポーランドから来たレストランのシェフとの商談をのぞいてみると、

映像説明: ボブヘアーの女性が、テーブルの上にある3種類の醤油(しょうゆ)を手で示しながら、2人に話をしている。

ナレーション: 対応しているのは、濃いたまり醤油(たまりしょうゆ)を造っている蔵元だ。

映像説明: 白い文字で蔵元の名前やQRコードなどが書かれた黒い大きな壁の前に並んだ、ラベルや大きさの異なる、さまざまな醤油(しょうゆ)が映し出される。

ナレーション: ひとえに醤油(しょうゆ)と言っても、さまざまな種類がある。

映像説明: 透明の小瓶に入った、こはく色(いろ)の白醤油(しろしょうゆ)のアップ。

ナレーション: サラダに合うのは、白醤油(しろしょうゆ)、

映像説明: 黒い大きな壁の前に並べられた醤油(しょうゆ)の瓶のアップ。

ナレーション: 魚には薄口、肉には再仕込みの濃口醤油(こいくちしょうゆ)が合う、といった具合。

映像説明: 木桶のテーブル席で、タートルネックのセーターを着たポーランドのシェフが、テーブルの上に置かれた醤油(しょうゆ)の瓶を示したりしながらインタビューに答える。

テロップ: ポーランド国旗 シェフ

ポーランドのシェフ・英語: 白が気に入りました。 これは親しみがある味で、ヨーロッパの人に向いています。

映像説明: ボブヘアーの女性が、木桶で造られたテーブルの上にある3種類の醤油(しょうゆ)を手で示しながら、ポーランドのシェフと隣に座る女性と話している。 白い法被を着た男性がテーブル席に現れ、ポーランドのシェフに名刺を渡す。

テロップ: バトンタッチ

ナレーション: 求めていたのは、マイルドな醤油(しょうゆ)。そこで、すかさず別の蔵元にバトンタッチ。

映像説明: 食品の見本市の会場の通路で、ボブヘアーの女性がインタビューに答える。

テロップ: 山川醸造(やまかわじょうぞう) 山川 華奈子(やまかわ かなこ) さん

山川さん: 自分の所じゃなく、あの、味見していただいたら、もう、しろたまりが1番、ヨーロッパの料理に合いそうだと、シェフの判断で、ご紹介をしました。

映像説明: ポーランドのシェフが、白い法被を着た男性や、ほかのスタッフに日本語で話し、おじぎをしたり、握手をしている。

ポーランドのシェフ: おいしい、おいしいソイソース、ありがとうございます。

映像説明: 醤油(しょうゆ)の出展商品が並んだカウンターの前で、高橋さんが、フランスのバイヤーを応対している。

ナレーション: さらに、もう1つ、力を入れているのが、情報発信のしかただ。

映像説明: 日本地図(にほんちず)や白い文字で説明などが書かれた黒い大きな壁の前で、高橋さんがインタビューに答える。

テロップ: 職人醤油(しょくにんしょうゆ) 高橋 万太郎 さん

高橋さん: やっぱりその、背景を伝えるっていうことに尽きるかなと思ってるんです。 木の容器で3年も熟成さしてて、なんでこんな安く売ってるのっていう、ま、驚きになるみたいなんです。

映像説明: 高橋さんが、アメリカのバイヤーを含む2人の男性来場者と手ぶりを交えながら話している。 岡本さんが女性来場者に試食用のスプーンを渡し、醤油(しょうゆ)の味を見てもらう。

ナレーション: その場で販売することよりも、誰が、どのように醤油(しょうゆ)を造っているのかを伝えることに力を入れている。もっとも効果的なのが、実際に蔵(くら)に足を運んでもらうことだ。

映像説明: 青空の下、高いところから見下ろした町並み。2階建ての住宅が多く建ち並び、遠くには穏やかな海や小さな山が見える。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 150年続く木桶の蔵(くら) 伝統を紡ぐ秘策

テロップ: 香川県 小豆島町(しょうどしまちょう)

ナレーション: 香川県の小豆島(しょうどしま)に、

映像説明: 瓦屋根のある木造の建物の外観。前庭(まえにわ)にある屋根と柱、はりだけの小屋に大きな木桶が2つあり、1つは立てて、もう1つは中が見える向きに寝かせて置かれている。

ナレーション: コンソーシアムの旗振り役、ヤマロク醤油(しょうゆ)の蔵(くら)がある。

映像説明: 木桶が置かれた蔵の中へ入っていく視点の映像。茶色く醤油(しょうゆ)が染みた大きな木桶が並び、格子の付いた窓から薄い光がさし込んでいる。 蔵の中に置かれた木桶の1つにフォーカスした映像。

ナレーション: 中をのぞくと、古くから使われている木桶が、ずらり。1つの桶は、100年から150年、もつという。

映像説明: 白っぽい茶色をした醤油(しょうゆ)のもろみが、表面いっぱいに泡を浮かべて発酵している。 柱に取り付けられた小さなライトがともっていて、木桶の側面に付いた粉末状の菌を照らしている。

ナレーション: 1年から4年ほど、もろみを寝かせ、醤油(しょうゆ)が出来上がる。

映像説明: 黒いパーカーを着た山本さんが、人々を蔵(しょうゆぐら)の中に案内している。

ナレーション: 山本さん自ら、木桶醤油(きおけしょうゆ)の歴史を語る。

映像説明: 山本さんが、木桶を指で差し示しながら説明している。 粉末状の菌がこびりついた木桶の側面のアップ。

テロップ: ヤマロク醤油(ヤマロクしょうゆ) 山本 康夫 さん

山本さん: これ、わかります? 表面に、こう、たくさん付いてるのが、えー、これ、お醤油(おしょうゆ)を発酵させる菌なんですね。 乳酸菌とか酵母菌なんですけど、ずっと使ってるんですよ。 そうすると、お醤油(おしょうゆ)作る菌、だんだんと木の桶に棲みついてくるんです。

映像説明: 醤油蔵(しょうゆぐら)の中。山本さんの案内が続き、数名の人々が足場から木桶の中を見たり、スマートフォンで撮影したりしている。 屋外。人々が集まっていて、紺地の前掛けをした女性や外国人の姿もある。

ナレーション: 実際に蔵(くら)を訪れ、その香りを嗅げば、醤油(しょうゆ)のひと滴(ひとしずく)がとても貴重なものだと感じられる。

映像説明: 日ざしを浴びたミカンの木々が、風で小さく揺れている。 大きな木桶を作る小屋。中央に、木桶の側面になる細長い側板(がわいた)を組み合わせた円筒形(えんとうけい)のものがあり、赤いパーカーを着た男性が、竹くぎで側板(がわいた)同士を留めている。そばで、黒い上着を着た男性や黄緑色(きみどりいろ)と黒の上着を着た男性が太鼓の音に合わせて手を動かしている。周りにも複数の人物が立ち、その様子を見守っている。スマートフォンで撮影している人もいる。 瓦屋根の建物の前の通りを、男性たちが小さな木桶を載せたみこしを上下に動かしながら担いでいく。遠り沿いに大きな木桶が並べられているのが見える。

テロップ: 木桶による発酵文化サミット in 小豆島 2024

ナレーション: そのヤマロクで毎年開催されているのが、通称、木桶サミット。

映像説明: 大きな木桶が置かれた小屋の前に、細く割られた1本の長い竹を横1列に並んだ人々が両手で持っている。マイクを持った男性が声をかけると、竹を持った人々が楽しそうに笑顔を見せる。 横1列に並んだ人々が、掛け声に合わせて、くるくると手元に持った竹を回しながら縄を巻きつけていく。

ナレーション: 醤油(しょうゆ)だけでなく、みそや酒、流通業者、料理研究家など、木桶に携わる人々が1年に1度、集うイベント。

映像説明: 木桶を作る小屋。男性たちが、円筒形(えんとうけい)に組み合わせた側板(がわいた)に緑色(みどりいろ)のベルトを巻きつけ、力いっぱい締めていく。 木桶の側板(がわいた)が完成し、人々が写真を撮ったり、手で触れたりしている。

ナレーション: 目的は、途絶えつつある木桶そのものを作る職人を復活させることだ。

映像説明: 木桶を作る小屋の前に人々が集まっている。マイクを持った人が声をかけると、人々が手を挙げるなどしている。 木目調の黒い板壁の建物。山本さんが2階から細く割った長い竹を下ろしていく。 建物の2階から細く割った長い竹を下ろしている山本さんのアップ。 木桶を作る小屋。男性たちが大きなハンマーを手に、側板(がわいた)を円筒形(えんとうけい)に組んだ木桶のそばに組まれた足場に乗っている。

ナレーション: 2009年のこと。山本さんが耳にしたのは、醤油用(しょうゆよう)の木桶を作る最後の職人が高齢になり、辞めてしまうということだった。木桶の需要は年々減り続け、作ることができる職人も、ほとんどいなくなっていたのだ。

映像説明: 蔵の中の大きな木桶の前で、山本さんがインタビューに答える。

山本さん: 何もしなければ、なくなるんですよね。 で、桶屋(おけや)さんがいなくなると、カウントダウンが始まる。 そこから50年、100年の間(あいだ)に、すべての桶がなくなって、 世界遺産になった和食の基礎調味料の本物がゼロになる。

映像説明: 木桶を作る小屋。男性たちが足場の上に乗り、大きなハンマーを手に、たがと呼ばれる竹の輪を側板(がわいた)に取り付ける。 側板(がわいた)を円筒形(えんとうけい)に組んだ桶の中で黒い上着を着た男性が作業している。 木桶を作る小屋の前。白いニット帽をかぶり、黒い上着を着た男性が、しゃがんで、たがを組んでいる。

ナレーション:、 自分たちの醤油(しょうゆ)を残していくには、木桶の存続も必要。そこで、幼なじみの大工たちと職人の下(もと)で修業し、木桶作りを学んだ。

映像説明: 4つの大きな木桶を並べ、足場を渡した特設ステージ。前掛けや法被を身に着けた人々が腕組みをして横1列に並んで立っている。 4つの大きな木桶を並べて作った特設ステージの上に立つ、前掛けや法被を身に着けた人々が掛け声とともに拳を高く突き上げる。

ナレーション: そして、木桶の文化を知ってもらうため、サミットを開催することに。

映像説明: 蔵の中の大きな木桶の前で、山本さんがインタビューに答える。

山本さん: 生き残って、全国各地の、きお、木桶で造る醤油屋(しょうゆや)さんの売り上げがあがって、 で、経営が成り立って、で、醤油(しょうゆ)が足りなくなって、桶を発注して、職人に仕事があるっていう、 この仕組みを作らないと、なくなるんですよね。

映像説明: 横1列に並んだ人々が、掛け声に合わせて、くるくると手元に持った竹を回しながら縄を巻きつけていく。 マイクを持った男性が声をかけると、手元に竹を持った人々が楽しそうに笑顔を向け、掛け声を上げる。

テロップ: 世界にも

ナレーション: こうした木桶を作り、食の文化を守る動きは、世界に広がりつつある。

映像説明: 手元に持った竹に縄を巻きつける人々の中に、カーキ色(いろ)のダウンジャケットを着た黒い短髪の男性の姿がある。

テロップ: オーストラリア国旗 ブルワリー

ナレーション: こちらは、オーストラリアで醤油(しょうゆ)を造っている男性。

映像説明: 瓦屋根のある建物の近くにある広場で、オーストラリアのブルワリーの男性が黒いニットを着た女性と話をしている。

ナレーション: 日本の木桶を使いたいが、手に入らないため、ワインの樽で代用しているという。

映像説明: 瓦屋根のある建物の近くにある広場で、オーストラリアのブルワリーの男性が手ぶりを交えながらインタビューに答える。

オーストラリアのブルワリーの男性・英語: 私の計画では、木桶で醤油(しょうゆ)を造ったら、もっと販売促進できると思うんですよね。

映像説明: 4つの大きな木桶を並べ、足場を渡した特設ステージがあるスペース。赤いパーカーを着た男性がマイクを持ち、木桶の1つを指し示しながら話している。周りにたくさんの人々が集まっている。 赤いパーカーを着た男性が大きな声を上げると、集まっている人々から拍手が起こる。

テロップ: 木桶のオークション

ナレーション: そのサミットで行われていたのが、木桶のオークション。新しい木桶は1本200万円ほどするが…。

赤いパーカーを着た男性: 45!(万円) 45万円で落札です!

映像説明: 赤いパーカーを着た男性とカーキ色(いろ)のダウンジャケットを着た男性が、4つの大きな木桶を並べて作った特設ステージの前に立ち、オークションの進行を続ける。

ナレーション: これが木桶の普及に一役買っている。

赤いパーカーを着た男性: 6万円、6万円、6万円。

参加者の男性(声のみ): 7万!

赤いパーカーを着た男性: 7万!

映像説明: 澄んだ青空の下、大きな切り妻屋根のある、赤茶色のレンガ造りの建物の外観。手前に乗用車やトラックなどが駐車している。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 再び木桶で造る 伝統の製法を復活

テロップ: 奈良市

ナレーション: オークションで木桶を手に入れ、再び仕込みを始めた蔵(くら)がある。

映像説明: 白い外壁の2階建ての建物の外観。1階部分が店舗になっていて、ガラス窓の向こうに、醤油(しょうゆ)の瓶や、小さな木桶が見える。

テロップ: 井上本店(いのうえほんてん)

ナレーション: 奈良市内で江戸時代から続く、醤油蔵(しょうゆぐら)。

映像説明: 井上本店の製造工場内。醤油(しょうゆ)を瓶詰めする装置のアップ。 大きさや種類の異なる、さまざまな醤油(しょうゆ)の瓶が陳列された棚。棚の手前には、商品の説明と写真が入ったカードが、それぞれ貼られている。

ナレーション: 自然の気候に合わせて時間をかけて造る天然醸造にこだわっている。

映像説明: 作業場。3つの大きな木桶が置かれている。 醤油(しょうゆ)が染み込んでいない、真新しい木の風合いがある木桶のアップ

ナレーション: この製法を続けるためにも、伝統的な木桶が有効だと考えた。

映像説明: 新しい木桶の前で、頭に手ぬぐいを巻き、メガネをかけた男性がインタビューに答える。

テロップ: 井上本店 吉川 修(よしかわ おさむ) さん

吉川(よしかわ)さん: 何を、こう、造っていきたいのかっていうところで、そのベクトルの方向が、昔ながらのやり方っていう。 それを、やっぱり、ま、残したいって言うんでしょうかね、続けていきたい。 そこが、ま、1番原点。

映像説明: 蔵(くら)の中。白い衛生帽子をかぶった2人の男性が作業をしている。コンクリート製のタンクに、茶色い醤油(しょうゆ)のもろみが入っているのが見える。 白い衛生帽子をかぶり、メガネをかけた若い男性がタンクのそばで作業している。

ナレーション: さらに背中を押したのが、跡取りとなる息子たちが蔵(くら)に戻って来たことだった。この先、新たな市場開拓の可能性にも期待する。

吉川さん(声のみ): その、彼らが帰ってくるって言わなかったら、木桶につながらなかった可能性はありますよね。

映像説明: 食品の見本市の会場。メガネをかけた若い男性が来場者を応対している。 木桶サミットの会場の一角。木桶でできた特設ステージの前に2人の男性が立っていて、メガネをかけた若い男性がマイクを手に話をしている。 マイクを手に話をしているメガネをかけた若い男性のアップ。 前掛けや法被を身に着けた人々が、腕組みをして横1列に並んでいる中に、メガネをかけた若い男性の姿がある。 吉川商店の作業場。醤油(しょうゆ)が染み込んでいない、真新しい木の風合いがある木桶がアップになる。

吉川(よしかわ)さん(声のみ): ここのところでの、その、輸出の取り組みなんかもね、 ま、彼らがやっていくなかででは、新しい売り先、市場っていうのの、開拓(開拓先)の1つとして、やはり海外。 その1つの戦略品としての、ま、木桶の、仕込んだ、お醤油(しょうゆ)。

映像説明: ヤマロク醤油(やまろくしょうゆ)の蔵(くら)の中。茶色く醤油(しょうゆ)が染みた大きな木桶が並んでいる。 食品の見本市の会場。白い文字で蔵元の名前やQRコードなどが書かれた黒い大きな壁の前に、ラベルや大きさの異なる、さまざまな醤油(しょうゆ)が並んでいる。 白い法被を着た男性が、ポーランドのシェフに名刺を渡している。 ヤマロク醤油(しょうゆ)の蔵(くら)で、頭に手ぬぐいを巻いた男性が、木桶いっぱいに入った醤油(しょうゆ)のもろみを、櫂棒でかき混ぜている。

ナレーション: 伝統と本物の味を守りながら、そこに付加価値をのせることで、小さな醸造所が生き残りをかける。今日も、醤油(しょうゆ)は木桶の中で、静かに熟成されていく。

映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。

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