国際知的財産保護フォーラム(IIPPF) 令和7年度(2025年度)国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)総会の開催(2026年3月5日)

国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)は2026年3月5日(木曜)に、2025年度の年次総会を開催した。総会にはオンライン参加を含め160名が参加した。また、来賓として、以下の3名の方にご参加いただいた。

  • 内閣府 知的財産戦略推進事務局 次長 守山 宏道 氏
  • 特許庁長官 河西 康之 氏
  • 特許庁 総務部長 吉澤 隆 氏
2025年度の年次総会の様子

2025年度の年次総会の様子

議事次第

  1. 開会
  2. 来賓紹介(司会)
  3. 来賓挨拶

    内閣府 知的財産戦略推進事務局次長 守山 宏道 氏

    特許庁長官 河西 康之 氏

  4. 座長挨拶

    座長 小林 利彦 氏(セイコーエプソン株式会社執行役員 知的財産本部長)

  5. 覚書(MOU)署名式、写真撮影他
    • MOU紹介 座長 小林 利彦 氏
    • TikTok Shop プレゼンテーション
    • Lazadaプレゼンテーション
    • Shopee紹介
    • 署名式、写真撮影
    • ベトナム国内市場管理・開発庁(DMS)長官挨拶並びにDMS紹介

      ベトナム国内市場管理・開発庁長官 Tran Huu Linh 氏

    • ベトナムDMS長官との懇談、名刺交換等
  6. 審議1「2025年度活動報告、2026年度活動方針について」
    • 企画委員会

      企画委員長 吉井 亮 氏(セイコーエプソン株式会社)

    • 中国プロジェクト

      幹事:村山 洋平 氏(横浜ゴム株式会社)

    • アジア大洋州プロジェクト

      幹事: 清水 寛子 氏(セイコーエプソン株式会社)

    • 中東・アフリカプロジェクト

      幹事: 村上 厚史 氏(日産自動車株式会社)

    • インターネットプロジェクトおよびAmazonワーキンググループ

      幹事:豊田 仁 氏(キヤノン株式会社)

    • SNS 詐欺広告ワーキンググループ

      幹事:伍々 達彦 氏(株式会社ワコールホールディングス)

    • 啓発プロジェクト

      幹事:青木 久枝 氏(パナソニックホールディングス株式会社)

  7. 表彰式
  8. 審議2「新座長選出、ご挨拶」
  9. 審議3「2026年度企画委員の選出」
  10. 閉会挨拶

    ジェトロ理事 鈴木 崇文

座長挨拶

座長 小林 利彦 氏(セイコーエプソン株式会社 執行役員知的財産本部長)

  • IIPPF座長会社として、2年間の任期を無事に務め上げられることができ、深くお礼申し上げる。
  • この2年間、IIPPFの運営に積極的に参加してきた。1年目はプロジェクト幹事、副幹事が定期的に交代し、人材の新陳代謝が図られ、IIPPFを持続的に発展させる仕組みが必要と考え、運営要領の改訂を行った。改定の重要なポイントは、プロジェクト幹事の任期を2年と明確に定めたことが挙げられる。2年目には、企画委員会にプロジェクト副幹事にも参加いただき、現在及び将来のIIPPFの課題と対策を議論してもらった。副幹事に将来の幹事候補として自覚を深めてもらう狙いもあった。ただし、改定した運営要領が浸透しているかと言うとまだ道半ばであると感じている。
  • 注力してきたもう一つのテーマが各国政府機関及び関連団体との連携強化がある。実務レイヤーに加え、ハイレベルレイヤーでも連携を強化し、両輪でIIPPFをドライブさせることを重視してきた。ベトナム市場管理・開発庁(DMS)とベトナム主要オンラインECプラットフォーム4社、IIPPFの三者間でオンライン模倣品対策に関する協力関係構築のMOU締結に取組み、本日署名式を行うことになった。
  • 本日出席の政府機関関係者、産業界の皆様におかれては、IIPPFの発展のため、今後ともご支援、ご協力をお願いしたい。
小林座長の開会挨拶

小林座長の開会挨拶

審議1

1:企画委員会
企画委員長:吉井 亮 氏(セイコーエプソン株式会社)

  • 2025年度は、企画委員会は3回行ったが、大きなポイントは特別企画委員会を行ったこと。副幹事にも参加いただき、IIPPF運営に関する課題を抽出する議論や模倣品対策塾の在り方、総会の成立要件や議決権の明確化、その他ルールの改訂などの議論を行った。新規メンバー承認、表彰ガイドラインといったガイドラインの策定や模倣品対策塾の報告なども行ってきた。
  • 2026年度の活動方針として、1,IIPPF参加メンバー間の連携や外部機関との連携強化、2,IIPPFの活動の魅力を発信して、IIPPFの裾野含め、プロジェクト参加メンバーの拡大施策の継続実施、3,初心者も入りやすいように模倣品対策塾を継続して行っていく。

2:中国プロジェクトチーム
幹事:村山 洋平 氏(横浜ゴム株式会社)

  • 2025年度の主な活動方針として、大きく2つあり、企業間の情報交換促進と最新情報の収集、具体的対策機会の提供を行ってきた。実施内容としては、定例会合、調査事業、対外交流、現地事業の4つある。定例会合は、5回開催し、前半30分でジェトロ知財担当からの講演、後半90分は5つの分科会活動で議論している。対外交流は、4月2日のテンセントの来日にあわせてセミナーと意見交換をインターネットPJと合同で行った。現地事業は、4月24日に東莞市の市場管理監督局向けの真贋判定セミナーを実施した。調査事業は、中国のECプラットフォームの削除申請マニュアルを作成している。
  • 2026年度活動は定例会を年5回、5月に始まって2月の後半で終了する予定。対外交流、現地事業については、日中の情勢を見ながら調整をかけている状況で、決まり次第、アナウンスする。分科会は、引き続き、摘発、BtoB、EC、民訴を行っていく。新設として、商標権の権利行使に関する分科会を立ち上げる。調査事業は、中国における外観模倣品に対する法的な論点と実務調査、判例、摘発実績、ECサイトの削除実績などをまとめたいと考えている。
  • 次に来年度より東アジア検討WGを設置したい。内容として、韓国と台湾の模倣品対策の検討会を始めたい。2027年度からIIPPF事業として実施するために2026年度はその準備と内容整理を行いたいと考えている。中国PJ の定例会合前に45分間行う。メンバーは、3月中にIIPPF全体向けに参加希望のアンケートを取るので、是非ご参加してもらえればと思う。2027年の10月から事業を開始することを考えており、2026年度中に中国PJを東アジアPJなどに改称する可能性についても検討していきたい。

3:アジア大洋州プロジェクトチーム
幹事:清水 寛子 氏(セイコーエプソン株式会社)

  • アジア大洋州PJは、アンケートをとって、どの国で何をやるのか決めている。2025年度は、タイ、ベトナム、インドネシア、インドが上位4か国だったが、インドネシア、インド、ベトナムをカバーすることになった。
  • 定例会合は年5回あり、事前の情報共有や報告会を行ってきた。インド現地事業では、当局に対して、真贋判定や意見交換を行った。インドネシアではジャカルタに行って、様々な当局を呼んで、意見交換を行った。ベトナムでは、MOUに基づいてレビュー会合を行ってきた。また、真贋判定セミナーもベトナム国内市場・開発庁(DMS)に対して行った。
  • 2026年度は、定例会合の他に今年度カバーできなかったタイの当局と意見交換を行うことになり、招聘事業を計画している。ベトナムのDMSとの協力も引き続き行っていく。
  • 調査事業として、アジア大洋州地域の税関の調査も進めていく。

4:中東・アフリカプロジェクトチーム
幹事:村上 厚史 氏(日産自動車株式会社)

  • 中東・アフリカPJの活動の目的は、現地政府取り締り当局との関係構築、情報共有がある。各社の活動の中で、成功事例があればそれを共有していくことを中心に行っている。定例会合は年5回実施し、ハイブリッドで開催しているが、ディスカッションなどを設けて、出来るだけ面前で参加していただく取り組みを行っている。
  • 6月にはケニアのオンラインでのセミナーを実施した。また、オンラインでの真贋判定セミナーでは、ヨルダン、サウジアラビア、エジプトといった国々の取り締まり当局を対象に実施した。トルコとアフリカの知財セミナーでは各国の法律事務所から講演いただいた。
  • 訪問事業は、UAEとトルコを現地訪問して、UAEの取締り当局及びトルコの取締り当局との意見交換を行った。
  • 調査事業は、アフリカにおける模倣品対策に係る税関制度の調査を行った。例えば、あまり馴染みのないアフリカの国から税関差止があったと連絡があった時に担保金は不要と言ったことがわかる。担当が、水際、税関差止めの情報をいち早く理解し、社内判断を迅速に行うことに役立ててもらう情報を整備している。
  • 2026年度は、中東・アフリカ地域でどう効果的、効率的に模倣品対策を行うか、知見を共有し、個社では出来ない現地当局との意見交換等の事業を通じて、当局との関係を構築、維持することで模倣品対策の強化を図ることにする。
  • 具体的には、定例会合5回、真贋判定セミナーの実施、中東諸国における模倣品対策にかかる制度・手続き調査、トルコ政府執行機関職員等の招聘、アフリカ諸国を対象とした専門家によるセミナーを実施する予定となっている。

5:インターネットプロジェクトチーム及びAmazonワーキンググループ
幹事:豊田 仁 氏(キヤノン株式会社)

  • インターネットPJでは、インターネットで広がる模倣品問題に対して対策を皆で検討するということで、グローバルなECサイトや日本のECといった地域PJで取り扱っていない部分をやっている。
  • 定例会合は年4回、対面で行っている。基本的には情報共有や各社の活動紹介以外に毎回一つ目玉事業を行っている。
  • Amazonワーキンググループを毎年行っており、今年度はAmazonの全世界のブランド保護担当者を呼んで、大規模な意見交換を行った。2部制で行っており、一部はオープンだが、2部の意見交換には、NDAを結ぶことが条件となっている。
  • 調査事業は、EC関連法制度調査を実施した。ここ数年で、日・米・EU・中国、それぞれでEC関連の法律がだいぶ変わる動きが出てきたため、キャッチアップするために行った。
  • 国内の税関訪問事業では名古屋税関を訪問した。日本での対策ではあるが、ECでものが入ってくるのは圧倒的に越境なので、各地の税関で意見交換を行っている。
  • 海外EC事業者や国際機関との意見交換も行っており、Alibaba InternationalやTikTok Shop、eBayの本社との意見交換会を実施した。国際機関としては、OECDとの意見交換なども行った。
  • 2026年度は、定例会合を年4回、対面で開催を予定している。Amazonワーキンググループも継続する。海外EC事業者との意見交換を3回、4回を想定しており、Alibaba InternationalやTikTok Shop、eBayとは別にShopeeにもアプローチしたいと考えている。アジア大洋州PJとも調整の上、進められればと思っている。
  • 国内税関訪問も新規参加者、特に税関対応に慣れていない会員企業を募って希望の多いところと意見交換を行いたいと考えている。

6:SNS 詐欺広告ワーキンググループ
幹事 伍々 達彦(株式会社ワコールホールディングス)

  • 2025年度の活動の柱が4つあり、一つ目の柱としては、対策事例の共有、他団体との連携、制度の理解を中心に行ってきた。二つ目の柱としては、プラットフォーム事業者との対話ということで、Meta、Google、TikTokとのネットワークを構築した。三つ目の柱としては、国内政府へのアプローチの活動を行ってきた。総務省の有識者会議も立ち上がっており、そことも連携してSNS詐欺広告に関する議題を打ち込んだ。また、パブコメに対して意見も提出した。四つ目の柱として、海外政府のアプローチがあり、日中知財WGは中止となったが、来年度開催されれば打ち込んでいきたいと考えている。
  • 2026年度計画としては、引き続き4つの柱があり、定例会合を開催し、事例紹介を行っていく。2つ目の柱として、プラットフォーマーへのアプローチも行っていきたい。3つ目として、消費者啓発活動を考えている。啓発PJからも紹介があると思うが、啓発動画、詐欺広告に関する啓発動画を作成しており、それを活用して、消費者啓発を行っていきたい。4つ目の柱として、国内外政府へのアプローチも引き続き行っていきたいと考えている。
  • 調査事業は、新規で各プラットフォームのポリシーの内容や運用、日本の法律との関係性について調査していきたい。

7:啓発プロジェクトグループ
幹事:青木 久枝 氏(パナソニックホールディングス株式会社)

  • 活動方針としては、啓発手法の研究と共同啓発を行うという2点ある。2025年度の実施内容は、過去から行ってきている模倣品・海賊版の対策リンク集やアクションロゴの活用があるほかに、定例会合は、ハイブリッドで、年3回開催し、各事業の進捗確認、情報共有、意見交換を実施した。
  • また、既存啓発動画の活用があり、2022年に制作し、各イベントの中でも紹介して、日本国内やUAE、ベトナムでも継続的に紹介し、好評を博している。
  • 啓発プロジェクトでは、共同啓発が目玉事業となっており、アンケートでは、日本で模倣品が増加しているという声が多く、大学生向けに啓発セミナーを企画実施している。今年度は山口大学で実施した。
  • 次にSNS詐欺広告に関する啓発動画のコンクールを行った。11作品がエントリーして表彰式を2月に行った。この最優秀作品を次年度に公開予定で、2022年にIIPPFが制作した啓発動画とは全く視点が異なるので、期待してほしい。
  • 今年度初めてSROIセミナーを実施した。模倣品対策は、ブランドオーナーの企業利益だけでなく、社会の安全など社会的にも価値がある。ただ、それを数値化するのが難しく、数値化できないかということで勉強会を実施した。
  • 2026年度計画は、定例会合は年3回実施する予定で、他社の事例を共有して議論を行う。啓発セミナーでは、大学生向けに実施していく予定である。また、SNS詐欺広告動画を活用する活動や海外知財関連団体との意見交換を考えている。
  • 他に海外知財関連団体とは、海外の先進的な知見を学ぶことを考えている。経営にとっても模倣対策が重要であることを可視化したいと考えている。各社のKPIなどをPJ内でディスカッション、外部講師を招いて、勉強していく。
  • 調査事業としては、生成AIが作りだす模倣品の事例、対策などの調査を行いたい。
  • 最後にSNS詐欺に関して、インターネットプロジェクトと連携して、日本国内の関係団体がどのような対策、啓発を行っているか学び、IIPPFの活動を深めていこうと考えている。

表彰式

2025年度まで複数年にわたって幹事を務めていただき、IIPPFの発展向上に貢献いただいた中東・アフリカプロジェクト幹事の日産自動車株式会社の村上厚史氏と啓発プロジェクト幹事のパナソニックホールディングス株式会社の青木久枝氏に小林座長より表彰状を授与した。

新座長選出

新座長については、事務局より提案し、異議なく承認された。また、副座長については、昨年10月17日の第3回企画委員会で審議され、日本貿易振興機構(ジェトロ)理事の鈴木 崇文の就任が承認された旨、事務局より報告がなされた。

新座長就任挨拶
新座長 若代 真吾 氏(パナソニックオペレーショナルエクセレンス(株)執行役員 知的財産担当 兼 パナソニックIPマネジメント(株)代表取締役社長)

  • 模倣品対策は、日本企業の競争力の源泉である高い技術力、ブランド力を守る重要な活動。公正で安全な商品やサービスの提供、SDGsの取組みと言う点でも非常に重要。一方で、ECの拡大や流通の多様化など取り巻く環境、社会環境の変化のスピードが速く、これに対応するには、これまでの対策では十分な対応が難しくなっている。
  • 模倣品対策は1社単独では限界があり、特に国境を越えた課題は、官民が連携して国際的な取り組みをしていくことが極めて重要。IIPPFは、政府機関、関係団体、企業が密に情報を共有し、課題を議論し、具体的な活動につなげ実行するという重要な枠組みである。現場の課題や最新の手口に関する情報共有、執行機関との連携強化、デジタルプラットフォームを含めた関係者との連携、協力は益々重要になる。
  • 新座長として、新たな情勢・状況に素早く対応しながら、この活動を発展させ、日本の産業力の強化、強いては企業の価値向上に大きく寄与していきたい。
若代新座長の挨拶

若代新座長の挨拶

2026年度企画委員について

事務局より、2026年度IIPPF企画委員名簿を報告し、承認された。

閉会挨拶

ジェトロ理事 鈴木 崇文

  • IIPPFは、2002年の設立以来、20年以上に渡って国際的な知的財産保護の促進に関する活動を行ってきた。その間、取り巻く社会経済環境は劇的な変化を遂げた。DXの進展やSNSの普及、生成AIの急速な高度化など知的財産の取り巻く環境は複雑化、高度化している。
  • 本日の総会では、多岐に渡る活動報告を聞いた。新たな課題に果敢に挑戦される皆様に深く敬意を表する。知恵と工夫を凝らし、活動に取り組んでくださった関係者の熱意に心から感謝申し上げる。本日表彰された村上幹事、青木幹事には長年のご貢献に深甚なる敬意と謝意を表する。
  • また、本日退任される小林座長には就任以来、IIPPFの運営と改革に多大なるリーダーシップを発揮いただいた。さきほどベトナム国内市場管理・開発庁(DMS)のリン長官をお迎えしての署名式が行われたが、ECプラットフォーマーとのMOU締結はまさに小林座長のご尽力によって実現した象徴的な成果である。加えて、運営要領の改訂、模倣品対策塾、拡大企画委員会の開催など次世代を見据えた組織基盤の強化を先導いただいた。
  • 最後に事務局のジェトロとしては、本日就任された若代新座長のご指導の下、官民の緊密な連携を図り、海外の模倣品対策の強化に全力を尽くす。加盟企業の皆様の今後とも変わらぬご支援とご協力をお願いする。

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