ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編) ―黒字企業比率は2年連続過去最高、現地需要増で事業拡大意欲は高水準―

2025年12月18日

ジェトロは2025年9月、アフリカ19カ国(回答は18カ国)に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

本調査について

実施方法 アンケート調査(オンライン配布・回収)
実施時期 2025年(令和7年)9月1日~9月22日
アンケート送付先 アフリカ19カ国に拠点を有する日系企業274社。
有効回答数 216社より有効回答(有効回答率78.8%)。
(内訳:モロッコ16社、エジプト30社、アルジェリア5社、チュニジア2社、ナイジェリア21社、ガーナ11社、コートジボワール11社、セネガル7社、ケニア32社、タンザニア3社、エチオピア4社、ウガンダ3社、南アフリカ共和国54社、モザンビーク9社、マダガスカル4社、アンゴラ2社、モーリシャス1社、エスワティニ1社)

調査項目:

  1. 営業利益見通し
  2. 今後の事業展開
  3. 投資環境
  4. 雇用環境
  5. 世界・地域情勢、米国追加関税措置の影響
  6. 有望ビジネス分野・注目国
  7. ビジネスと人権

本調査結果の主要ポイント

黒字企業比率は2年連続過去最高、現地需要増で事業拡大意欲は高水準

1.営業利益見通し
2025年は過去最高の61.6%の企業が「黒字」見込み。国別では南アフリカ共和国、エジプトが高水準を維持、コートジボワールも大幅増。現地需要増の一方、他社との競争も激化。2026年の見通しでは、ケニア、モロッコ、ガーナ、コートジボワールで「改善」が5割以上。
2.今後の事業展開
今後1~2年の事業展開を「拡大」と回答した企業は54.0%で、全世界で南西アジアに次いで高い。特に製造業が7割超。理由は「現地市場ニーズの拡大」が81.6%で最多。拡大する機能は「販売」が約7割のトップで、「新規事業開発」も前年比9.7ポイント増の約4割。
3.投資環境
引き続き「市場の将来性」が投資先として最大の魅力の一方、「規制・法令の整備、運用」「財政・金融・為替面」「不安定な政治・社会情勢」などが課題。利用検討中のFTA等では、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が前年比で増加し最多。
4.雇用環境
現地従業員数について、約3割の企業が過去1年間で増加と回答。約4割が今後増加予定。人材確保状況は「悪化」が約1割、「変化なし」が約6割。他地域と比べ専門職や管理職で「悪化」の回答が多く、理由は「賃金・待遇面などの要求水準の高まり」が最多。
5.世界・地域情勢、米国追加関税措置の影響
80.5%の企業が、政治・外交的な動きが企業活動に影響を与えていると回答。米国追加関税措置などについて、「影響はない」が49.8%と最多で、「現時点では分からない」が41.4%。具体的な対応策は49.3%が「特になし」と回答。
6.有望ビジネス分野・注目国
有望ビジネス分野では「資源・エネルギー」分野が最多。なかでも「天然ガス」が前年比9.5ポイント増で「再エネ(太陽光)」と同率トップ。「消費市場」「インフラ」分野も有望視。注目国は前年同様ケニアが1位。ナイジェリア、南ア、コートジボワールが続いた。
7.ビジネスと人権
人権デューディリジェンスを実施している企業は、アフリカ全体で42.3%で、世界全体の割合を超える。大企業の51.0%、中堅企業の23.5%、中小企業の13.9%が実施と回答。製造業で実施している企業の割合は50.0%。

ジェトロ調査部中東アフリカ課(担当:内田、井澤)
Tel:03-3582-5180