ジェトロ 2024年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

―高まる地政学リスク、サプライチェーン再編へ―

2025年02月04日

本調査について

  • ジェトロは2024年11月上旬~12月上旬、海外ビジネスに関心の高い日本企業(本社)9,441社を対象に、オンライン・郵送形式によるアンケートを実施。3,162社より有効回答を得ました(有効回答率33.5%)。
  • 米国の新政権への移行、長引く紛争、国際物流の混乱や高まる分断リスクなど、国際ビジネスをめぐる環境は不確実性が増しています。先行き不透明な状況下で、日本企業の海外ビジネス戦略はどのように変化しているのか。調査結果に基づく最新動向を紹介します。

調査結果のポイント

  1. 市場、投資先として存在感を増す米国
    • 今後3年で最も重視する輸出先に「米国」を選択する企業が急増。「中国」は3年連続減少。
    • 海外で事業拡大を図る国・地域として、「米国」を選択する企業が約4割で最大。特に米国での新規拠点設立に意欲を示す企業が300社を超え、前年から100社以上増加。
    • 大企業の間では、事業拡大先として「インド」を選択する企業が3分の1を超え、最大。
  2. 地政学リスクへの対応意識、分散・多元化を推進
    • 部材の海外調達で最大の調達先を「中国」とする企業は約5割。調達先として重要性は不変。
    • 地政学リスクの高まりは、2割超の企業の調達活動に影響。5割が今後の影響を懸念。その対応策では、6割超の企業が「調達先の分散・多元化」を推進。
    • 中国ビジネス縮小の理由では「地政学リスクの高まり」が最多。中国発の輸出に見直しの動きも。
    • 円安の業績への影響はマイナスが4割、プラスが2割。望ましい為替レートは、1ドル120₋124円が最多。
  3. 高度外国人材採用、人権DD実施などの取り組み加速
    • 約半数の企業が外国人材を雇用。そのうち54%の企業で高度外国人材が活躍。高度外国人材がもたらす成果として約7割の企業が「海外展開への貢献」を実感。
    • 人権尊重の方針を策定している企業は約4割で前年から約10ポイント増加。大企業では約8割が方針策定済み。人権デューディリジェンスの実施割合も6.5ポイント増と取り組みが進展。

ジェトロ調査部(担当:伊藤、森)
Tel:03-3582-5177