ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(中東編) ―黒字企業割合は過去最高更新、エネルギー・インフラ・消費市場を有望視―

2025年12月11日

ジェトロは2025年9月、中東8カ国に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

本調査について

実施方法 アンケート調査(オンライン配布・回収)
実施時期 2025年(令和7年)9月1日~9月22日
アンケート送付先 中東8カ国に拠点を有する日系企業206社。
有効回答数 177社より有効回答(有効回答率85.9%)。
(内訳:アラブ首長国連邦(UAE)76社、トルコ27社、イスラエル27社、サウジアラビア26社、ヨルダン9社、カタール6社、クウェート3社、バーレーン3社)

調査項目:

  1. 営業利益見通し
  2. 今後の事業展開
  3. 投資環境
  4. 雇用環境
  5. 有望ビジネス分野・注目国
  6. 世界・地域情勢、米国追加関税措置の影響
  7. ビジネスと人権

本調査結果の主要ポイント

黒字割合は過去最高更新、エネルギー・インフラ・消費市場を有望視

1.営業利益見通し
2025年に黒字を見込む企業の割合は、73.8%で3年連続過去最高を記録。アラブ首長国連邦(UAE)、トルコで80%以上の企業が黒字見込み。赤字見込みの企業は前年比で減少し10.7%。2026年は営業利益「改善」見通しの企業が約4割。
2.今後の事業展開
今後1~2年の事業展開は「拡大」が前年並みの49.1%で世界全体を上回る。拡大の理由は「現地市場ニーズの拡大」が最多で、「輸出の増加」が続いた。UAEは売上高に占める輸出割合が80~100%と回答した企業が前年比13.2ポイント増加して42.6%に。
3.投資環境
中東に拠点を構えている理由は「市場の将来性」が前年同様最多で約7割。投資環境の魅力では「市場規模、成長性」が、課題では「人件費の高騰」がそれぞれ前年同様最多。
4.雇用環境
人材確保の状況は「悪化」18.5%、「横ばい」5割超。悪化理由は「賃金・待遇面などの要求水準の高まり」が最多。他地域と比べ専門職や管理職の確保が悪化との回答が多い。
5.世界・地域情勢、米国追加関税措置の影響
89.0%の企業が政治・外交的な動きが活動に影響を与えていると回答。イスラエル・ハマスの衝突が68.3%で最多。米国追加関税措置などの影響は、中東全体で「影響はない」が53.1%と最多。具体的な対応策も47.6%が「特になし」と回答。
6.有望ビジネス分野・注目国
資源・エネルギーでは「天然ガス」、インフラでは「都市開発」「電力」、消費市場では「食品」を有望視。前年同様AIも注目集まる。注目国はサウジアラビアが首位。
7.ビジネスと人権
人権デューディリジェンスを実施している企業は、中東全体で40.2%で、世界全体の割合を超える。大企業の43.8%、中堅企業の35.3%、中小企業の25.0%が実施と回答。

ジェトロ調査部中東アフリカ課(担当:内田、井澤)
Tel:03-3582-5180