ジェトロ 2023年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)

2023年12月21日

ジェトロは2023年9月、中東10カ国に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

調査結果のポイント

営業利益の黒字割合は過去最高、脱炭素ビジネスを有望視
―人件費の高騰が投資環境の課題で最多、中東特有の地政学の影響も―

1.営業利益見通し
  • 2023年は68.8%の企業が「黒字」と回答、調査開始以降で最も高い。アラブ首長国連邦(UAE)、トルコでは75%以上が「黒字」。2024年の見通しは「横ばい」が増加。現地の需要増加や販売体制の強化などが背景。
2.今後の事業展開
  • 今後1~2年の事業展開は、「現状維持」が最多の回答。「拡大」は前年から減少。約半数の企業が、今後5年後以降は自社グループ内で中東のシェアが高まると回答。
3.雇用環境
  • 人材不足の課題が「ある」との回答は4割弱で主要地域では最も少ない。基本給の今期ベースアップ率は中東平均で約18%、インフレ率の高いトルコでは70%超。
4.投資環境
  • 市場の将来性、市場規模の理由から、半数以上の企業が今後5年間で海外戦略における中東の「重要性が増す」と回答。投資環境の課題面では「人件費の高騰」が前年から増加。
5.有望ビジネス分野
  • 半数以上が有望分野として「資源・エネルギー」と回答。「資源・エネルギー」では水素、燃料アンモニア等を有望視。電力、食品、NEOM等のギガプロジェクト、普及が進むEVにも注目が集まる。
6.世界・地域情勢の影響
  • 世界・地域情勢がビジネスに「大いに影響がある」「やや影響がある」と回答した企業は86.7%。「ロシアのウクライナ侵攻」の影響は4割弱が「資源・燃料コストの上昇」、「中東と中国の関係強化」の影響では半数超が「売上減少」と回答。

本調査について

実施方法 アンケート調査(オンライン配布・回収)
実施時期 2023年(令和5年)9月4日~9月27日
アンケート送付先 中東10カ国に拠点を有する日系企業260社。
有効回答数 228社より有効回答(有効回答率87.7%)。
(内訳:UAE100社、トルコ37社、サウジアラビア33社、イスラエル19社、イラン11社、ヨルダン9社、カタール6社、クウェート5社、バーレーン5社、オマーン3社)
設問項目 1.営業利益見通し 2.今後の事業展開 3. 雇用環境 4.投資環境 5.有望ビジネス分野 6.世界・地域情勢の影響

ジェトロ調査部(担当:松村、井澤)
Tel:03-3582-5180