第44回「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」（2023年度） 表彰作品決定について

2023年06月14日

ジェトロ・アジア経済研究所（IDE-JETRO、所長：深尾京司）は、2021年10月～2022年9月の1年間に公刊された図書、論文など発展途上国の経済、社会などの諸問題を調査、分析した著作49点の中から次の二つを「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」表彰作品として決定しました。

「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」は、途上国に関する社会科学およびその周辺分野の調査研究水準の向上と研究奨励に資することを目的として、昭和55 (1980)年度に創設し、今回で第44回目の表彰です。49点は大学や出版社等から推薦されたもので、倉沢愛子 慶應義塾大学名誉教授を委員長とする選考委員会が選考し、ジェトロ・アジア経済研究所が決定しました。

なお、表彰式を7月5日（水曜）14時00分より開催し、受賞者による講演を行います。

東島雅昌 著 “The Dictator's Dilemma at the Ballot Box: Electoral Manipulation, Economic Maneuvering, and Political Order in Autocracies” (University of Michigan Press)
（日本語版は『民主主義を装う権威主義: 世界化する選挙独裁とその論理』（千倉書房））

独裁者は、我々の固定観念とは裏腹に、露骨な選挙不正を行わないことが多い。なぜ独裁国家で選挙制度改革が行われるのか？選挙は独裁政治を不安定にするのか？本書では民衆の支持を集める独裁者が、強制的な選挙（coercive electioneering strategies）に依存することが少なくなると論じている。独裁者が選挙を適切に制度設計できない場合、選挙はクーデター、抗議行動、野党の圧勝という形で裏目に出る。本書はこれらの理論的含意を、新たに収集した独裁的選挙のデータを用いたクロスナショナル分析、およびカザフスタンとキルギスの詳細なケーススタディにより検証する。

小林和夫 著 『奴隷貿易をこえて－西アフリカ・インド綿布・世界経済』（名古屋大学出版会）

豊かな消費市場として発展を始めたアフリカが、18・19世紀の世界経済の興隆に果たした役割とは。奴隷貿易史観をこえ、現地の動向からインド綿布への旺盛な需要がもたらしたインパクトを実証、グローバル化の複数の起源を解き明かし、西アフリカの人々の主体的活動に新たな光をなげかける。

単行書　49点（重複分等除く）　

（以上50音順）

2023年7月5日（水曜）14時00分～15時30分
場所：アジア経済研究所（千葉市）