お知らせ・記者発表

免税制度変更を機に、店舗からの海外直接輸出を実証

2026年10月28日

ジェトロ、店舗自身が海外へ送る輸出DXモデルを最大50社に試験導入

ジェトロ(理事長:石黒憲彦)は、2026年11月1日の外国人旅行者向け消費税免税制度変更を機に、訪日客が国内店舗で購入した商品を、店舗が輸出者となって訪日客の指定住所へ直接配送する輸出モデルの実証を本格開始します。輸出DXサービス『ハコボウヤ』を最大50社に試験導入します。2026年10月26日時点で約10店舗から利用申込みがあり、福岡県、佐賀県、長野県、京都府、神奈川県など、東京以外の地域にも広がっています。

消費税法第8条に基づく一般型輸出物品販売場、いわゆる免税店として登録のない店舗でも、一般輸出として、所定の要件を満たす場合に消費税法第7条の「輸出免税」を適用し、訪日客に消費税を含まない価格で販売するモデルを検証します。訪日客との店頭接点を起点とする輸出DX導入支援は、ジェトロとして初めてです。実証は2027年3月31日までです。

消費税免税制度は11月に「リファンド方式」に移行します。同方式では、一般型輸出物品販売場(免税店舗)が商品を税込み価格で販売し、訪日者の出国時に税関で国外への持ち出しが確認された後、消費税相当額を返金します。免税店舗には、レジ・免税システムの改修、対象取引の照合、返金、記録管理などの新たな実務負担が生じます。本事業では、その解決策の一つとして『ハコボウヤ』を利用した「輸出免税」の活用可能性を検証します。店舗自身による輸出として販売時点から取引を区分するため、リファンド方式で必要となる出国後の税関確認情報との照合、消費税相当額の返金、課税売上げから免税売上げへの振替処理が不要になります。訪日客にとっては、リファンド方式への移行後も、事後返金ではなく、引き続き店頭で消費税を含まない価格で商品を購入できます。また、出国時の税関による商品の持ち出し確認や、その後に返金を受けるための対応が不要となります。

また、店舗にとっては、店頭販売特有の制約による販売機会の損失を減らすことにもつながります。実際に、本事業への利用申込み各社からは、商品の完成が訪日客の日本滞在中に間に合わないことや、商品の重量・容積、持ち運び中の破損への不安などから、購入意欲があっても販売に至らなかった事例が寄せられています。また、海外配送や輸出手続きの経験がなく、訪日客から海外配送を求められても対応できなかった店舗もあります。
こうした課題を踏まえ、持ち帰りやすい商品は免税店舗でのリファンド方式、大型・重量・壊れやすい商品や、日本滞在中に完成しない受注生産品などは購入店舗からの輸出、という免税購入方法の選択肢を訪日客へ提供することで、日本国内での買い物需要の拡大を狙います。

実証事業の概要

事業名
輸出DX導入支援事業
実施主体
ジェトロ デジタルマーケティング部ECビジネス課
実施期間
2026年8月以降順次~2027年3月31日
募集期間
2026年8月以降~2027年2月28日
対象
国内で小売店舗を運営し、インバウンド向け販売・海外販売を検討する日本企業または個人事業主
対象品目
非食品、常温の食品・飲料。配送先国・地域や物流事業者の条件により輸出できない商品があります。
定員
50社(1社につき10店舗、3万SKU、1ブランドまで)
費用
実証期間中のサービス利用料8万円(税別)はジェトロ負担。伝票発行手数料350円/回、国際送料、関税等は参加事業者または購入者負担。
利用 サービス
輸出DXサービス「ハコボウヤ」(提供:株式会社高速オフセット)
※店舗が輸出者として商品を海外へ直接送る取引は一般の輸出取引に当たり、所定の輸出証明書類を保存するなどの要件を満たす場合、消費税法第7条第1項第1号に基づく輸出免税が適用されます。

  

実証で確認する主な項目

  • 輸出免税によって成立した販売件数・販売金額、商品分野、配送先国・地域
  • 輸出免税に適する商品・店舗の条件と、導入・運用上の課題
  • 初めて輸出に取り組んだ企業の状況と、実証終了後の継続意向
  • 商品・販売方法の改善、越境ECやBtoB輸出への発展可能性

参考情報

参考図|免税制度変更との海外直送の位置付け

図は、2026年11月1日の外国人旅行者向け消費税免税制度の変更について、上段で免税店の販売方法を、下段で店舗から海外購入者へ商品を直接送る「海外直送」の扱いを、変更前後で比較している。 上段左の青い欄は、2026年10月31日までの現行方式。訪日客は免税店でパスポートを提示し、消費税を課税されずに商品を購入する。店舗は一般物品と消耗品を区別し、消耗品には特殊包装が必要となる。訪日客は出国時に税関で現物確認とパスポート情報の照合を受け、商品を海外へ持ち帰る。販売時点で免税販売した商品情報が確定するため、店舗の帳簿処理は比較的容易であることが示されている。 上段右の赤い欄は、2026年11月1日からのリファンド方式。訪日客は店舗でパスポート情報を登録し、消費税を含む税込価格で商品を購入する。税込価格が100万円以上の場合、店舗は商品情報を申告する。訪日客の出国後、税関手続きで国外への持ち出しが確認され、その確認情報に基づいて、後日、消費税相当額が返金される。店舗には、返金、課税売上げから免税売上げへの振替、未確定取引の管理など、販売後の新たな事務負担が生じることが示されている。 下段左の緑の欄は、2026年10月31日までの海外直送。消費税法第8条に基づく免税購入品の輸出として、免税店が指定運送事業者に代理輸出を委託し、免税で購入した商品を訪日客に代わって海外へ発送できる。ただし、輸出者名義は訪日客本人となる。図中では、店舗、梱包された商品、国際運送便のトラック、海外の購入者の順に矢印で結ばれている。 下段右の赤い欄は、2026年11月1日以降の海外直送。リファンド方式では、消費税が課税された商品を免税で輸出することはできないため、従来の免税購入品の海外直送は対象外となる。店舗から海外へ送る場合は、リファンド方式とは別の一般輸出取引として対応し、郵便局や国際配送業者に委託して小口海外発送を行う。輸出者名義は訪日客本人ではなく、店舗となる。

ジェトロ デジタルマーケティング部 ECビジネス課 輸出DX導入支援事業担当(担当:志賀、荒井、鈴木、高村)
E-mail:DNE-project6@jetro.go.jp Tel:03-3582-5227