世界の見本市・展示会情報（J-messe）

見本市レポート Tech Crunch / DisruptSF 2016

スタートアップの登竜門

ジェトロ参加報告

米国・サンフランシスコ
2016年9月12日（月曜）〜14日（水曜）　

参加者で賑わう展示会場入り口

スタートアップの登竜門として全世界から注目されている「Tech Crunch / Disrupt2016」が2016年9月12日～15日、米国・サンフランシスコで開催された。来場するVC（ベンチャーキャピタル）、大企業などに向けて、スタートアップ企業がショートプレゼンテーションやブース出展を行なった。

世界中からスタートアップが集結

イノベーションの聖地といわれるシリコンバレー。世界中のハイテク企業が集まり、日々新しいイノベーションが生まれているこの地には、起業に必要な経営リソースが揃う、恵まれた支援環境「エコシステム」が存在する。日々スタートアップ向けの大小様々なイベントが開催されているサンフランシスコでも、スタートアップの登竜門といわれるのがTechCrunch／Disrupt（以下、DisruptSF）だ。来場客の多くは、投資先となるスタートアップを探す投資家、新しい技術を買収しオープンイノベーションを狙う大企業、そして新しく、面白いサービス・モノの情報をキャッチするマスメディアだ。

大勢の観客が注目するメインステージでのパネルディスカッション

本イベントは大きく2つに分かれている。一つはステージイベントで、毎年話題の著名人が登壇してパネルディスカッションが行われる。2016年の主なパネリストは、ポケモンGOをリリースしたNiantech社CEOのJohn Hanke氏、世界最大のビジネスSNSであるLinkedin社CEOのReid Hoffman氏など。もう一つはブース出展で、3日間で延べ456社が出展した。ジャパン・パビリオンには、IoT、ウェブサービス、FinTech（金融とITを掛け合わせた領域）などの分野の18社が出展した。投資家との出会い、販売先候補との出会い、アーリーアダプター（新製品・サービスに敏感であり、かつ他の消費者にも影響力を持つ顧客層）の獲得が主な出展目的だ。日本からスタートアップ企業が単独で出展することは多くはないが、単独で出展する場合は3日間の会期の内1日のみの出展となる。日本のほかに、韓国、台湾、アラブ首長国連邦など11カ国・地域がパビリオンを設けていた。

来場客の質にこだわり、webを通じて名を広める

DisruptSFの来場客は4,300人と一見、小規模なようにみえる。ところが、この4,300人は高額な入場料を支払ってでも有望なスタートアップを探したいと考える、本気度の高い、いわば”質の高い顧客候補”なのだ。ジャパン・パビリオン出展企業からは、「自社事業と関連する分野の関係者からポジティブな反応が得られて、ビジネスモデルの方向性がはっきりしてきた」、「ステージイベントでパネリストをしていた大手メーカーCEOがブースを訪れ、商談ができた」と、来場客の専門性の高さや質の良さを評価する声があった。
一方で、アピール対象は来場客だけではない。展示会事務局であるTechCrunchはスタートアップを取り上げるウェブメディアとして幅広い読者を抱えており、DisruptSFについてもウェブ上での情報発信が行われるからだ。9月10日?16日の7日間で、本イベントに関するウェブページは870万のページビューを獲得、動画再生は980万回となり、過去最高記録となった。また、来場するメディアは350社以上ある。出展したスタートアップにとって、本イベントはウェブページやメディアを通じて世界中にその名を広めるチャンスでもあるのだ。

スマートフォンを通してサービスの説明をする出展者

渡航前にしっかりとしたビジネスモデル構築を

顧客候補企業のCEOが突然ブースに来場したとき、「3分間、英語」という限定された条件下で自社のビジネスの良さをしっかりと伝えられるだろうか。DisruptSFのようなイベントでは、この「最初の3分」が「次の30分間商談」を勝ち取れるかどうかのキーになる。そのため、自社ビジネスが解決できる課題が何か、顧客やユーザーは誰で、競合他社と比較してどんな優位性があるのかを、限られた時間内にしっかりと伝えるための準備をしておく必要がある。DisruptSFでのブース出展を含む、「JETRO Innovation Program」では、こういった事前準備をしっかりとサポートしている。

イノベーション促進課 田中井 将人

見本市データ
見本市名 TechCrunch/DisruptSF2016
開催期間 2016年9月12日（月曜）〜14日（水曜）　
9時00分～18時00分（最終日は17時30分まで）
初回開催年／開催頻度 2011年／年1回
開催場所 Pier48
出展商品内容 VR、FinTech、セキュリティ、EC、IoT、ウェブサービス・アプリケーションなど
出展者数 456社
来場者数 4,300人、870万PV
入場料 2,995USD
主催者 AOL
事務局連絡先 TechCrunch
E-mail：tips@techcrunch.com