見本市レポート Pinkish

サウジアラビア初の女性向け自動車展示会

サウジアラビア・リヤド
2018年5月13日(日曜)~5月15日(水曜)

市内モールでの事前広報の様子/シュミレーターを体験する来場者

2018年6月24日から女性の運転が解禁されるのを前に、5月13日~15日に女性向けの自動車展示会「Pinkish」がリヤド国際展示場で開催された(主催者:リヤドの広告・メディア会社Creative Formula社)。新たな市場獲得につなげようと、各自動車メーカー代理店は女性の説明要員を配置するなど、来場していたサウジアラビア人女性客らに対し積極的にPRを行っていた。

リヤドで初の女性向け自動車展示会

サウジアラビアでは、女性にも運転を認める旨の勅令が2017年9月に出され、2018年3月に国内初の女性専用自動車教習所がリヤドのプリンセス・ヌーラ女子大学内に開所した。以降、国内主要都市に5カ所の女性専用教習所が設立されるなど免許発給に向けた制度作りが進んできている。
リヤドに比べて自由な雰囲気がただよう紅海沿岸のサウジアラビア第2の都市ジェッダでは2018年1月、一足先に期間限定で女性向けの自動車の展示イベントが市内モール内で開催されたが、女性向けの大掛かりな展示会が開催されるのはこれが初めて。主催者によると、今回の主な対象者層は20~40歳の運転に関心のある女性で、期間中に8万人の来場者を見込んでいるという。

ブースの様子

展示会では、三菱自動車に加え、米フォード、韓国・起亜、現代、中国・双竜、など各国自動車メーカーの販売代理店約15社がブースを構えていたほか、新規ローン需要を見込む銀行、保険会社の出展、運転シミュレーター、事故時の衝撃シミュレーター、また、屋外での実車による試乗車も見られ、女性らが積極的に体験する姿がうかがえた。新型デザインの大型SUVを展示している代理店もあったが、ある代理店担当者によると「女性向けにはセダンや小型SUVを想定している」とのことで、各販売代理店は女性来場者が気軽に説明を聞きやすいよう女性の説明要員を配置する工夫をしていたのが印象的であった。

ゆるやかな市場拡大ながら小型・女性向けカラーの展開を

展示会に来ていた女性らに話を聞くと、若い世代を中心に一様に「ぜひ運転したい」との前向きなコメントが聞かれたが、運転解禁に合わせ自分専用の車を既に購入した、あるいは購入する予定がある、という層は多くないとの実感であった。欧米系メーカーの販売マネージャーによると「運転解禁後、様子見の層が多いと見ており、6月以降の急激な売り上げに大きく期待しているわけではない。」と市場を中長期的に捉えているコメントが聞かれた。
国際自動車工業連合会(OICA)および日本自動車工業会(JAMA)によると、サウジアラビアの自動車販売市場における日本車のシェアは約4割強。2018年1月からサウジアラビアでVAT(5%)が導入されたことや、2016年1月以降段階的に光熱水費・ガソリン小売価格が段階的に引き上げられていることで国民の間で経済的負担感が増していることもあり、女性の運転解禁を契機に高額な乗用車の売上が急激に伸びるわけではないと考えられる。しかし、大家族が多いサウジアラビア社会においてはこれまで大きなSUVに一定程度の需要があったのに対し、前述の代理店担当者の話にもあったように、今後女性向けには運転しやすいセダンタイプの需要が高まると思われる。
また、現在、サウジアラビアでは男性トライバーを想定してか市内を走る乗用車の色はほとんど黒、白、シルバー(グレー)である。来場者に好みの色を聞いたところ、赤、紫、ピンクなどの回答が返ってくることが多く、今後は女性を想定したカラーの展開も販売戦略において重要性を増すと見られる。

リヤド事務所 柴田 美穂

見本市データ
見本市名 ピンキッシュー女性向け自動車展示会ー(Pinkish)
開催期間 2018年5月13日(日曜)~5月15日(水曜)
10時00分~22時00分
初回開催年/開催頻度 2018年
開催場所 リヤド国際展示場
出展商品内容 乗用車、金融機関、自動車保険
入場料 無料
主催者 Creative Formula(リヤドの広告・メディア会社)