チャイナ・プラスワンの戦略で骨太の海外事業に

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代表取締役社長 林 愛子 氏

マノ精工株式会社

コストや利益率を踏まえた事業計画策定や、契約条件の精査を着々と進められました。

東京都立川市 <海外進出> 対象国・地域:タイ

「ジェトロは中小企業とは無縁」と思い込んでいた

わが社では以前からタイの研修生を3年スパンで受け入れていて、現在も6名が国内の工場で働いています。また、アユタヤで工場を営む友人がいることもあり、その方の協力を得て、「研修を受けた卒業生たちとなら現地で一緒に仕事ができる」という思いがありました。

最終的に海外進出を決めたのは、内部改善を進めても売り上げが伴わないこと、さらに既存の中国工場は稼働しているものの、技術者が育たない、人の定着が悪い、新しい分野に進出したい等の理由で他国進出が急務になったことが理由です。そこで、本業のNC旋盤切削加工の工場を設けるなら、賃金が安くインフラも整っているタイが最適だと考えました。タイ進出を決めてすぐに友人の伝手で工場を購入し、経理などの主要スタッフを雇用しました。また、自社で模索しながらも、何とか現地法人の登記までは完了させました。

そのような中、今回の支援サービスを銀行の紹介を通じて知り、わが社はすぐに申し込みました。ジェトロの名前は聞き知っていたものの、このときはまだ、我々中小企業とは無縁の存在だと思い込んでいました。

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タイで稼働を予定している工場

自社でまかないきれない課題を先回りしてフォロー

2013年11月にはBOI(タイ投資委員会)の認可を受け、工場となる建物を用意したものの、具体的な事業計画について詳細を詰めていく必要がありました。コストや利益率をこまかにシミュレーションしたり、インポートライセンスを契約条件に入れたりするなど、自分1人では気づかないことも含め、関専門家のおかげで作業を着々と進めることができました。

資金調達、商社との交渉、雇用や人材育成、取引先の確保、そして言葉の壁など、海外進出には数多くの問題がついて回ります。中小企業では役員でさえ1人で何役もこなさねばならず、社員を海外担当に据えても、通常業務との兼務となるのが現状です。限られた人生の中で自分が何を残せるか、幸せのためにどう働くかということも真剣に考えるようになりましたが、そのようなジレンマをこの支援制度が埋めてくれています。これからの本格稼働に向けて、専門家の力強いサポートに期待しています。

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専門家 関 晴至

28年間在籍した大手総合商社では、イギリス、リビア、ケニア、タイに駐在し、石油開発施設建設、ホテル開発事業、開発途上国ODA事業などを担当。現在は個人コンサルタントとして地球環境および健康関連企業を支援。

<ジェトロ専門家インタビュー>

企業の「常識」を活かし、必要な支援を過不足なくフォロー

私は独立後、世の中に知られていない中小企業の技術を世界に広めようとコンサルタントをしていますが、これまで自分の資金不足のため、支援しきれませんでした。今回、ジェトロが始めた本支援事業は、私が目指す方向と一致していたので専門家に応募しました。
マノ精工社の支援開始当初は、すでにタイの知人から工場を買い取るなど環境は整っていました。しかし工場を見知らぬ国で稼働させるためには、雇用や設備据え付け維持など問題は多岐に渡ります。また、工場の稼働後は国の慣習の違いで思わぬトラブルが発生することもあり、解決の早道となる人脈作りも課題です。コアとなる日本人スタッフを育成し、現地の販路拡大に力を入れる必要もあるため、ここからが私の支援の山場と思っています。
重要なのは、それぞれの企業には「常識」に違いがあるということです。マノ精工社の場合は“まず行動ありき”。その良さを活かしつつ、綿密な事業計画の策定を促し、状況に即した総務、法務や税務などを過不足なくフォローすることを心がけています。

進出段階と支援内容

投資検討段階 step2.gif 拠点立ち上げ段階 step4-on.gif

  • BOI(タイ投資委員会)承認条件の精査、承認条件に基づいた工場立ち上げのアドバイス
  • 設備、物流など現地企業の選定、交渉の場でのアドバイス

マノ精工株式会社

東京都立川市
機械部品加工にはじまり、電気製品、釣り具、自動車部品など取扱品目を徐々に拡大。極めて細いパイプ自動曲げの技術を活かして、糸が絡まない釣り具リール部品の製法を独自開発し、全国トップシェアを誇る。1948年設立。
http://www.mano-seiko.jp/home/index.html

2014年3月

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