“Silent Technology”でグローバルな社会貢献を目指す

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金子産業株式会社

バルブや電磁弁など安全な暮らしのための「もの作り」に徹する金子産業。国内市場が成熟する中、2004年に中国に進出。さらに、近年エンジニアリング産業が伸びている韓国での展開を目的にミッションに参加した。

東京都港区 <海外進出> 対象国・地域:韓国、中国

安全な暮らしのための“モノ作り”

金子産業は1919年に創立され、流体制御の分野における日本のトップ企業である。創業以来バルブや電磁弁の専門企業として技術開発や生産を行っており、製品の一つひとつが「セーフティーデバイスとして安全で穏やかな暮らしを守る」という明確な目的意識をもって“モノ作り”を進めている。

同社の主要顧客は発電所、石油関連企業、プラント企業などであり、それぞれの顧客に合わせ、多品種少量生産を展開している。生産はすべて提携工場へアウトソーシングしてコスト競争力の維持を図ってきたが、国内市場が成熟する中、海外での事業展開を模索するようになった。

2004年、日本のプラントエンジニアリングメーカーが中国に進出するのに合わせて中国上海に進出。現地のバルブメーカーとの合弁で「上海金子」を設立した。

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ミッションの活用で迅速に韓国進出

金子産業は二番目の海外拠点として韓国への進出を検討していた。その背景には、近年、韓国のエンジニアリング産業が伸びており、中東などインフラ開発が進む国からも多数受注している状況がある。また、日本のエンジニアリング企業の海外インフラ案件に比べ、中小規模の案件も多く、同社にとってのマーケットの成長が見込まれるためである。同社は、すでに代理店を通じて20年以上韓国でのビジネスを展開し、人脈づくりや情報収集も行なっていたものの、韓国内に拠点がないため、顧客に対する迅速な対応が難しく、さらなる市場開拓の限界も感じていた。

そこで、韓国への進出はどのような形態が望ましいかを模索していたところ、2009年4月、ジェトロによる「韓国ビジネスミッション」の案内があり、参加した。ミッションでは、韓国に進出している日系企業の訪問の機会があった。その日系企業の「まずは顧客のそばで小規模に投資、生産を開始し、手狭になったため近郊に拡張した」という事例は、金子産業にとって韓国でのビジネス展開を学ぶ貴重な機会となった。また、工業団地などの見学の機会もあり、実際の進出先を選定するにあたっても大いに参考になった。

中国進出の際、同社は、独自のネットワークを使ったり、中国のコンサルタント会社に依頼して情報収集を行ったが、工場訪問だけでも10カ所以上、法人設立までには約2年もの時間と労力を費やした。今回の韓国進出においては、ジェトロのミッションに参加することで現地の企業情報、進出候補地の情報も効率的に得ることができ、円高・ウォン安という好機も活かして、韓国への進出ができたと考えている。

進出後の課題とジェトロへの期待

2010年1月、ソウル近郊の富川テクノパーク内に現地法人「韓国金子」を設立。今後は、実際にビジネスを展開する上で必要となる労務や法務等の面において、現地のジェトロ事務所からのサポートも活用していく予定である。特に、人材雇用についてのサポートを期待している。メーカーが海外展開するうえで大きな課題は品質の維持であり、その品質を維持するのが「人」であるため、雇用の問題は大きいと同社は考える。技術者の求人、あるいは現地の労働環境や労働法への対応、就業規則なども含め、中小企業向けという観点でのアドバイスや情報提供を希望している。

同社は今後も積極的な海外展開を検討しており、バルブ産業の10年後、20年後のあり方を模索し、新たなビジネスに参入していくための切り口を得る場として、海外投資・ミッションへの参加は有益と同社では考えている。

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金子産業株式会社

東京都港区芝5-10-6
TEL:03-3455-1411
http://www.kaneko.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
設立:1919年
従業員:90名

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