有限会社常徳屋酒造場

海外展開の基盤を作ろうと思っていた折、2020年のジェトロ大分の商談会に誘われたことをきっかけに、ハンズオン事業 へ申し込みました。欧州のバイヤーを対象に試飲会や酒蔵見学を実施するなど、営業努力を重ねて注文を増やしています。日本と海外では飲酒文化が異なり、特に欧州ではアルコール度数が25度前後の焼酎は、蒸留酒としては度数が低いとされます。焼酎の原酒や、通常の焼酎を水割りにした「前割り」、焼酎そのものを飲む文化がない外国の方にもなじみやすい焼酎ベースの果実系リキュールなど、当社の特徴でもある幅広い商品構成から多様なニーズに応じ、丁寧にバイヤーへ紹介することで、他の酒蔵との差別化を図りました。

ジェトロの専門家から商談資料や外国向けホームページ作成に関する指導、欧州のバイヤーへの売り込みなどについてのアドバイスも受けながら準備を進め、2021 年9 月、ジェトロの食品オンライン商談会に参加しました。その後もジェトロの中小企業海外展開現地支援プラットフォームなどでさらに情報や売り込み先を深掘りし、2022 年5 月にはフランス企業から焼酎を受注、自主的な海外展開として初の商談成約となりました。欧州向けEPA の活用に際してもジェトロへ相談し、自社で海外展開を行う体制ができました。専門家からは、今できることの少し先を指導してもらい、無理なく進むべき方向を教えてもらえたと感じています。

専門家から海外のコンペティションへの参加を勧められ出品したところプラチナ賞を受賞、バイヤーの信頼を得ることにつながりました。また欧州は特に地元産原材料に高い価値を見出す文化があります。当社は地元産原材料にこだわった焼酎造りを続けてきており、その点も評価してもらえています。日本は人口減少に加え、若年層の焼酎離れ、コロナ禍による売り上げの急減など厳しい状況ですが、海外販路があることが励みになりました。従業員にとっても自分たちの作った焼酎が海外に届くことはモチベーションにつながります。海外への挑戦にはハードルもありますが、伴走してくれた経験豊富な専門家に出会えたことは財産です。