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株式会社武久

天然物でうま味成分も豊富、出汁にも利用できる椎茸の魅力を和食文化と共に世界に広めていく

1935年の創業以来、品質本位で「椎茸」にこだわり続け、乾椎茸の卸・販売を行う。乾椎茸を通して世界に誇る和食文化を守りながらも時代にふさわしい商品や店舗・キッチン運営、料理レシピなどのサービスも提供。

福岡県筑後市ウェブサイト

展開国・地域：: ・2020年度米国、台湾、香港
・2021年度米国、台湾、香港
事業内容：: 乾椎茸および椎茸を原材料とする加工品

代表取締役武久和生氏

国内では価格競争も激化。椎茸の販路を海外に求める

当社は原木栽培の椎茸を製造しており、乾椎茸および椎茸を原材料とする加工品を販売しています。海外輸出に関しては、2011年以来、少量ではあるものの商社経由でハワイに定期的に業務用乾椎茸を卸してきました。国内での価格競争が激化する中で、2014年に福岡商工会議所主催の商談会で出会ったフランスのバイヤーをはじめ、国外バイヤーの椎茸への関心度が高まっていることもあり、内需の先細り感なども考慮すると事業戦略上、海外展開は必須であると考えました。2020年後半から本格的に海外への販路開拓の取り組みを始めました。ジェトロ福岡をはじめ、すでに海外事業を展開している地元の製茶企業や酒造企業などにも相談し、新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に応募。支援が始まると、米国、台湾、香港を対象国・地域に選定し、専門家にも同席いただきながら、ジェトロ主催の商談会に積極的に参加しました。

海外展開の成功の立役者である、海外事業担当の武久景子氏（武久四代目：左）、池井雄樹氏（営業部長：右）

食品輸出に取り組んで、乗り越えてきた壁

実際に商談を始めると、最初に突き当たったのは言語の壁です。商社に英語でのやり取りを仲介してもらうのではなく、直接現地企業のトップに商品を訴求していくことで、強固な関係が構築でき、それが将来的な販路の開拓につながると考え、通訳を介しながらも一生懸命取り組みました。すると今度は、複数の海外バイヤーから「HACCP（食品製造過程での衛生管理の認証）を取得していないと取引は無理だ」と言われ、より大きな課題にぶつかりました。食品の輸出においてHACCP認証はパスポートのような役割と捉え、福岡県のHACCP相談制度を利用したほか、ハンズオン支援の専門家からも助言をいただき、2021年12月にCodexHACCPを取得しました。こうした安心・安全の品質を裏付ける認証を取得することは、他社製品との差別化ポイントにもなります。そこで、「有機JAS認証」を取得し、トレーサビリティ対応が可能な商品の開発にも注力しています。

左から「しいたけドレッシング」「しいたけポン酢」「しいたけとトマトのソース」

他社にないアイディアに取り組み椎茸の味と和食文化を世界に広める

海外バイヤーに当社商品を紹介する際には、当社が椎茸だけにこだわり80年を越えて事業を継続している老舗としての歴史を訴求しています。米国バイヤーからは、うまみ成分、天然もの、出汁に使えるという点で、椎茸という食材そのものに対する高い評価をフィードバックいただき、改めて椎茸のすばらしさを再確認しました。また、乾椎茸だけでなく、新しい椎茸加工品の開発にも取り組んでいる点も、他では見られない椎茸業者だとして、ご評価いただいています。当社では椎茸の魅力をより多くの方に知っていただくために、バイヤーの来訪時などには、原木栽培の生産現場、選別・袋詰め工場、BBQでの試食やレストランでのランチなど、さまざまな体験イベントを企画・実施しています。失敗を恐れず、考え過ぎずに楽しく海外事業にチャレンジしながら、これからも世界に誇る和食文化とともに椎茸の魅力を広く伝えていきたいと思います。

専門家からのポイント

同社は2020年後半から本格的に輸出に取り組み始めました。成功要因は武久景子氏、池井雄樹氏ご夫妻が二人三脚で、「同社の事業戦略上、海外展開が必須である」という強い認識を持ち、その活動にコミットした事です。同社はまもなく創業100年を迎える伝統のある会社ですが、海外市場攻略の中で顕在化した課題に対する助言を真摯に受け止め、問題に取組み、HACCP認証や有機JAS認証を取得し、原木栽培生椎茸の輸出など、商品差別化戦略で輸出実績を上げてきました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。