株式会社九州日昌

当社は工業用加熱電熱装置を製造・開発しており、自動車部品、半導体、医療機器部品などの製造用生産機械の一部として幅広い製造現場に向けて製品を納入しています。海外にある自動車部品メーカーの製造現場を視察した際、当社の加熱装置が組み込まれた製造ラインと海外他社の製造ラインとが独立した形で導入・稼働しているのを見て、製造現場全体の自動化につながる形で当社の加熱装置を製造ラインに組み込みたい、という当社の考えは海外にも通じると考え、海外展開を検討し始めました。まずは取り扱いが容易で海外競合他社にはないリフローシミュレーターから入り込むこととし、ジェトロの北九州事務所を訪問し、新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に2019年度に申し込みました。海外展開にあたっては、柔軟かつ迅速にリソースアロケーションやリスクマネジメントを判断する必要から、私自らが海外事業担当として前面に立って進めることとしました。

展開国については、実際に引き合いもあり、日本と同様に自動車産業が集積し部品メーカーの需要が見込めるドイツを選定しました。ドイツ企業との秘密保持契約締結の際には、英文契約書を前に戸惑いを感じたものの、ドイツでの駐在歴の長いハンズオン支援の専門家と共に内容を細かく見直すことで、対等な条件での契約が成立できました。現在は輸出したサンプルをもとに同社から来るフィードバックに基づいて製品開発を進めると同時に、将来的な売買契約の締結に向けた準備も専門家と戦略的に進めています。完成品を単体で売り込むのとは異なり、当社では顧客の要望に応じてオーダーメイドで顧客の製造ラインに組み込む製品を受注製造するため、顧客の要望を取りまとめる現地パートナーの存在も不可欠です。ハンズオン支援の専門家や、ジェトロの各種プラットフォームサービスで得られる情報をもとに、現地パートナー企業の発掘も進めています。