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有限会社森工芸

工芸品の技術力や美しさを世界のマーケットは評価してくれました

1953年の創業時より伝わる技術や手法で、ツキ板化粧合板などの製造販売を行う。フランスの「メゾン・エ・オブジェ」で高い評価を受け、フランスを始めとした海外展開を始める。

徳島県徳島市ウェブサイト

展開国・地域：: ・2020年度フランス
・2021年度フランス
事業内容：: ツキ板化粧合板の製造販売／木象嵌加工、木製家具・木製雑貨などの企画・製造販売／美術工芸品の製造販売

取締役森寛之氏

徳島県事業への公募をきっかけに海外展開へ

当社は、紙のように薄くスライスした木材であるツキ板を貼ることを専門に、70年の歴史の中から培った技術や知識を活かし、家具や雑貨などさまざまな意匠を提案しています。2019年にフランスの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に向けた徳島県事業の公募があり、それに応募したのを機に海外展開を始めました。それまでの販売先は国内向けのみだったため、これを機に海外向けに継続的な販売ができる製品づくりを目指し、製品をトレーに絞り「RaysTray」の製品化に至りました。当社の製品はシンプルながらも高額なため、製品に込められた高い技術を説明しなければ、なかなか価値をご理解いただけないのではと思っていました。しかし「メゾン・エ・オブジェ」では、会場で当社側が説明しなくても、製品の見た目の美しさや良さを評価いただいて注文につながるなど、好評を博しました。

中心部分から光線が出ているように見えることから「光線貼り」と呼ぶ

国ごとに異なる規制やサイズ感覚にも柔軟に対応

海外展開が本格化すると、メインの相談先は県からジェトロに移り、現在もコンソーシアムの専門家によるハンズオン支援を受けています。当社内では製造、販売、コスト管理は完結できるものの、日本語以外でのやり取りには特に不安を感じていました。専門家には、プレゼンテーションに向けた事前準備に加え、通訳や翻訳ソフトの活用についてのアドバイスなど、言語面でも柔軟なサポートをいただきました。現在は、言語の不安払拭のために、貿易実務などのできる高度外国人材の採用に向けて準備を進めています。ヨーロッパには、「本体の部品に関する規制」や、「文字盤と時計を接着する接着剤に関する規制」などの国ごとに異なる規制があるほか、日本人には大きいと感じるサイズが人気となるなど、トレーに対するサイズの感覚の違いもあり、難しさを感じていますが、「メゾン・エ・オブジェ」で好評を博したフランスでの展開は引き続き模索していきます。

藍染仕様の商品は伝統的な蓼藍による発酵建ての様子

世界のマーケットを見て視野が広がった

当社は、マーケットを人口の減少により市場が縮小する日本だけで考えるのではなく、世界の市場にも目を向けることで、今後の事業展開についての視野が広がりました。工芸品など技術を要するものは、全体的に金額が高くなってしまいますが、海外には、良い意味で金銭感覚が違う層も多くいることが今回わかりました。海外展開を始める前は不安もありましたが、一歩踏み出してみたことで、貿易実務のスキルが身についただけでなく、海外でも当社製品は販売されているという実績ができ、そのことによる付加価値も大きいと感じています。
今後は、日本からの距離が近くて輸送面でのメリットがあり、富裕層も多く、手作業による工芸品も価格的に受け入れられる素地のある中国や台湾での展開も視野に入れています。人口も多い地域に進出することで、マーケットがさらに広がっていくのではないかと期待しています。

専門家からのポイント

メゾン・エ・オブジェでの好評からフランスでの本格販売を希望されていたため、同国での販売店舗の発掘に加えて、製品の高付加価値をアピールするための動画（制作工程）や製品完成までのストーリーなど広報的資料の製作についても支援させて頂きました。コロナ禍により、現地に出向く事が出来ない中で販売実績を挙げられた事は、デザインと質感の高さを伝えられた結果だと思っております。現在は、フランス以外にも米国、英国のECサイトでの販売も実現し、今後更に新しいマーケットでの広がりが期待されます。

ご利用いただいたジェトロのサービス

新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。