モリモト株式会社

織物機械の総合部品メーカーである当社は、ジャカードのガイドボード、目板、ハーネス、スプリングなどの部品を製造・販売しています。以前、欧州での研修でイタリアの同業者を視察した際に、イタリア国内品以上に海外からの輸入品が圧倒的に多いことに驚きました。当時から国内市場の成長余力に限界を感じていたため、海外展開に挑戦することで商機を拡大できるのではないかと思い、まずは上海の展示会に出展することとしました。社員数が少なく、海外ビジネス経験のない当社には、海外取引のノウハウなどもちろんなく、展示会でご縁のあった先と小さな取引を積み重ねることで知識を蓄積していきました。輸出入手続きに関しては、ジェトロの貿易実務講座などに参加して船荷証券や決済方法などを一から勉強し、新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に2020年度に申し込みました。採択されると、繊維業界に通じた専門家による伴走型支援が始まりました。

専門家からは、自社の強み、弱みを整理するSWOT分析を指導いただいたほか、展示会への継続出展で蓄積された「バイヤーからの引き合いリスト」も一緒に整理し、バイヤーとの商談にも同席いただきました。業界に詳しい専門家だったため、特に商品PRをする際のポイントなど、的を射たアドバイスをいただけたことは、現在の取引の中でも生きています。展開国はインドとし、経済連携協定（EPA)を最大限活用した提案営業で中国・韓国企業との差異化につなげています。4社との新規取引をスタートし、これまで合計約3,800万円の売り上げとなっています。国ごとに異なる特性や商流への理解には時間を要しますが、ターゲットを明確にし、相手国事情を理解した上でバイヤーとのマッチングに臨むと、新しいビジネスにつながるおもしろさもあります。海外展示会への継続出展と、顧客先に出向いての商談もスムーズに事業を進めるためのカギだと思います。