株式会社梶田商店

弊社の海外展開は、既存の国内取引先の海外進出、商談会への参加、そして、元々海外と取引している企業への売り込みによって実現しています。本格的に輸出を始めたきっかけは、2012年に国内取引先のラーメン屋が香港に海外進出したことです。現在は、香港やシンガポールをはじめとするアジア諸国、フランスやイタリアをはじめとする欧州諸国、オーストラリア、米国に輸出しています。
取引先からは、商品の美味しさに加え、無添加で安心・安全であることを高く評価されています。商談の際に、梶田商店の醤油が良いと強く意思表明してくださったところとは長く取引が続いています。当初、醤油があまり馴染まない食文化だと思っていたイタリアに輸出できた背景にも、日本食材を扱う問屋の良い商品を取り扱いたいという熱意と、そのような問屋に醤油を託して美味しく安心・安全な醤油を広めたいという弊社の想いが合わさったことがあります。

2019年に初めて米国・ハワイに輸出する際に、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」を利用しました。ハワイへの輸出を目指したきっかけは、もともと取引のあった鮨職人さんがハワイに進出する際に、弊社の安心・安全な醤油を求めてくださったことです。しかしながら、すでに現地での売り先は決まっていても、ハワイに輸出するにあたっては、現地の規制や商社との取引方法など、必要な情報が沢山ありました。担当の専門家には、これらの点について丁寧に説明いただき、その甲斐もあって無事にハワイに輸出することができました。
その他にも、アジアに商品を輸出する際には、ジェトロの海外事務所から提供される情報を参考にしています。また、ジェトロ主催の商談会も積極的に利用して、新しい取引先を開拓する機会も得ています。今後は今まで培ってきたノウハウと、ジェトロの各種支援を活用しながら、米国本土の高級レストランやスーパーマーケットへの販路開拓に取り組んでいきます。

輸出に取り組む利点としては、海外で認知度が向上するだけでなく、国内取引における評価にもつながることが挙げられます。しかし、弊社では国内で十分な販路開拓ができるのであれば、無理をしてまで輸出に取り組むべきではないと考えています。現在は既存の取引先とのご縁もあり、国内商社を介した間接貿易、国内決済の形で輸出に取り組んでいますが、ゼロから輸出に取り組むには時間と費用をかける必要があります。今後も、海外に美味しく安心・安全な醤油を届けたいという夢と、利益を確保するというビジネスの両立に気をつけながら、無理せず海外ビジネスを続けていこうと考えています。
また、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響が世界中に広がっています。弊社も、2019年にジェトロ主催の商談会でつながったバイヤーとの取引が中断してしまいました。しかしながら、こうした時だからこそ、例えば製品の強みを伸ばしたり、課題を見直したり、今できることを行うことが大切だと感じています。