若林煎餅株式会社

成功の最大の鍵は、ネットワークを作ることだと思います

戦後の食べ物がない時代から60年以上小麦粉煎餅を作り続けていたが、日本国内の市場縮小に危機感を感じ4年前から本格的に輸出を開始。現在はASEAN諸国を中心にOEMを主として、売上全体の10%を占めている

岐阜県加茂郡 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

展開国・地域:
2015年 シンガポール、香港、マカオ、台湾、中国、インドネシア、オーストラリア
事業内容:
菓子(小麦粉・米粉煎餅)の製造

代表取締役 若林 哲司 氏

海外には弊社のような商品が少ない

戦後の食糧難の時代に創業者が小麦粉煎餅を作り始めたところ、とても売れました。以降小麦粉煎餅のベースはそのままで、クリームやつぶ餡をサンドするなど数種類の煎餅を60年以上作り続けています。海外への輸出事業は2004年から考えていました。理由は、日本国内での需要が落ち、業界自体が下り坂になったためです。2011年に上海展示会に誘われ、仕事で初めて海外へ行きました。それまで東京が大都市と思っていたのですが、上海はビルが林立し、東京を上回る都市でした。そのスケールに驚き、日本は市場が縮小に向かう中、海外は需要が多く、これからも市場規模が伸び続けるのを目の当たりにしました。弊社の強みである賞味期限が他の菓子より長いことや、米粉で作るグルテンフリーの商材なら差別化ができると考えました。戦略として最初は自社ブランドで売り込むより、国内の主力であるOEM事業を海外でもアピールすることにより、ASEANの菓子メーカーが低コストで広めている商圏から離れて、利益が産みだせる市場で勝負できるのではと考えました。

若林煎餅本社工場

小麦粉煎餅製造ライン

ジェトロ専門家と一緒に戦略を立てる

最初は公的機関である岐阜県産業経済振興センターに相談し、2015年のシンガポール商談会の際、現地通訳を派遣していただきました。その時、同振興センターの事務所にジェトロのパンフレットが置いてあり、ジェトロを紹介していただきました。そこから「新輸出大国コンソーシアム」による支援制度の存在を知り、専門家と一緒に戦略を立案し、契約に至るまでを指導してもらいました。また、ドイツのフランクフルトを訪問した際は、ジェトロ・デュッセルドルフ事務所から現地の情報を入手しました。今では海外の売り上げは全体の10%を占めるようになっています。うち海外企業のOEM製品が8割です。これは弊社がOEM製造を得意としており強みを生かした結果です。OEM製品は、シンガポール、香港向けに輸出し、自社ブランド製品は、中国(上海)、香港、マカオ、台湾、インドネシア、オーストラリアへと輸出しています。ASEANは食品輸出については受け入れやすい分競争も激しいです。今後は築き上げた海外ルートを拡大するとともに、欧州やオセアニアへも輸出しようと考えています。

香港展示会での出展ブース

現地の人でにぎわうシンガポール展示会での出展ブースでの様子

自社の強みからビジョンを考え、動くことが大切

誰にでも可能性はありますので、あとは自社の得意な柱から広い視野を持ちビジョンを考え、ガムシャラに行動するだけだと思います。まずは、食のカロリー摂取の傾向から国内需要を考察しました。若い方は年配者よりもカロリー摂取量自体は多いのですが、日本国内では少子高齢化の影響で同じ人口でも食のカロリー摂取量が少ないので、国内市場での需要の先細りが予見できました。しかし、海外に目を向けるとASEANだけでも人口30億人規模の市場となっています。日本市場が縮小し、海外進出の必要性は15年前より認識しておりましたが、やろうと思ってもやり方が分かりませんでした。ジェトロを知っていれば、もっと早く海外進出ができたと思います。動くことの大切さを今さらながら痛感しています。そして、動けば仲間が増えます。ヒューマンパワーが必要ですが小規模、零細企業の会社にとって新たに専門の人を雇用することは、金銭面からリスクが大きいです。自社だけで進もうとせず、ジェトロや金融機関、産業経済振興センターなどに何でも相談することを心掛けております。成功の最大の鍵は、ネットワークを作ることだと思います。

専門家からのポイント

OEM製造に重点を置いて商談を進めていた点としては、価格帯、味、形状の部分で海外バイヤーの要望にしっかりと耳を傾けたことが挙げられます。他社メーカーのように、海外へ商品を出しておしまい・・・ではなくしっかりとバイヤーに寄り添った動きに留意しました。現地での輸入禁止成分を取り除いて新しい原材料で商品を作る柔軟性もポイントです。また、英語のやり取りの中で分からない点はすぐに専門家に確認するなどスピード感ある対応も重要かと思います。SNSを活用した関係者全員の密なコミュニケーションも上記の役に立った要因ですね。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

若林煎餅株式会社

岐阜県加茂郡
https://www.waka-kashi.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:若林 哲司
設立年:1953年1月
従業員:13名
事業内容:菓子(小麦粉・米粉煎餅)の製造

2019年3月

関連情報

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

最寄りのジェトロ事務所にご連絡ください。