株式会社ヒカリ

弊社は、新潟県理容競技大会のチャンピンであった先々代が刃物の研究のため、1967年に設立した有限会社光刃物研究所を前身としています。その後、東京と新潟に工場を建設し、販売会社の株式会社ヒカリ・プロダクツジャパンと合併して株式会社ヒカリとなったのは2000年のことです。弊社の理美容シザーズは、「コンピューターを凌ぐ手造りの技」をモットーに、手造りで仕上げています。日本刀からヒントを得たハマグリ刃と呼ばれる微妙な曲線を職人が研磨・調整して、均一な力でスーっと切れる他者に模倣ができない独特の切れ味が特徴です。ヴィダル・サスーンやポール・ミッチェルといった世界的なスタイリストにも弊社のシザーズは愛用され、世界中のスタイリストに認められています。私自身も美容師の経験を生かして、1年のうち半分以上は世界中を飛び回り、カットセミナーを行うことで弊社の製品を使った新しいカット技術の普及に努めています。

海外展開は、1970年ごろに創業者が米国の個人と現地法人を設立し、以降欧州やアジアなど17カ国に販売店を設置してきました。しかし、多くの販売店はスタイリスト個人が弊社の技術に惚れ込み自ら販売店になることを希望され、研磨研修を日本で受けることを条件に、研磨できる販売店として育ててきました。そんな中、シンガポールの個人営業の販売店が2015年に健康の問題で廃業しました。顧客リストを残していなかったため、弊社が代わってアフターサービスをすることもできず頭を痛めていました。対応策を求めて東京都中小企業振興公社などに相談したところ、ジェトロを勧められました。2年間もアフターサービスを受けられていないお客様のことを考えると、自社でゼロから調べて進出するよりもジェトロの莫大な情報を活用した方が早いと判断し、2017年8月にジェトロ「新輸出大国コンソーシアム」の専門家支援に応募・採択されました。専門家からまず提案されたのはシンガポールで研磨キャンペーンを行うことでした。

2018年3月に現地法人を立ち上げ、1カ月の告知期間を設けて、ジェトロから紹介された新たなパートナーと一緒に現地で1週間シザーズの研磨をしました。日付が変わっても研磨が終わらない日もあるほどの数が集まり、それまでに販売した約半数のお客様が持ってきたのではないかと思います。同時に、新規顧客の開拓も行った結果、シンガポールでの販売を無事再開できました。専門家には現地法人設立のノウハウのみならず、二人三脚でロードマップを作成したことで、目標を明確化し、いつまでに何をやればいいのか、課題対応のために何を行ったらいいのかを学びました。また、今後の海外展開拡大に向けて、ばらばらであった国内・海外の体制を一つにすることにより、今まで以上にお互いに協力することができるようになりました。専門家から学んだ手法を生かし、2019年5月に18カ国目となるマレーシアでも販売店契約を締結することができました。2019年度は理美容の発祥の地である欧州へのさらなる展開を図っていきます。

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