市岡製菓株式会社
ベトナム市場に挑戦する徳島の菓子メーカー

農林水産物・食品

全国的に知名度の高いさつまいも「なると金時」をはじめ、地域のブランドである「阿波やまもも」「木頭ゆず」等、多彩な原材料が持つ特徴や良さを生かした菓子の商品開発に取り組んでいる。

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ベトナムで販売中のどら焼き

ベトナム進出を目指すも、情報不足で足踏み

当社では、かりんとうやどら焼き、蒸しケーキといった油菓子、半生菓子を中心に製造しています。日本国内では主にスーパーやコンビニエンスストアに販売してきましたが、国内市場の縮小や競合品の増加等により、先行きへの危機感を持っていました。

契機となったのは、今から10年ほど前、業界内のイベントでベトナム経済界の要人と知り合ったことをきっかけに、ベトナムを訪問したことです。経済成長を続ける同地で感じた人々の熱気を受け「日本だけでなく、ベトナムにも当社の商品を」という想いに至りました。

調査を進めると、ベトナムは香港、上海、台湾などと比べて、日本から輸入された菓子が少なく、当社のブランドを確立しやすいという状況が分かり、ベトナム進出に取り組むこととなりました。2013年度には現地でのテスト販売に成功、ベトナムで日本の菓子が通用するとの自信を持ちました。

しかし、本格的に海外進出への取り組みをスタートすると、数々の困難に直面しました。前例の少ない製菓業の進出ということもあり、現地の様々な情報が不足していたのです。製造の根幹にかかわる、原材料の仕入れ先が見つからない、製造機械を調達できない、適した工場用地が見つからないといった問題も、現地では容易に起こり得ることが分かり、対策を講じる必要が出てきました。

そんな時、知り合いの企業からジェトロの新興国進出個別支援サービス(現:「輸出大国コンソーシアム」専門家による個別支援サービス)を紹介され、2014年度から専門家の支援を受けることとなりました。

ジェトロ専門家の支援で販路を拡大

専門家には、ベトナム側のパートナー企業やバイヤー、原材料仕入れ先の紹介、設備導入や人材の採用に関するノウハウ等、海外進出に関わる様々な支援を受けました。情報を素早く見極め、即決していくことが求められる中で、的確に判断材料の提供を受けられたことが非常に役立ったと感じています。

こうしたジェトロによる支援を受け、2015年8月にホーチミンに現地法人を設立しました。その後、2016年6月には現地日系大規模商業施設との取引を開始、同年7月には専門家の紹介をきっかけに、ホーチミン市の日系百貨店の地下食品売り場に自社直営店舗を開設しました。同年12月には、日系コンビニでの販売がスタート。2017年5月には、現地でも人気のキャラクター「ドラえもん」とタイアップしたどら焼きを販売開始したところ、1日数千個を売り上げるヒット商品となりました。ベトナム市場への挑戦を始めてから5年を経て、着実に成果が出始めています。

ベトナム以外の国についても、2013年頃より日本での製造商品の輸出提案と販路開拓を始め、2016年5月より輸出有望案件支援サービスを活用、専門家の支援を受けることとなりました。


ホーチミン市内の自社店舗

当初は、各国で異なる輸入規制への対応や、言語の違い、賞味期限の短さ等の問題から、フェアや催事へのスポット輸出に留まり、定番化に繋がらない状況が続いていました。そんな中で、専門家には現地のマーケット情報、バイヤー・商社の紹介、商談への同席、商談後のフォローアップ等の支援を受けたほか、親身に相談にのってもらったことで、営業担当者が知識や経験を身につけることができました。同時に海外向けの商品企画を進め、原材料を工夫して複数国の輸入規制をクリアした製品や、包装資材を改良して賞味期限を延ばした製品などを開発しました。

その結果、課題であった継続的な輸出に成功。2017年度の輸出額は前年度比1.4倍となり、特に重点的に支援を受けたタイについては2.5倍になりました。

今後の目標は「ベトナム全土へ自社製品を広めること」で、そのために生産体制強化に着手しています。いずれは、ベトナムから周辺国へ自社製品を輸出し、東南アジアの消費者にも日本の菓子を楽しんでもらえるよう、ジェトロと二人三脚で前進していきたいと考えています。

ジェトロ活用のメリット

ジェトロの専門家支援を受けることで、海外の情報を効率よく入手できたほか、現地パートナーやバイヤーとの人脈も形成することができました。専門家と戦略的に計画をすすめたことで、海外進出に成功し、輸出も増加しました。

ジェトロ徳島 佐川将平から

日本の菓子は、海外でも品質の良さから評価が高いです。特にアジアで人気があり、需要が増えている。こうしたチャンスをいち早く捉え、経営者自身が積極的に海外ビジネスに踏み出したことが、成功のカギとなりました。

写真 ジェトロ徳島 佐川将平

市岡製菓株式会社 代表取締役社長 市岡通裕

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 貿易投資相談
    本部(東京)、大阪本部、国内各地の貿易情報センターなどでは、お客様から電話、Fax、E-mailで寄せられるご相談にお答えします。
  • 海外コーディネーターによる輸出支援相談サービス
    ジェトロが海外に配置する各分野の専門家(海外コーディネーター)が、海外ビジネス展開に関するお問い合わせに、現地の感覚・目線でお答えします。
  • 輸出有望案件支援サービス
    輸出戦略の策定から契約締結まで専門家がお手伝いします。優秀な製品を持っていながらこれまで輸出経験がない、あるいは輸出ビジネスを躊躇している中小企業が対象です。
  • 海外ブリーフィングサービス
    世界約70カ所の海外事務所にて、現地一般経済事情やビジネス環境について、海外駐在員や専門アドバイザーが情報提供を行います。

市岡製菓株式会社

徳島県小松島市江田町字腰前189-6
Tel:0885-32-0253
URL:http://www.ichioka-seika.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役社長 市岡 通裕

従業員:70名
資本金:3,000万円
事業内容:菓子製造販売
目的 :輸出、海外進出
対象国・地域:ベトナム、香港、台湾、中国、東南アジア、米国等

2018年7月

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