欧州議会、ドローンに関するルールの枠組みを採択

(EU)

ブリュッセル発

2018年06月25日

欧州議会本会議は6月12日、ドローンに関するルールの枠組みを含む、民間航空の安全に関する規則案を採択した。EUでは現状、重量150キロ未満のドローンは各加盟国の監督機関が管轄しており、製造者と操縦者には各国が定める設計・安全要件が課されている。その一方、民間ドローンの市場規模は今後10年以内に年間150億ユーロに拡大し、2050年までには15万人の関連雇用が創出されるとの予測もある。域内ルールを統一し、サービスや製品を開発する上での予見可能性を改善することで、市場の発展を促す狙いがある。

安全機能の装備や教習を一部義務付け

採択された規則は、安全性やプライバシー・個人データ保護、騒音、排出など環境への配慮に関する基本原則を規定している。欧州議会は採択に当たって、次の3点を強調した。

  • ドローンの重量や利用地域に応じたリスクを考慮し、操縦者とドローンの間の電波が途切れた際の自動着陸システムや衝突回避システムなどの安全機能を装備する。
  • ドローンの操縦者には、適用されるルールを知り、周辺の人々や空域の利用者を危険にさらすことなく安全にドローンを利用することが求められることから、ドローンの利用に先立ち、一部操縦者に教習の受講を義務付ける。
  • 小型ドローン以外については、事故などの発生を操縦者に知らせるため、操縦者を加盟国の登録簿に登録するとともに、機体を識別可能とする。

なお、本規則案は既に常駐代表委員会(COREPER、大使級会合)で承認されており、今後、EU理事会(閣僚理事会)での承認が得られれば、新規則が発効する。発効後、本規則案が定める上述の原則に基づき、ドローンが飛行可能な最高高度や距離、許可が必要となるドローンおよび操作、教習や登録の対象、安全機能の装備義務の対象となるドローンの種類など、より詳細なルールを欧州委員会が定める予定だ。

(村岡有)

(EU)

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